(01)
∀x(日x)∨∀(男x)├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は、
① ∀x(日x)∨∀(男x)
② ∀x(日x∨男x)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふ「意味」である。
然るに、
(02)
xの{変域(ドメイン)}が{a、b、c}であるとき、
① ∀x(日x)∨∀(男x)
といふ「式」は、
①(日a&日b&日c)∨(男a&男b&男c)
といふ「式」に「等しい」。
(03)
xの{変域(ドメイン)}が{a、b、c}であるとき、
② ∀x(日x∨男x)
といふ「式」は、
②(日a∨男a)&(日b∨b)&(日c∨男c)
といふ「式」に「等しい」。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
∀x(日x)∨∀(男x)├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は、
①(日a&日b&日c)∨(男a&男b&男c)
②(日a∨男a)&(日b∨男b)&(日c∨男c)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふ「意味」である。
然るに、
(05)
日a=(aは日本人である。)
日b=(bは日本人である。)
日c=(cは日本人である。)
とする。
従って、
(04)(05)により、
(06)
∀x(日x)∨∀(男x)├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は、
①(aは日本人である。&bは日本人である。&cは日本人である。)∨(aは男性である。&bは男性である。&cは男性である。)
②(aは日本人である。∨aは男性である。)&(bは日本人である。∨bは男性である。)&(cは日本人である。∨cは男性である。)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふ「意味」である。
然るに、
(07)
&=そして、
∨=または、
従って、
(06)(07)により、
(08)
∀x(日x)∨∀(男x)├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は、
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)または、(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふ「意味」である。
然るに、
(08)により、
(09)
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)
といふのであれば、
① aは日本人である。
① bは日本人である。
① cは日本人である。
然るに、
(10)
① aは日本人である。
① bは日本人である。
① cは日本人である。
といふのであれば、
① aは日本人であるか、または、aは男性である。
① bは日本人であるか、または、bは男性である。
① cは日本人であるか、または、bは男性である。
然るに、
(11)
① aは日本人であるか、または、aは男性である。
① bは日本人であるか、または、bは男性である。
① cは日本人であるか、または、bは男性である。
といふのであれば、
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
然るに、
(12)
①(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
といふのであれば、
① aは男性である。
① bは男性である。
① cは男性である。
然るに、
(13)
① aは男性である。
① bは男性である。
① cは男性である。
といふのであれば、
① aは男性であるか、または、aは日本人である。
① bは男性であるか、または、bは日本人である。
① cは男性であるか、または、bは日本人である。
然るに、
(14)
① aは男性であるか、または、aは日本人である。
① bは男性であるか、または、bは日本人である。
① cは男性であるか、または、bは日本人である。
といふのであれば、
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
従って、
(08)~(14)により、
(15)
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)または、(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(16)
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
といふのであれば、
② aは日本人であるが、女性であるかも、知れない。
② bは米国人であって、男性であるかも、知れない。
② cは英国人であって、男性であるかも、知れない。
然るに、
(17)
② aは日本人であるが、女性であるかも、知れない。
② bは米国人であって、男性であるかも、知れない。
② cは英国人であって、男性であるかも、知れない。
といふのであれば、
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)または、(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
といふことには、ならない。
従って、
(16)(17)により、
(18)
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)または、(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
に於いて、
② ならば、② である。とは、限らない。
従って、
(06)(15)(18)により、
(19)
∀x(日x)∨∀(男x)├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は、
①(aは日本人である。そして、bは日本人である。そして、cは日本人である。)または、(aは男性である。そして、bは男性である。そして、cは男性である。)
②(aは日本人である。または、aは男性である。)そして、(bは日本人である。または、bは男性である。)そして、(cは日本人である。または、cは男性である。)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふ「意味」であって、尚且つ、そのことは、「正しい」。
然るに、
(20)
(ⅰ)
1 (1) ∀x日x∨∀x男x A
2 (2) ∀x日x A
2 (3) 日a 2UE
2 (4) 日a∨男a 3∨I
2 (5)∀x(日x∨男x) 4UI
6(6) ∀x男x A
6(7) 男a 6UE
6(8) 日a∨男a 7∨I
6(9)∀x(日x∨男x) 8UI
1 (ア)∀x(日x∨男x) 12569EE
従って、
(20)により、
(21)
① ∀x日x∨∀x男x├ ∀x(日x∨男x)
といふ「連式(Sequent)」は「妥当」である。
然るに、
(22)
(ⅱ)
1 (1)∀x(日x∨男x) A
1 (2) 日a∨男a 1UE
3 (3) 日a A
3 (4) ∀x日x 3UI
3 (5)∀x日x∨∀x男x 4∨I
6(6) 男a A
6(7) ∀x男x 6UI
6(8)∀x日x∨∀x男x 8∨I
1 (9)∀x日x∨∀x男x 23568∨E
といふ「計算」に於いて、
3 (3) 日a A
6(6) 男a A
であって、
1 (3) 日a A
1 (6) 男a A
ではないが故に、
1 (9)∀x日x&∀x男x 11718∨E
といふ「結論」は、「マチガイ」である。
(23)
(ⅱ)
1 (1)∀x(日x∨男x) A
1 (2) 日a∨男a 1UE
3 (3) 日a A
までは、「正しい」。
然るに、
(24)
1 (2) 日a∨男a 1UE
といふ「行」は、
1により、(2)「日a(aは日本人である。)」か、
「男a(aは男性である。)」の内の、少なくとも、一方は、「真(本当)」である。
といふ「意味」である。
然るに、
(25)
3 (3) 日a A
といふ「行」は、
3により、(3)「日a(aは日本人である。)」と「仮定」する。
といふ「意味」である。
然るに、
(26)
3 (4) ∀x日x 3UI
といふ「行」は、
3により、(5)「すべてのx(人)は日本人である。」
といふ「意味」である。
然るに、
(27)
「aさん一人が、日本人である。」からと言って、
「すべての人が、日本人である。」とは、言へない。
従って、
(23)~(27)により、
(28)
(ⅱ)
1 (1)∀x(日x∨男x) A
1 (2) 日a∨男a 1UE
3 (3) 日a A
までは、「正しい」が、
3 (4) ∀x日x 3UI
に至って、「マチガイ」になる。
(29)
(ⅲ)
1 (1)∃x(日x∨男x) A
2 (2) 日a∨男a A
3(3) 日a A
3(4) ∀x日x 3UI
とすれば、この場合も、「そして第1の選言項Faを(3)の行に仮定する。しかし(3)は「a」を含む故、∀x日xを結論することをさしとめられる(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、156頁改)。」
(30)
xの{変域(ドメイン)}が{a、b、c}であるとき、
③ ∃x(日x∨男x)
といふ「式」は、
③(日a∨男a)∨(日b∨男b)∨(日c∨男)
といふ「式」に「等しく」、
③(日a∨男a)∨(日b∨男b)∨(日c∨男)
といふ「式」は、
③(日a∨日b∨日c∨男a∨男b∨男c)
といふ「式」に、「等しい」。
然るに、
(31)
③(日a∨日b∨日c∨男a∨男b∨男c)
といふ「式」からは、
③ ∀x日x=(日a&日b&日c)=(すべての人は、日本人である。)
とは、言へない。