日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(64)人称名詞:吾輩は猫であるがタマではない。

2018-07-27 12:40:21 | 論理
(01)
1   (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
 2  (2)    吾輩a&猫a& ~∃y(名前ya)  A
 2  (3)    吾輩a                2&E
 2  (4)        猫a             2&E
 2  (5)            ~∃y(名前ya)  2&E
  6 (6) ∃x{タマx&     ∃y(名前yx)  A 
   7(7)    タマa&     ∃y(名前ya)  A
   7(8)    タマa&               7&E
   7(9)             ∃y(名前ya)  7&E
 2 7(ア)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)  59&I
 26 (イ)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)  67アEE
 2  (ウ)~∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} 6イRAA
 2  (エ)∀x~{タマx&     ∃y(名前yx)} ウ量化子の関係
 2  (オ)  ~{タマa&     ∃y(名前ya)} エUE
 2  (カ)   ~タマa∨    ~∃y(名前ya)  オ、ドモルガンの法則
 2  (キ)   ~∃y(名前ya)∨~タマa      カ交換法則
 2  (ク)    ∃y(名前ya)→~タマa      キ含意の定義
 2 7(ケ)             ~タマa      9クMPP
 2 7(コ)    吾輩a&~タマa           3ケ&I
 2 7(サ)    吾輩a&~タマa&猫a        4コ&I
 2 7(シ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       サEI
 26 (ス) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       67シEE
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       12スEE
従って、
(01)により、
(02)
1 (1)あるxは吾輩であって、猫であって、あるyがxの名前であるといふことはない。
6 (6)あるxはタマであって、あるyはxの名前である。
16(セ)あるxは吾輩であって、タマではなく、猫である。
従って、
(02)により、
(03)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」は「正しい」。
然るに、
(04)
1   (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
  6 (6) ∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} A 
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       12スEE
といふ「記号」は、
1   (1) ∃x{Fx&Gx& ~∃y(Hyx)} A
  6 (6) ∃x{Ix&     ∃y(Hyx)} A 
1 6 (セ) ∃x(Fx&~Ix&Gx)       12スEE
といふ「記号」に、等しい。
然るに、
(05)
第1に、固有名詞をつぎの符号のひとつとして定義する。
   m,n,・・・・・
第2に、任意の名前をつぎの符号のひとつとして定義する。
   a,b,c,・・・・・
第3に、個体変数をつぎの符号のひとつとして定義する。
   x,y,z,・・・・・
第4に、述語文字をつぎの符号のひとつとして定義する。
   ,・・・・・
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、176頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
1   (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
  6 (6) ∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} A 
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       12スEE
に於いて、
「吾輩」は「述語文字(F)」であって、
a「猫」aは「述語文字(G)」であって、
「名前」は「述語文字(H)」であって、
「タマ」は「述語文字(I)」である。
従って、
(03(06)により、
(07)
例へば、「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには(タマといふ)名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」を行ふ際の、
1   (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
  6 (6) ∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} A 
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       12スEE
といふ「述語論理」に、「人称代名詞、普通名詞、普通名詞、固有名詞」といふ「区別」は、「不要」である。
然るに、
(08)
「日本語に即した文法の樹立を」を目指すわれわれは「日本語で人称代名詞と呼ばれているものは、実は名詞だ」と宣言したい。どうしても区別したいなら「人称名詞」で十分だ。日本語の「人称代名詞」はこれからは「人称名詞」と呼ぼう。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、40・41頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
「述語論理」だけでなく、「日本語」に於いても、「人称代名詞」は、単なる「名詞」に過ぎない。
(10)
述語論理はもともと数学の理論の記述を目的として生まれたもので、 どのような数学的内容も記述できることが経験的に知られている。この高い記述能力は数学以外の知識体系にも応用できる可能性を示している(V. 述語論理の意味論)。
然るに、
(11)
「数学の理論の記述」する際に、「吾輩(人称名詞)」のやうな「語」を用ゐることはない。
従って、
(12)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふやうな「推論」を行ふために、「述語論理」が発明されたワケではない。