音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

‘故郷’と‘朧月夜’

2023-04-15 19:08:57 | 音楽雑記
日本には素晴らしい四季があり、冬の寒さも夏の暑さも厳しいと感じますが
それだけに待ちわびる初春から新緑への移ろいと秋の穏やかに実る景色は
心豊かにさせてもらいます。

田舎へ帰ると昔からある里山の風景が垣間見られ、ホッとする感があります。
うぐいすの見事な谷渡りの鳴き声が響き渡り、蛙が鳴き始めていることに気付き、
歩いていると小さな集落の中に大きな屋根のお寺さんが目に入ってきます。
街中の騒々しさはなく、田畑を耕す耕運機や木々を伐採している音が働く人の
存在を知らせるように、遠くから聞こえてきます。

高齢者施設で多く歌われている‘故郷’と‘朧月夜’がよく似合う里山の景色です。
2曲とも大正3年に作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一が作っており、
当時の「尋常小学唱歌第6学年用」として歌われてきました。
現在も小学6年生の音楽教科書に掲載されています。
教科書には現代語の意味として、「いかにいます」→「どうしているのだろう」
「たどる」→「行く」、「かわず」→「かえる」などと分かり易く意訳されています。
深い感情が入らない田舎の風景の歌詞で、世代を超えて歌い継がれる曲です。

小さな集落の田舎ではお昼正午に‘野ばら’、夕方5時に‘夕焼け小焼け’の
メロディが公民館のスピーカーから毎日聞こえてきます
お昼前の11時にはお寺の鐘がなり、お昼休みの準備を知らせています。
明治時代までは集落にあるお寺とお宮さんが住民の集いの場所であり、
お寺の鐘の音で時間を共有していたと義父母から聞いています。

時を知らせるメロディですが、年中同じではなく、せめて春夏秋冬の四季に
合わせた曲を聞きたいという想いがあります。
行政や学校などにおいても、季節を感じる穏やかな曲をBGMとして、
時間と音楽の共有が出来ればと願っています

参考図書
『唱歌「ふるさと」の生態学』.高槻成紀.㈱山と渓谷社.2014
「故郷」が描いた風景の変化を保全生態学という切り口で読み解かれています。
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