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アンダーカレント

2010-05-11 17:13:50 | 日記
道端を歩いていると、ふと頭にある曲が流れてくることがある。

「なんていう曲だっけ…?」

ずっと考えているがわからない。

後で考えようと思っても、いざその時になってみると
まったく楽曲が思い出せない。

そのうち、まあいいか、っとなる。


今日、またその曲をふと思い出した。
ところが今度はそのサウンドまでがしっかりうかんできた。

それをもとに誰の演奏かを特定してみた…。

ジョン・アバークロンビーとアンディ・ラバーン(Andy LaVerne)の演奏だ。
この二人が共演するアルバムを何枚かもっているので、片っ端から聴いてみた。

「あった…。」



Dream Gypsyという曲だ。

アバークロンビーの伸びやかなギターとアンディのほとんど
ペダル踏みっぱなしのゴージャスな演奏が印象的。
これこれ!! 確かに自分の頭にうかんできたのはこの演奏だ!

それでピンときた。
彼らの一連のアルバムの念頭には、絶対にビル・エバンスとジム・ホールの共演、
あの名盤中の名盤、

「Undercurrent」

があるはずである。
したがって、もしかしたら、彼らも演奏しているのかな、
と思って、そのCDを探した。



そしたら、ビンゴー!
やはり彼らも演奏していた。


少しドキドキしながら聴いてみる…。

やっぱ、エエわぁ!!
最高だ。

アバークロンビーとアンディのそれと比較すると、
こちらの方がリズミカルでしかもリリカルな感じがする。

でもどちらの演奏も独自のコンセプトをもっていて、素晴らしい。

アバークロンビーとアンディの方は、空間的で伸びやかでスピード感がある。
まるで妖精が踊っているようだ。

一方ビルとジム(こう書くとなんか、オフィスビルで事務作業をしているような…)
の演奏はもう少し、ジャズっぽいというか、感情を押し殺しているような…。
逆にその分、なんかジプシーの少女(一体誰が少女ときめたのか…)の
たどたどしい踊りの様が浮かんでくるようで切ない。


ビル・エバンスは私が最も好きなミュージシャンである。
彼の「Blue In Green」における、身を切るような繊細で切ないピアノを
初めて聴いたのはもう10年以上も前である。
あの時に感じた胸の痛みを私は今も忘れない。

よい演奏とは時に、そうした痛みを残すものなのかもしれない。

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