日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(65)述語論理に「固有名詞」は不要である。

2018-07-28 20:39:35 | 論理
(01)
First, I define a proper name as one of the marks
aaaaaaaaaa'm','n',....
Secondly, I define an arbitrary name as one of the marks
aaaaaaaaaa'a','b','c',....
Thirdly, I define an individual variable as one of the marks
aaaaaaaaaa'x','y','z',....
Fourthly, I define a predicate-letter as one of the marks
aaaaaaaaaa'F','G','H',....
(E.J.Lemmon, Beginning Logic,P138)
(02)
第1に、(私は)固有名詞をつぎの符号のひとつとして定義する。
     m,n,・・・・・
第2に、(私は)任意の名前をつぎの符号のひとつとして定義する。
     a,b,c,・・・・・
第3に、(私は)個体変数をつぎの符号のひとつとして定義する。
     x,y,z,・・・・・
第4に、(私は)述語文字をつぎの符号のひとつとして定義する。
     F,G,H,・・・・・
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、176頁改)
然るに、
(03)
モハメッドは、「固有名詞(a proper name)」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
馭者m=モハメッドは馭者である。
駱駝x=xは駱駝である。
といふ風に、書く。
然るに、
(05)
練習問題2 つぎの論証の妥当性を示せ。
(b) すべての駱駝はやさしい馭者を好む。幾らかの駝駝はモハメッドを好まない。モハメッドは馭者である。故にモハメッドは優しくない。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、174頁)。
従って、
(04)(05)により、
(06)
私の解答(b)
1    (1)∀x{駱駝x→∀y(馭者y&優y→好xy)} A
 2   (2)∃x(駱駝x&~好xm)           A
  3  (3)馭者m                    A
   4 (4)   優m                  A
1    (5)   駱駝a→∀y(馭者y&優y→好ay)  1UE
1    (6)   駱駝a→   馭者m&優m→好am   1UE
    7(7)   駱駝a&~好am            A
    7(8)   駱駝a                 7&E
1   7(9)         馭者m&優m→好am    68MPP
  34 (ア)         馭者m&優m        34&I
1 347(イ)                好am    9アMPP
    7(ウ)      ~好am             7&E
1 347(エ)      ~好am&好am         イウ&I
1 3 7(オ)  ~優m                   4エRAA
123  (カ)  ~優m                   27オEE
123  (カ)モハメッド(m)は優しくない。
cf.
「論理学初歩」には「練習問題(ranging from the simple to the challenging)」の「解答」が載ってゐませんし、仮に、「解答」が有ったとしても、「証明の順番」が「一致」するとは、限りません。
然るに、
(07)
私の別解(b)
1       (1)∀x{駱駝x→∀y(馭者y&優y→好xy)} A
 2      (2)∃x∃y(駱駝x&モハメッドy&~好xy)  A
  3     (3)  ∃y(駱駝a&モハメッドy&~好ay)  A
   4    (4)     駱駝a&モハメッドb&~好ab   A
   4    (5)     駱駝a               4&E
   4    (6)         モハメッドb        4&E
   4    (7)                ~好ab   4&E
    8   (8)  ∃y(モハメッドy&馭者y)       A
     9  (9)     モハメッドb&馭者b        A
     9  (ア)            馭者b        9&E
      イ (イ)  ∃y(モハメッドy&優y)        A
       ウ(ウ)     モハメッドb&優b         A
       ウ(エ)            優b         ウ&E
1       (オ)   駱駝a→∀y(馭者y&優y→好ay)  1UE
1  4    (カ)       ∀y(馭者y&優y→好ay)  5オMPP
1  4    (キ)          馭者b&優b→好ab   カUE
     9 ウ(ク)          馭者b&優b       アエ&I
1  4 9 ウ(ケ)                 好ab   キクMPP
1  4 9 ウ(コ)            ~好ab&好ab   7ケ&I
1  4 9  (サ)           ~優b         エコRAA
1  4 9  (シ)    モハメッドb&~優b         6サ&I
1  4 9  (ス) ∃y(モハメッドy&~優y)        シEI
1  48   (セ) ∃y(モハメッドy&~優y)        89スEE
1 3 8   (ソ) ∃y(モハメッドy&~優y)        34セEE
12  8   (タ) ∃y(モハメッドy&~優y)        23ソEE
12  8   (チ)或るyはモハメッドであってyは優しくない。
12  8   (ツ)    モハメッドは優しくない。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
「すべての駱駝はやさしい馭者を好む。幾らかの駝駝はモハメッドを好まない。モハメッドは馭者である。故にモハメッドは優しくない。」
といふ「論証」を行ふ際に於いても、「固有名詞(m,n,・・・・・)」は、不要である。
然るに、
(09)
「日本語に即した文法の樹立を」を目指すわれわれは「日本語で人称代名詞と呼ばれているものは、実は名詞だ」と宣言したい。どうしても区別したいなら「人称名詞」で十分だ。日本語の「人称代名詞」はこれからは「人称名詞」と呼ぼう。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、40・41頁)
従って、
(09)により、
(10)
「(日本語の)私」は、「(日本語の)馭者」や「(日本語の)駱駝」と同じく、単なる「名詞」に過ぎない。
従って、
(01)(07)(10)により、
(11)
1       (1)∀x{駱駝x→∀y(馭者y&優y→好xy)} A
 2      (2)∃x∃y(駱駝x&吾輩y&~好xy)     A
  3     (3)  ∃y(駱駝a&吾輩y&~好ay)     A
   4    (4)     駱駝a&吾輩b&~好ab      A
   4    (5)     駱駝a               4&E
   4    (6)         吾輩b           4&E
   4    (7)                ~好ab   4&E
    8   (8)  ∃y(吾輩y&馭者y)          A
     9  (9)     吾輩b&馭者b           A
     9  (ア)            馭者b        9&E
      イ (イ)  ∃y(吾輩y&優y)           A
       ウ(ウ)     吾輩b&優b            A
       ウ(エ)            優b         ウ&E
1       (オ)   駱駝a→∀y(馭者y&優y→好ay)  1UE
1  4    (カ)       ∀y(馭者y&優y→好ay)  5オMPP
1  4    (キ)          馭者b&優b→好ab   カUE
     9 ウ(ク)          馭者b&優b       アエ&I
1  4 9 ウ(ケ)                 好ab   キクMPP
1  4 9 ウ(コ)            ~好ab&好ab   7ケ&I
1  4 9  (サ)           ~優b         エコRAA
1  4 9  (シ)    吾輩b&~優b            6サ&I
1  4 9  (ス) ∃y(吾輩y&~優y)           シEI
1  48   (セ) ∃y(吾輩y&~優y)           89スEE
1 3 8   (ソ) ∃y(吾輩y&~優y)           34セEE
12  8   (タ) ∃y(吾輩y&~優y)           23ソEE
12  8   (チ)或るyは吾輩であってyは優しくない。
12  8   (ツ)    吾輩は優しくない。
といふ「論証」は、「日本語」としては、「妥当(Valid)」である。
従って、
(09)(11)により、
(12)
「日本語で人称代名詞と呼ばれているものは、実は名詞だ」といふことは、「述語論理には、さうであることに、「不都合」はない。
(13)
わ【我・吾・和】〔接頭〕親しみの情や軽い敬意、または軽んじいやしめる気持ちを表す二人称代名詞をつくる。多く、対等または目下の人に用いられれる。[例]「わ御許」「わ殿」「わ主」
(大修館書店、古語林、1997年、1397頁)
従って、
(13)により、
(14)
「吾輩(一人称代名詞)」に対する「吾主」は、「日本語の、作られた二人称代名詞」であるが、「You」や「tu」は、「作られない」。
従って、
(15)
「日本語で人称代名詞と呼ばれているもの」は、「You」や「tu」とは、同じではない