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紅茶の島のものがたり vol.15 冨井穣

2009年07月10日 | 金曜(2009年4月~):冨井穣さん
第15話
ホッとティータイムその2:
山城紅茶を専門家が評価!

 コアなファンのクチコミで知名度が広がり、全国で最も有名な国産紅茶の一つに成長した山城紅茶。全世界に何千種類と存在する紅茶の中で、専門家はその味についてどのような評価を下すのか。ティーアドバイザーの資格を持ち、関西地方で紅茶サロンを主宰するミニカさんに話を聞いた。



Q山城紅茶からは現在4種類の味が発売されています。それぞれの味や特長について、どのような感想をお持ちですか。おすすめの飲み方があれば合わせて教えて下さい。
A今回の評価に当たっては、茶葉の量を3グラム、水道水を沸かしたお湯を150CC、蒸らし時間を4分で統一し、それぞれの銘柄についてテイスティングしてみました。

No.909:職人仕上げ
濃い水色で香り高く、渋味と香りとコクがバランスよく調和した完成度の高い紅茶です。渋味が口に残らないので後味がとてもすっきりしています。海外の濃厚な紅茶を飲み慣れた人、そのような味を好む人は、茶葉の量や蒸らし時間を調整するといいかもしれません。

No.905:スモーキー
明るく澄んだオレンジ色の水色で、花の香りにも似たどこか懐かしさを感じさせる芳香があります。世界三大紅茶の一つで独特の個性的な香りがある「キーマン」をイメージして作られたようですが、一般的なキーマンよりマイルドなスモーキーさがあり、国産紅茶ならではの上品な味に仕上がっていますね。とても飲みやすいので気軽にストレートで味わうのもおすすめですが、多めの砂糖を入れたりまたはミルクを入れると、また別の表情が表れて面白いですよ。

No.927:コク重視
鮮やかな赤い水色で、力強い茶葉の香りが印象的です。名前の通りとてもコクがあって、味にどっしりと重みがあるのにとても飲みやすい。後味にほのかに黒糖の香りがするのは気のせいでしょうか(笑)。おすすめの飲み方としては、ティースプーン一杯のシュガーにミルクを垂らして味わうこと。「心癒される一杯」という形容がぴったりのまろやかな味わいが楽しめます。

No.918:あっさりストレート
「まさに紅茶」と言えるような美しく透き通った水色で清々しい香りが特長です。飲み口に渋味やクセがほとんどないので、朝昼晩問わず1日を通して楽しめると思います。またティータイムには、ケーキなど洋菓子だけではなく和菓子ともよく合うはずですよ。それから、これからの暑い季節にぴったりの飲み方がありますので、ぜひ試してみて下さい。

ミニカ流 水出し山城紅茶



・用意するもの:No.918「あっさりストレート」ティーバッグ(2グラム入り×3袋)、軟水のミネラルウオーター500cc
・作り方:ティーバッグを水に入れて約8時間置いておくだけ。夜の寝る前に作っておけば翌朝には色鮮やかな水出し紅茶のできあがり!

 お湯を注ぐ場合に比べて、水出しでは茶葉中のタンニンが抽出されにくいので、そのぶん渋味の少ない紅茶ができあがります。夏は麦茶感覚で何杯でも飲めますよ。クリームダウン(アイスティーを作るとき氷を入れたりして紅茶を冷やすと、タンニンとカフェインが結合して結晶化し白く濁る現象)が起こることもありません。また冷蔵庫に入れておくより、常温で作ったほうがまろやかな味に仕上がると思います。一つ注意していただきたいのは、水の硬度です。私は関西の水道水を使いましたが、例えば沖縄の水は関西より硬度が高い(沖縄県の水の平均硬度は約84と日本一高い。ちなみに大阪府は約44)ので、水の量や抽出時間の調整が必要かもしれません。

Q山城紅茶の客観的な評価と、今後に期待することがあればお聞かせ下さい。
A紅茶は嗜好品ですから、味の好みは人それぞれに違うので一概に評価することは難しいのですが、鹿児島県の知覧紅茶や夢ふうきといった紅茶を飲んでみて思うのは、国産紅茶は海外のものに比べて味が薄めだということです。それはそれで日本ならではの特長だと思うのですが、多くの人は海外の紅茶を飲み慣れているので、国産紅茶ではやや物足りなく感じるかもしれません。また最近では、茶葉にフルーツやキャラメルなどの香りをつけたフレーバーティーの需要が多くなってきています。そのような状況下で山城紅茶は、茶葉の味で勝負しようという姿勢が強くうかがえますし、沖縄という土地で丁寧に育まれた茶葉であることがよく分かります。まだ誕生して間もない紅茶ですから、これからどのように成長していくかとても楽しみにしています。


ミニカさんプロフィール
ティーアドバイザー。関西で紅茶といやしのサロン「Salon de Belle boudoir」を主宰。季節感をとりいれたやすらぎの空間で、ゲストに自分だけの時間を感じてもらえるよう、おもてなしの心を大切に、毎回新たな発見のあるレッスンを展開している。





Text:冨井 穣




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