日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(503)「漢文の二重否定」と「英語の二重否定」。

2020-02-07 18:56:15 | 漢文 英語

(01)
① 無不知劉氏者=
① 無[不〔知(劉氏)〕者〕]⇒
① [〔(劉氏)知〕不者〕]無=
① [〔(劉氏を)知ら〕不る者〕]無し=
① 誰もが皆、劉氏を知ってゐる(Everybody knows 劉氏)。
然るに、
(02)
① 不〔知(劉氏)〕⇒
① 〔(劉氏を)知ら〕ず。
ではなく、
① 不〔知(我)〕⇒
① 〔(我を)知ら〕ず。
のやうに、
①「他動詞」の「目的語」が「我(代名詞)」である場合は、例外(論語、学而、八)は有るものの、
① 不(我知)⇒
① (我を知ら)ず。
といふ「語順」になる。
従って、
(02)により、
(03)
① 無不我好者=
① 無〔不(我好)者〕⇒
① 〔(我を好か)ざる者〕無し=
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
然るに、
(04)
② 我無事不知=
② 我無〔事不(知)〕⇒
② 我〔事(知)不〕無=
② 我に〔事として(知ら)ざるは〕無し=
② 私には、知らない事が無い(どんな事でも知ってゐる)。
(05)
③ 彼非不説子之道者=
③ 彼非[不〔説(子之道)〕者]⇒
③ 彼[〔(子之道)説〕不者]非=
③ 彼は[〔(子の道)を説ば〕ざる者に]非ず=
③ 彼は、先生が説く道を、嬉しく思はない者ではない。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
「漢文訓読」に於いて、
否定否定(二重否定)」は、「肯定」である。
然るに、
(07)
このような用法は、特に英語で問題になる。たとえば、Nobody don't like me. (誰も僕を好いてくれない)や I don't know nothing. (僕は何も知らない) などがこれにあたる。
このような言い方は2つの否定を意味する語句が対応しあって1つの否定表現を形作るもので、英語は本来はこのように否定文では否定形の語を一貫して使う否定呼応を用いる言語であった。すなわち、否定呼応を用いる言語では、二重に否定語を用いても単純にひとつの否定表現を作るだけであり、論理学的に見た場合は単なる否定である。しかし、否定呼応を用いない言語では、二重に否定語を用いることは論理学的に見るところの「否定」の否定であり、肯定である(ウィキペディア:二重否定)。
従って、
(04)~(07)により、
(08)
① 無不我好者=誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
② 我無事不知=私には、知らない事が無い(I know everything)。
に対して、「英語」の場合は、
① Nobody don't like me=誰もが皆、我のことを好きではない。
② I don't know nothing=僕は何も知らない。
といふ、ことになる。
然るに、
(09)
① Nobody don't like me   =誰も僕を好いてくれない。
① Anybody doesn't like me=誰も僕を好いてくれない。
② I don't know nothing  =僕は何も知らない。
② I don't know anything =僕は何も知らない。
従って、
(09)により、
(10)
① Nobody don't like me   =誰も僕を好いてくれない。
① Anybody doesn't like me=誰も僕を好いてくれない。
② I don't know nothing  =僕は何も知らない。
② I don't know anything =僕は何も知らない。
であるため、
① Nobody・nothing は、
② Anybody・anything に、「等しい」。
然るに、
(11)
① Nobody・nothing は、
② Anybody・anything に、「等しく」ない
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① Nobody don't like me=誰も僕を好いてくれない。
② I don't know nothing=僕は何も知らない。
に於いて、「矛盾」してゐるのは、「漢文」ではなく、「英語」である。
然るに、
(13)
① Nobody don't like me.
といふ「語の英語」を、
① No body not like me.
といふ「語の英語」として、「漢字」に「置き換へ」ると、
① 無 人 不 好 我。
といふ「漢文」になる。
然るに、
(14)
① 無人不好我=
① 無[人不〔好(我)〕]⇒
① [人〔(我)好〕不]無=
① [人にして〔(我を)好ま〕不るは]無し=
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
従って、
(03)(14)により、
(15)
① 無〔不(我好)者〕。
① 無[人不〔好(我)〕]。
に於いて、両方とも、
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
である。
然るに、
(16)
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである。なんことはない。諸君が古文や英語の時間でいつも練習している、あの「どこまでかかるか」である。漢文もことばである以上、これは当然でてくる問題である(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、389頁)。
従って、
(16)により、
(17)
[人不〔好(我)〕]。
であるといふことは、
人 不 好 我。
に於いて、
 
といふ「漢字」は、
①   人 不 好 我。
といふ「4つの漢字」に、「管到(Scope)」してゐる。
然るに、
(18)
① 無 人
ではなく、
① 無-
であるとすると、
[人不〔好(我)〕]。
といふ「管到(Scope)」ではなく、
無‐人不〔好(我)〕。
といふ「管到(Scope)」が、有ることになる。
然るに、
(19)
① 無人不好我=
無‐人不〔好(我)〕。
であるならば、
① 無人不好我=
[人不〔好(我)〕]⇒
① [人〔(我)好〕不]無=
① [人にして〔(我を)好ま〕不るは]無し=
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
といふ「漢文訓読」は、成立しないし
(20)
① 無 人不好我=人にして我を好ま不るは無し。
と読まずに、
無-人不好我=無人、我を好まず。
と読んでしまふと、
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
といふ「意味」が、「不安定」になる。
従って、
(13)(18)(19)(20)により、
(21)
① Nobody don't like me.
といふ「英語」が、
No body not like me.
といふ「意味」ではなく、飽く迄も、
No-body not like me.
といふ「意味」であるならば、
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
といふ「意味」が、「不安定」になる。
といふことは、分からないでも、ない
然るに、
(22)
Nobody don't like me.
-人不好我=無人、我を好まず。
であっても、
① Anybody doesn't like me.
ではなく、
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
である。といふことには、「変り」が無い
従って、
(22)により、
(23)
しかし18世紀にきわめて人工的・作為的性質の強い規範文法が整備された際、否定呼応という言語現象に無理解な学者たちは、論理学規範を言語という特殊条件を考慮せずに適応し、「否定語を2回使うということは否定の否定を意味し、論理的に肯定である」と主張し、英語の否定呼応を抹殺した。とりわけ聖職者ロバート・ラウスが 1762 年に出版した文法書 A Short Introduction to English Grammar with Critical Notes は否定呼応を否定の否定であるとみなし(今日の言語学的観点からすれば『誤解』し)、この表現を非文法的な言い方の最たるものとしている。これにより英語は否定呼応を用いる言語から緩叙法を用いる言語へと半ば強制的に変換させられた(ウィキペディア:二重否定)。
とは言ふものの、
① Nobody don't like me.
無-人不好我=無人、我を好まず。
であっても、固より、
① 誰もが皆、我のことを好きである(Everybody likes me)。
といふことには、「変り」が無い。
といふ事実が無かったとしたら、聖職者ロバート・ラウスであっても、「否定呼応を否定の否定である」とは、みなさなかった
と、すべきである。


(502)「パースの法則」に対する、「自然演繹」による「証明」(其の?th)。

2020-02-07 17:41:13 | 論理

(01)
5 原始的規則あるい導出された規則を、既に証明されたどのような連式あるいは定理とでも、ともに用いて、証明せよ。
5 Using primitive or derived rules, together with any sequents or theorems already proved, prove;
(c)├((P→Q)→P)→P 
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、80頁と、原文)
cf.
ただし、「E.J.レモン、論理学初歩」には、「練習問題の解答」は、載ってゐません。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1   (1)  (P→ Q)→P  A
1   (2) ~(P→ Q)∨P  1含意の定義(Ⅱ)
 2  (3) ~(P→ Q)    A
  3 (4)  ~P∨ Q     A
  3 (5)   P→ Q     4含意の定義(Ⅱ)
 23 (6) ~(P→ Q)&
         (P→ Q)    35&I
 2  (7)~(~P∨ Q)    46RAA
 2  (8)   P&~Q     7ド・モルガンの法則
 2  (9)   P        8&E
   ア(ア)          P A
1   (イ)          P 239アア∨E
    (ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
(ⅱ)
1  (1) P∨(P&~Q)    A
 2 (2) P           A
  3(3)   (P&~Q)    A
  3(4)    P        3&E
1  (5)    P        1134∨E
   (6)(P∨(P&~Q))→P 15CP
然るに、
(03)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(02)(03)により、
(04)
①├((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばP。
②├(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「連式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1   (1)  ((P→ Q)→ P)→P A
1   (2) ~((P→ Q)→ P)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 3  (3) ~((P→ Q)→ P)   A
  4 (4) ~((P→ Q)&~P)   A
  4 (5)   (P→ Q)→ P    4含意の定義(Ⅰ)
 34 (6) ~((P→ Q)→ P)&
         ((P→ Q)→ P)   35&I
 3  (7)~~((P→ Q)&~P)   46RAA
 3  (8)  ((P→ Q)&~P)   6DN
 3  (9)    P→ Q        8&E
 3  (ア)  ~(P&~Q)       9含意の定義(Ⅰ)
 3  (イ)          ~P    8&E
 3  (ウ)   ~P&~(P&~Q)   アイ&I
 3  (エ)  ~(P∨(P&~Q))   ウ、ド・モルガンの法則
 3  (オ)  ~(P∨(P&~Q))∨P エ∨I
   カ(カ)              P A
   カ(キ)  ~(P∨(P&~Q))∨P カ∨I
1   (ク)  ~(P∨(P&~Q))∨P 13オカキ∨E
1   (ケ)   (P∨(P&~Q))→P ク含意の定義(Ⅱ)
1   (〃)(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
(ⅱ)
1   (1)   (P∨(P&~Q))→P A
1   (2)  ~(P∨(P&~Q))∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 2  (3)  ~(P∨(P&~Q))   A
 2  (4)  ~P&~(P&~Q)    3ド・モルガンの法則
 2  (5)  ~(P&~Q)&~P    4交換法則
 2  (6)  ~(P&~Q)       5&E
 2  (7)    P→ Q        6含意の定義(Ⅰ)
  8 (8)   (P→ Q)→ P    A
 28 (9)           P    78MPP
 2  (ア)          ~P    5&E
 28 (イ)        P&~P    89&I
 2  (ウ) ~((P→ Q)→ P)   8イRAA
 2  (エ) ~((P→ Q)→ P)∨P ウ∨I
   オ(オ)              P A
   オ(カ) ~((P→ Q)→ P)∨P オ∨I
1   (キ) ~((P→ Q)→ P)∨P 23エオカ∨E
1   (ク)  ((P→ Q)→ P)→P キ含意の定義
1   (〃)((PならばQ)ならばP)ならばP。
従って、
(05)により、
(06)
①((P→Q)→P)→ P
②(P∨(P&~Q))→P
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
①├((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②├(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「連式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅱ)
1 (1)  P→ Q  A
 2(2)  P&~Q  A
 2(3)  P     2&E
 2(4)    ~Q  2&E
12(5)     Q  13MPP
12(6)  ~Q&Q  45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅲ)
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   A
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
1     (ウ)  P→ Q   イ含意の定義(Ⅰ)
(ⅳ)
1  (1)    P→Q   A
 2 (2) ~(~P∨Q)  A
  3(3)   ~P     A
  3(4)   ~P∨Q   3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  24&I
 2 (6)  ~~P     35RAA
 2 (7)    P     6DN
12 (8)      Q   17MPP
12 (9)   ~P∨Q   8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  29&I
1  (イ)~~(~P∨Q)  2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q   イDN
(ⅴ)
1   (1) ~(P∨ Q)  A
 2  (2)   P      A
 2  (3)   P∨ Q   2∨I
12  (4) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  13&I
1   (5)  ~P      24RAA
  6 (6)      Q   A
  6 (7)   P∨ Q   6∨I
1 6 (8) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  17&I
1   (9)     ~Q   68RAA
1   (ア)  ~P&~Q   59&I
(ⅵ)
1   (1)  ~P&~Q   A
 2  (2)   P∨ Q   A
  3 (3)   P      A
1   (4)  ~P      1&E
1 3 (5)   P&~P   34&I
  3 (6)~(~P&~Q)  13RAA
   7(7)      Q   A
1   (8)     ~Q   1&E
1  7(9)   Q&~Q   78&I
   7(ア)~(~P&~Q)  19RAA
 2  (イ)~(~P&~Q)  2367ア∨E
12  (ウ)~(~P&~Q)&
        (~P&~Q)  1イ&
1   (エ) ~(P∨Q)  2ウRAA
従って、
(08)により、
(09)
① ~(P&~Q)≡Pであって Qでない。といふことはない。
②     P→  Q ≡Pならば、 Qである。
③  ~P∨ Q ≡Pでないか、Qである。
④    P→ Q ≡Pならば、 Qである。
⑤ ~(P∨ Q)≡Pであるか、Qである。といふことはない。
⑥   ~P&~Q ≡Pでなくて、Qでない。
に於いて、
①=② であって、この「等式」を「含意の定義(Ⅰ)」 とする。
③=④ であって、この「等式」を「含意の定義(Ⅱ)」 とする。
⑤=⑥ であって、この「等式」を「ド・モルガンの法則」とする。
然るに、
(10)
① 仮定(A)
② 前件肯定(MPP)
③ 後件否定(MTT)
④ 二重否定(DN)
⑤ 条件法的証明(CP)
⑥ 連言導入(&I)
⑦ 連言除去(&E)
⑧ 選言導入(∨I)
⑨ 選言除去(∨E)
⑩ 背理法(RAA)  
といふ「10個の規則」を、「原始的規則(primitive rules)」といふ。
従って、
(01)~(10)により、
(11)
5 原始的規則あるい導出された規則を、既に証明されたどのような連式あるいは定理とでも、ともに用いて、
5 Using primitive or derived rules, together with any sequents or theorems already proved,
①├((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②├(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「連式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ
①=② である。
といふことが、「証明」された。
然るに、
(12)
5 次の連式を、原始的規則のみによって証明せよ
5 Prove the following sequent by primitive rules alone:
(c)├((P→Q)→P)→P
といふ「問題」であるならば、
〔解答〕は、
(ⅲ)
1      (1)  (P→Q)→ P   A
 2     (2)  (P→Q)&~P   A
 2     (3)  (P→Q)      2&E
12     (4)         P   13MPP
 2     (5)        ~P   2&E
12     (6)      P&~P   45&I
1      (7)       ~~P   26RAA
1      (8)         P   7DN
1      (9) ~(P→ Q)∨P   8∨I(含意の定義Ⅱを、証明した)。
  ア    (ア) ~(P→ Q)     A
   イ   (イ) ~(P&~Q)     A
    ウ  (ウ)   P         A
     エ (エ)     ~Q      A
    ウエ (オ)   P&~Q      ウエ&I
   イウエ (カ) ~(P&~Q)&
            (P&~Q)     イオ&I
   イウ  (キ)    ~~Q      エカRAA
   イウ  (ク)      Q      キDN
   イ   (ケ)   P→ Q      ウクCP(含意の定義Ⅰを、証明した)。
  アイ   (コ) ~(P→ Q)&
            (P→ Q)     アケ&I
  ア    (サ)~~(P&~Q)     イコRAA
  ア    (シ)   P&~Q      サDN
       (ス)   P         シ&E
      セ(セ)         P   A
1      (ソ)         P   9アスセセ∨E
       (タ)((P→Q)→P)→P  1クCP
       (〃)((PならばQ)ならばP)ならばPである。
といふ、ことになる。
然るに、
(02)により、
(13)
もう一度、確認すると、
(ⅱ)
1  (1) P∨(P&~Q)    A
 2 (2) P           A
  3(3)   (P&~Q)    A
  3(4)    P        3&E
1  (5)    P        1134∨E
   (6)(P∨(P&~Q))→P 15CP
   (〃)(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
であって、尚且つ、この場合は、「A、&E、∨E、CP」といふ「原始的規則primitive rules)」だけしか、使はれてゐない
従って、
(03)(12)(13)により、
(14)
5 原始的規則を用ひて、
5 Using primitive rules,
①├((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②├(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「連式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことが、「証明」された。
然るに、
(08)(09)(10)により、
(15)
① ~(P&~Q)≡Pであって Qでない。といふことはない。
②     P→  Q ≡Pならば、 Qである。
③  ~P∨ Q ≡Pでないか、Qである。
④    P→ Q ≡Pならば、 Qである。
⑤ ~(P∨ Q)≡Pであるか、Qである。といふことはない。
⑥   ~P&~Q ≡Pでなくて、Qでない。
に於いて、
①=② であって、この「等式」を「含意の定義(Ⅰ)」 とする。
③=④ であって、この「等式」を「含意の定義(Ⅰ)」 とする。
⑤=⑥ であって、この「等式」を「ド・モルガンの法則」とする。
場合に、これらの「等式」を「証明」したのは、
① 仮定(A)
② 前件肯定(MPP)
③ 後件否定(MTT)
④ 二重否定(DN)
⑤ 条件法的証明(CP)
⑥ 連言導入(&I)
⑦ 連言除去(&E)
⑧ 選言導入(∨I)
⑨ 選言除去(∨E)
⑩ 背理法(RAA)  
といふ「原始的規則primitive rules)」に他ならない
従って、
(05)(15)により、
(16)
(ⅰ)
1  (1) ((P→Q)→P)→P A
1  (2)~((P→Q)→P)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
であれば、
1  (1)    ((P→Q)→P)→P   A
 2 (2) ~(~((P→Q)→P)∨P)  A
  3(3)   ~((P→Q)→P)     A
  3(4)   ~((P→Q)→P)∨P   3∨I
 23(5) ~(~((P→Q)→P)∨P)&
        (~((P→Q)→P)∨P)  24&I
 2 (6)  ~~((P→Q)→P)     35RAA
 2 (7)    ((P→Q)→P)     6DN
12 (8)              P   17MPP
12 (9)   ~((P→Q)→P)∨P   8∨I
12 (ア) ~(~((P→Q)→P)∨P)&
        (~((P→Q)→P)∨P)  29&I
1  (イ)~~(~((P→Q)→P)∨P)  2アRAA
1  (ウ)   ~((P→Q)→P)∨P   イDN
といふ風に、書くことによって、『証明の中で、「含意の定義)」自体を「証明」することが出来るし、「含意の定義)」であっても、「ド・モルガンの法則」であっても、『証明』の中で、「証明」を書くことが、出来る。
従って、
(05)(15)(16)により、
(17)
(ⅰ)
1   (1)  ((P→ Q)→ P)→P A
1   (2) ~((P→ Q)→ P)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 3  (3) ~((P→ Q)→ P)   A
  4 (4) ~((P→ Q)&~P)   A
  4 (5)   (P→ Q)→ P    4含意の定義(Ⅰ)
 34 (6) ~((P→ Q)→ P)&
         ((P→ Q)→ P)   35&I
 3  (7)~~((P→ Q)&~P)   46RAA
 3  (8)  ((P→ Q)&~P)   6DN
 3  (9)    P→ Q        8&E
 3  (ア)  ~(P&~Q)       9含意の定義(Ⅰ)
 3  (イ)          ~P    8&E
 3  (ウ)   ~P&~(P&~Q)   アイ&I
 3  (エ)  ~(P∨(P&~Q))   ウ、ド・モルガンの法則
 3  (オ)  ~(P∨(P&~Q))∨P エ∨I
   カ(カ)              P A
   カ(キ)  ~(P∨(P&~Q))∨P カ∨I
1   (ク)  ~(P∨(P&~Q))∨P 13オカキ∨E
1   (ケ)   (P∨(P&~Q))→P ク含意の定義(Ⅱ)
1   (〃)(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
(ⅱ)
1   (1)   (P∨(P&~Q))→P A
1   (2)  ~(P∨(P&~Q))∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 2  (3)  ~(P∨(P&~Q))   A
 2  (4)  ~P&~(P&~Q)    3ド・モルガンの法則
 2  (5)  ~(P&~Q)&~P    4交換法則
 2  (6)  ~(P&~Q)       5&E
 2  (7)    P→ Q        6含意の定義(Ⅰ)
 2  (8)          ~P    5&E
 2  (9)   (P→ Q)&~P    78&I
  ア (ア)   (P→ Q)→ P    A
 2  (イ)   (P→ Q)       9&E
 2ア (ウ)           P    アイMPP
 2  (エ)          ~P    9&E
 2ア (オ)        P&~P    ウエ&I
 2  (カ) ~((P→Q)→P)     アオRAA
 2  (キ) ~((P→Q)→P)∨P   カ∨I
   ク(ク)              P A
   ク(ケ) ~((P→Q)→P)∨P   ク∨I
1   (コ) ~((P→Q)→P)∨P   12キクケ∨E
1   (サ)  ((P→Q)→P)→P   コ含意の定義(Ⅱ)
1   (〃)((PならばQ)ならばP)ならばP。
といふ『証明』が行はれた。といふことは、「10個の原始的規則10 primitive rules)」で以て、『証明』が行はれた。
といふことに、他ならない。
従って、
(01)~(17)により、
(18)
原始的規則のみによって、
5 by primitive rules alone:
①├((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②├(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「連式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ
①=② である。
といふことが、「証明」された。
然るに、
(19)
②(Pであるか(PであってQでない))ならばPである
といふことは、「当然」である。
従って、
(18)(19)により、
(20)
①((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②(Pであるか(PであってQでない))ならばPである
に於いて、
①=② であって、
  ② は、「当然」である以上、
① は、当然、「当然」である。
然るに、
(21)
①((P→Q)→P)→P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
といふ「恒真式(トートロジー)」を、「パースの法則」といふ。
従って、
(20)(21)により、
(22)
①((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「少しも、変」ではなく、「極めてまとも」である。
然るに、
(23)
排中律二重否定の除去等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→Q)→P)→P
が成り立つ
『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね。
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)
従って、
(22)(23)により、
(24)
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)のオーナーの方には、
①((P→Q)→P)→ P≡((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「少しも、変」ではなく、「極めて、まとも」であると、言ひたいし、
②(P∨(P&~Q))→P≡(Pであるか(PであってQでない))ならばPである。
といふ「パースの法則」が、どうして、「排中律二重否定の除去等価」なのか(?)。
といふことを、「質問」したい。