日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(571)「象は鼻が長い(象は鼻以外は長くない)」の「述語論理」(Ⅱ)。

2020-03-25 14:54:36 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
② 理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(02)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
① 私が理事長です。
② 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
タゴール記念会=象
    理事長=鼻
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻以外は長くない
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻以外は長くない
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅲ)
1  (1) ∀z(~鼻zx→~長z) A
 2 (2) ∃z(~鼻zx& 長z) A
1  (3)    ~鼻ax→~長a  1UE
  4(4)    ~鼻ax& 長a  A
  4(5)    ~鼻ax      4&E
1 4(6)         ~長a  35MPP
  4(7)          長a  4&E
1 4(8)      ~長a&長a  67&I
12 (9)      ~長a&長a  248EE
1  (ア)~∃z(~鼻zx& 長z) 29RAA
(ⅳ)
1  (1)~∃z(~鼻zx& 長z) A
1  (2)∀z~(~鼻zx& 長z) 1量化子の関係
1  (3)  ~(~鼻ax& 長a) 2UE
1  (4)     鼻ax∨~長a  3ド・モルガンの法則
 5 (5)     鼻ax      A
 5 (6)   ~~鼻ax      5DN
 5 (7)   ~~鼻ax∨~長a  6∨I
  8(8)         ~長a  A
  8(9)   ~~鼻ax∨~長a  8∨I
1  (ア)   ~~鼻ax∨~長a  45789∨I
1  (イ)    ~鼻ax→~長a  ア含意の定義
1  (ウ) ∀z(~鼻zx→~長z) イUI
従って、
(08)により、
(09)
③  ∀z(~鼻zx→~長z)
④ ~∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(07)(10)により、
(11)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
⑥ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(12)
(ⅳ)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}    A
1 (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)     1UE
 3(3)     ~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za&長z)     A
 3(4)    ~[∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)]    3ド・モルガンの法則
13(5)    ~象a                           24MTT
1 (6)   [~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]→~象a  45CP
1 (7)∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x} 6UI
(ⅴ)
1 (1)∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x} A
1 (2)   [~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]→~象a  1UE
 3(3)                              象a  A
 3(4)                            ~~象a  3DN
13(5)  ~[~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]      24MTT
13(6)    ∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)       5ド・モルガンの法則
1 (7)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)     36CP
1 (8)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)}    7UI
従って、
(12)により、
(13)
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}
に於いて、
④=⑤ は、「対偶」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
⑥ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
⑦ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない。
⑧ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、長い、といふことがないか、もしくは、あるzはx鼻でなくて、長い、といふのであれば、xは象ではない。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥=⑦=⑧ である。
然るに、
(15)
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。⇔
⑧ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、長い、といふことがないか、もしくは、あるzはx鼻でなくて、長い、といふのであれば、xは象ではない。
といふことは、要するに、
(16)
(ⅰ)鼻が長くない。ならば、その動物は、象ではなく、
(ⅱ)鼻以外が長い。ならば、その動物は、象ではない。
といふ、ことである。
然るに、
(17)
(ⅰ)兎の鼻は長くない
(ⅱ)兎の耳は鼻ではないが、長い
従って、
(16)(17)により、
(18)
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(19)
(ⅰ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}              A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                       A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE  
 2    (5)   兎a→∃y(鼻ya&~長y)               A
   6  (6)   象a&兎a                        A
   6  (7)   象a                           6&E
1  6  (8)      ∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
1  6  (9)      ∃y(鼻ya& 長y)               8&E
    ア (ア)         鼻ba& 長b                A
    ア (イ)              長b                ア&E
   6  (ウ)      兎a                        6&E
 2 6  (エ)      ∃y(鼻ya&~長y)               5ウMPP
     オ(オ)         鼻ba&~長b                A
     オ(カ)             ~長b                オ&E
    アオ(キ)          長b&~長b                イカ&I
1  6 オ(ク)          長b&~長b                9アキEE
12 6  (ケ)          長b&~長b                エオクEE
123   (コ)          長b&~長b                36ケEE
12    (サ)~∃x(象x&兎x)                      3コRAA
12    (シ)∀x~(象x&兎x)                      サ量化子の関係
12    (ス)  ~(象a&兎a)                      シUE
12    (セ)  ~象a∨~兎a                       ス、ド・モルガンの法則
12    (ソ)  ~兎a∨~象a                       セ交換法則
12    (タ)   兎a→~象a                       ソ含意の定義
12    (チ)∀x(兎x→~象x)                      タUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。    タUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。        タUI
(ⅱ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   象a                                   6&E
1  6  (8)      ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           47MPP
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)                        8&E
    ア (ア)         鼻ba&長b                         A
    ア (イ)             長b                         ア&E
1  6  (ウ)                 ~∃z(~鼻za&長z)           8&E
1  6  (エ)                 ∀z~(~鼻za&長z)           ウ量化子の関係
1  6  (オ)                   ~(~鼻ba&長b)           エUE
1  6  (カ)                   ~~鼻ba∨~長b            オ、ド・モルガンの法則
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b            カ含意の定義
   6  (ク)      兎a                                6&E
 2 6  (ケ)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  5クMPP
 2 6  (コ)      ∃y(耳ya&長y)                        ケ&E
     サ(サ)         耳ba&長b                         A
     サ(シ)         耳ba                            サ&E
 2 6  (ス)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ケ&E
 2 6  (セ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   スUE
 2 6  (ソ)                             耳ba→~鼻ba   ス&E
 2 6 サ(タ)                                 ~鼻ba   シソMPP
12 6 サ(チ)                         ~長b            キタMPP
12 6アサ(ツ)             長b&~長b                     イチ&I
12 6ア (テ)             長b&~長b                     コサツEE
12 6  (ト)             長b&~長b                     9アテEE
123   (ナ)             長b&~長b                     36トEE
12    (ニ)~∃x(象x&兎x)                              3ナRAA
12    (ヌ)∀x~(象x&兎x)                              ニ量化子の関係
12    (ネ)  ~(象a&兎a)                              ヌUE
12    (ノ)  ~象a∨~兎a                               ネ、ド・モルガンの法則
12    (ハ)  ~兎a∨~象a                               ノ交換法則
12    (ヒ)   兎a→~象a                               ハ含意の定義
12    (フ)∀x(兎x→~象x)                              フUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            フUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                フUI
従って、
(14)~(19)により、
(20)
果たして、
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「述語論理(Predicate logic)」としても、「妥当」である。
従って、
(01)~(20)により、
(21)
① 象は、鼻が長い。⇔
② 象は、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}⇔
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
といふ「等式」を、「否定」するのであれば、
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(22)
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(21)(22)により、
(23)
① 象は、鼻が長い。⇔
② 象は、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}⇔
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
然るに、
(24)
金谷先生謂 主題 曰、
 象は、鼻が長い。
この文には主語が一つもない。日本語にそもそも主語など不要であるから当然と言えば当然だが、二重主語どころではないのだ。「象は」は「主題」であり、文がここで切れている。「象について話しますよ」聞き手の注意を引いておき、それに続く話し手のコメントが「鼻が長い」だ。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、79・80頁)
然るに、
(25)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
⑥ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない}。
然るに、
(26)
⑤ すべてのxについて{xが象であるならば、
⑥ すべてのxについて{xが象であるならば、
といふことは、金谷先生が言ふやうに、確かに、「象について話しますよ」といふ「意味」である。
然るに、
(27)
⑦ 象は動物である。⇔
⑦ ∀x(象x→動物x)⇔
⑦ すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
であっても、
⑦ すべてのxについて{xが象であるならば、
といふことは、この場合も、「象について話しますよ」といふ「意味」である。
然るに、
(28)
⑦ ∀x(象x→動物x)
といふ「論理式」に於いて、
③ 動物x=∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)
③ 動物x=∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)
といふ「代入(Substitution)」を行った「結果(instances)」が、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
といふ「論理式」である。
従って、
(24)~(28)により、
(29)
① 象長い。
⑦ 象動物である。
に於ける、
① 象
⑦ 象
に於いて、
①=⑦ である。
従って、
(30)
⑦ 象動物である。
に於ける、
⑦「象」は、「主語」であると思ってゐる私からすれば、
① 象鼻が長い。
に於ける、
①「象」も、「主語」である。