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コピー

2012-05-17 17:06:02 | 日記


『Kurt Rosenwinkel/Intuit』
先日このブログで紹介したカート・ローゼンウィンケルのアルバムだが、
「When Sunny Get Blue」というスタンダードを演奏している。

なんと先日、完コピしてしまった。普段からいろんな映像やCDの演奏を採譜
したりするのは私は習慣としてあるのだが、大体は曲中の一部分のみとか、
印象に残ったところをピックアップすることが大半である。
ただし、この曲のカートの演奏はとりたてて派手な印象はないが、
イントロ、テーマ、ソロ、エンディングとも大変見事なので、結局全部やってしもた。

やってみると超感動!!

それでどうということはないが、聴き取った譜面をマジマジとながめて
悦に入っている(アホか!)
いずれにしてもすごく勉強になった。

カート・ローゼンウィンケルは際立って複雑なフレーズを弾いている
わけではないし(もちろんものすごいスピードとテクニックなのだけど…)、
シンプルなのだが、TPOがよくできているというか、とにかく溢れんばかりの
アイデアとセンスに見事なほど彼のテクニックが対応している。
そしてそのアイデアがある意味奇抜でもあり、彼独自でもある。
そういうところは、現代クラッシックやピアノのサウンドから得られた着想の
ような気がする。

とにかく、カート・ローゼンウィンケルはモダン・ジャズに新しい感覚を
もたらしたということは、決して言い過ぎではないと私は思う。

思うに彼はジャズという素材があってそれを巧く処理することに主眼をおいて
いるというよりもむしろ、素材を超えたところにある新しい感覚に常に耳を
すましている、そういう感じがするのだ。

話はちがうが、私はよく人の演奏をコピーする。
実は、このコピーという行為に関してはミュージシャンの意見はさまざまでである。
コピーを盛んにすすめる人もいれば、コピーをあまり重要視しない人もいる。
後者の言い分としては、「それにより自分の演奏を省みる機会が失われる」という
ことがあるのだろう。
まあ、私はそれぞれタイプの問題だと思っている。

要するに「コピーをする」人は人の演奏をコピーし、分析し、センスを学び、
それを自分の演奏に活かす努力をすればよいことだ。
ただし、「コピーをする」人がコピーばかりに夢中になり、演奏を学ぶものに
とっていちばん重要な「聴く=耳にインプットする」という作業がおろそかに
なってしまうこともある。

一方において「コピーをしない」人はその分、数多くの曲を数多く聴く
という作業は絶対に必要だ。それがなければ、ただのヘタクソ、ただのホラふきだ。
まあ、そういう人は私の周りにはいないし、いたら蹴飛ばす(笑)。

結局バランスの問題なんだろうなあ。

ミュージシャンのセンスは様々であるように、自分の演奏をよりよいものに
していこうとするためのプロセスは様々なのだ。
サウンド・イメージを追いかけて、いろいろやってみる、というのが正解だろう。

学ぶということは人の演奏から何かを得ることだ。
私にとっては自分が10代、20代の頃に心を揺るがされた音楽、クラッシック、
ロック、ブルース、ジャズを未だに追いかけているというだけの話だ。

陸の孤島で自分で作った楽器を、自分独自の演奏で、そして独自のサウンドで
やることに私は全く興味がない。

宇宙人(あのタコみたいな火星人)が突然現れて、最高の音楽でもやってくれる
っていうんなら話は別だが、それでも、ちょっとね~、やっぱり興味ないな~(笑)。


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