音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

右麻痺で失語症の母が発した言葉

2021-03-19 06:54:52 | ひとりごと
今日は「ひとりごと」として近況を残しておきます。
95才の母が脳梗塞で倒れて入院したという電話が義姉からあり、
余りにも突然の知らせに「えっ?」というだけで言葉を失いました。

遠距離なので、母からの電話を毎週楽しみにしていました。
超高齢の母から電話を待つことに拘りました。
認知症になっても不思議ではない年齢なので自ら電話できるということ、
母が話したいという「その時」を大切にしたいということから
電話を「待つ」ことにしていました。

入院する前の週も同じように電話があり、近況や雑談などを話していました。
会話をしながらも、認知症の兆候が少しでもないのかと私なりに確認しながら
ゆったりとした笑いのあるひと時になっていました。
コロナ禍とは言うものの、マスクの習慣に慣れていないので
ついつい忘れてしまうこと、保育所の幼児が目の前の公園で遊んでいるのを
見るのが楽しみなこと、一人でかかりつけ医院へ行ってきたこと、等々。

急なこととは言え、超高齢なのでいつお別れが来てもおかしくないので
コロナ禍での面会をお願いする電話をすると、
「後悔のないようにということでの面会で、短めにお願いします」と
許可をいただき新幹線に乗って会いに行きました。
行先の県もコロナ感染が落ち着いてきていたというも要因の一つかと思いました。

脳梗塞で右麻痺、失語症という診断でした。
入院してから熱が出たので、点滴しながら安静にしているという事でした。
病院の玄関口で熱を測り、消毒をしてマスクを二重にして
面会の手続きを終えて病室の前で再度消毒をしました。

病室に入り私の顔を見ると、マスク超しながら驚きと喜びの表情をしました。
私の事を理解していることが分かって嬉しく思うと同時に
短い時間の面会なので、曾孫たちの可愛いお見舞いメッセージの動画を見せ、
続けて孫のバイオリン演奏の録音を耳に当てて聞いてもらいました。

しっかり動画を見ながらでしたが、バイオリン演奏の時は泣きそうな表情になり、
私も涙が溢れそうになりました。泣いてはいけないと思いながら、
なるべく元気に近況を伝えているとアッと言う間に時間が過ぎていき、
手を握り返すことが出来る確認して、別れ際に「またね!」と言うと
母から「またね」としっかり返事があり、飛び上がるほど驚きました。
「話せたね。良かったね。」と母の顔や頭を撫でながら喜びを伝えました。

後ろ髪を引かれる想いで病室を後にしましたが、
想像していたより表情は豊かだったこと、言葉が一言とはいえ出たこと、
私の話の理解は出来ていたこと、手を握り返すことが出来たこと・・・
点滴をしながらで痛々しい姿でしたが、少しでも良くなることを願いながら帰ってきました

改めて明日の健康の保証はないことを思い知るとともに、
我が身にも置き換えて「今」を大切にしながら「楽しむ気持ち」を忘れないように



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