沖縄Daily Voice

沖縄在住の元気人が発信する

ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.14 吉見綾子

2009年06月30日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん



私の家の中にある魂のこもったものたち。

私は、沖縄は美しくも、厳しい土地だと思う。
でもここには、たくさんの物作りをする人達がいる。
私のように、外からやってきて創作している人もたくさんいる。
何がそんなに創作者を沖縄にひきつけるのだろう。



ここにまた、沖縄に創作の場をかまえようとする人物がいる。
「pUnk★TRibe」(パンク・トライブ)主宰BUNTAさん。
シルクスクリーンプリントでデザインからプリントまでをこなし、自作のTシャツなどを作っている。

今回、名古屋から、これから活動する沖縄の「場」と物作りについて、
メールインタビューしてみました。

      

1、自身のブランド「pUnk★TRibe」について話して下さい。
pUNk★TRibeとは名前の通りパンク民族という意味で、
僕の自己表現のルーツにはもちろんPunk(諸説ありますが僕にとってはイギリスを起源に生まれた独自の音楽、ファッションや生活様式を持つMovement)があって、それを突き詰めていたら世界中の国々の少数民族の文化や生活様式から近いものを感じて、民族雑貨や工芸品のような物を日本人のPunxが制作出来たら面白いなっと思いpUNk★TRibeを始めました。

いつから始めたかは覚えてないですが9年くらい活動しています。
発足当初はTシャツも工場で制作して貰ったり、洋服を友人の会社にお願いしてパターンから起こして作って貰ったり、
友人のアジア雑貨屋さんがタイへ仕入れに行く際にウエストポーチやバッグを作ってきて貰ったりしていましたが、
ここ数年は古着、Tシャツやお客さんから持ち込まれた服などににシルクスクリーンでプリントをしたりしています。

今年の2月まで名古屋の大須のアパートの一室を借りてPunk Tribe Reservationという名前で作業場兼お店を開いていましたが、
自分の中でそこでやるべき事はやった感もあり、一旦閉店して更なる展開を模索中です。



2、なぜ沖縄に制作の場を構えようとしているのですか?
前々から沖縄で制作活動に限らず音楽など色々やってみたいと思っていて、やっとその時が訪れたカンジです。
僕の印象では良い意味でも悪い意味でも沖縄には自己表現する事に対して決まり事がなく魅力を感じます。

沖縄という地にひかれるものがあるとすれば何でしょうか?
音楽、ゆんたく、Graffiti、うちなーたいむ、龍神マブヤー & My Lover

 

3、最後に、今後の沖縄での活動予定を聞かせて下さい。
最近恩納村のお店CHAOTICと始めた共同ブランド"Tribu del Punk Caotic@"をはじめ色々な人達と何か一緒に出来たら良いなと思ってます。
名古屋で知り合ったうちなー友達が桜坂に軽食★喫茶カラーズというお店を最近オープンして、そちらでも商品を取り扱って貰う予定です。
ちなみにキッズルームのカーペットやマグカップなどをpUNk★TRibeが制作しています。




。。。。。
私が、沖縄で物作りしていて本当に感じることは、人や島と関わりながら、自分が作らされているという感謝の気持ちだ。
たがいのつながりで、触発され、また自分が生かされてくる。
沖縄では、自分のとった態度が、色んな孤をえがいてまた自分に帰ってくるのを肌でダイレクトに感じることができる。そんな所が、沖縄で物作りをする魅力なのかもしれない。


BUNTAさんがまた、この地でどんな物を作りだしていくのかがとても楽しみだし、私にとってもいい意味で緊張感のある存在である。


text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.13 吉見綾子

2009年06月23日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん
ゆみちゃんとお昼を食べに行く。
場所は意外にも嘉手納だった。



嘉手納の商店街を抜けた所にその店はある。
涼しくて、かわいい外観。看板はゆみちゃん作。
でもここはおいしい餃子を出す店なのだ。
おかみは福岡出身。ハーリー(沖縄の船レース)好きで、ピリッとしているけれど、元気でくったくない人柄のせいか、地元のお客さんが多いと聞く。ハーリー前のこの時期は、練習時間によって、お店が開いたり、閉ったりするそうだ。



私達がたのんだ水餃子と春巻きのセット。
本当においしかったし、おなかいっぱい食べた。こんな「たべなさいっ!」て感じのお店が私は好きだ。
そして、ゆみちゃんと久しぶりにいろんな話をした。私もなつかしく思い出すことがあるほど、沖縄に住んでいるなあと実感。



さてさて。。。
ゆみちゃんのお店「SHANTI SHANTI」のあるコザの街。奥の奥までは知らなくても、ちょっとでも散歩すると、何というか、コザの時空をを味わえておもしろい。



これは、コンクリ壁にじか描きの看板。住みはじめた頃、これを見つけては、「ここはアジアだ!」と思ったもんだ。



アーケードがモグラの穴のように広がっている。これは入口のひとつ。

 

 

このアーケードの中はドコカの世界。ひっそりとたたずむこの「繁華街」に、JAZZBANDの生音が聞こえてきたかと思うと、そのむこうでは「星影のワルツ」が大音量でかかっていた。



ひとつの通路を抜けると、そこには、沖縄、コザを愛するヨーガン・レールさんの店が昔からたっている。

 

そして、そのななめ向かいにには、ゆみちゃんおススメの「丸仲食堂」。
特におすすめは、「カツB定食」。650円。この値段で、なんと味噌汁は赤ダシで、前に食べた時はアサリが一個入ってた。泣けた。



「商売のために、脈絡なく広がった街だから、住宅地に今も赤線があったりして、そのカオスがおもしろいんだよ」とゆみちゃん。今度はもっと奥まで探検したいと思った。

最後にZAZOUで焼きたてのパン買って、農連市場で野菜買って、照屋楽器店でギターの弦を買って帰りました。

むうっとする「におい」のする、不思議な雨の一日でした。



text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.12 吉見綾子

2009年06月16日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん


沖縄本島の中心部。コザの街。
ここは、沖縄のどの地域とも違う「におい」がある。
嘉手納基地の第二ゲートからまっすぐのびる空港通り。
戦後、とてつもなく栄えたこの地に、今も、ウチナンチュー、ナイチャー(本土からの人)アメリカ人やインド人、フィリピン人もがごちゃごちゃ混ざって生きている。そんな独特のにおいだ。

 

その空港通りに、マリア・サビナのポスターが大きくガン!と貼ってある「SHANTI SHANTI」がある。
手描きでTシャツを作っているウチナンチュー、ゆみちゃんの「フリムン(バカもん)Tシャツ製作所」だ。金、土、日曜日はお店として開けていて、Tシャツを販売したり、注文を受けたりもしている。
彼女がここに「場」を構えてもう14,5年になる。

 

  

彼女はアクリル系の絵具を使って、フリーハンドでTシャツに描いている。
これをやりだした理由は「身ひとつでできるから」。
まったく彼女の、このシンプルなD.I.Yスピリッツが大好きだ!

独特のメッセージやおバカな絵。楽しい空想などなど。。彼女の手から、でてくるでてくる。。。しかし、やつの頭の中はどうなっているのか。長くつきあってるけど未だにナゾだ!でも、それぞれの絵に物語があるんだよな~。

 

コザの空を見ながら、通りすがる人々を見ながら、こうしてずっとTシャツを作っている。
「腐ってもコザンチュ!わかる?それぞれが勝手にやりたい方向むいてて、まとまりがなくて、カオスで、ダメだなあーと思うけど大好きなのよ~」と彼女。コザは、物を作る時、立ち止まって考えれる時間があるんだそうだ。この街、愛されてるなあ。



コザは、一歩裏に入るとまだなつかしい沖縄のたたずまいが残っている。
「ここのプルメリア、大きいでしょう。」「ここにはライチがなってるんだよ。夜コウモリが食べにくるの~(くやしそう)」「この家、梨がなってるんだよ!」「見て!マンゴー」「月下美人(サボテンの花)、満月の夜に一斉に咲くんだよ!」とご近所にとってもくわしいゆみちゃん。特に実のなる木にくわしかったな。

次回は、ゆみちゃんおすすめの餃子屋さんとコザの街のスナップです。
お楽しみに。



text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.11

2009年06月09日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん

明日香さんは、年に一度、仕入れも兼ねてひとりで大好きなネパールを旅する。
「このために仕事をしていると言ってもいい」ほど、この時間は彼女にとって大切なものだという。そして、旅の間に、「ひとりの、ただの、明日香になっていく」のを体感するのだそうだ。そして、いろんな人に出会い、いろんな物を見て、選んで、また家族のもとへと彼女は帰っていく。



これは、明日香さんがネパールで出会ったWomans Skills Development Project in Pocala、略して WSDPP という団体の写真です。

以下、明日香さんの言葉です。。。
「ネパールではまだまだ女性が働くのは一般的ではないんだけど、働く必要に迫られている女性はいっぱいいます。ここではそんな女性たちに仕事の場を提供しています。100人ほどのネパール女性がここで働いていて、綿糸を染め(草木染めも)、手織りの織り機で織り、ミシンで製品化するところまで、全部ここで作られて、フェアトレードというかたちでいろんな国に送られています。

 



私がWSDPPに出会ったのはすごく偶然で、初めてネパールにいったとき(21さい)、たまたま小さなお店で買ったジャケットが、ネパールでする買い物のなかではわりと高価で、ちょっと思い切って買ったんだけどすごくお気に入りで、あったかいし軽いしかわいい!
毎年冬には大活躍していて、虹亀商店をオープンするにあたって、ぜひあのジャケットをお店に置きたい!!と考えたのが出会いのきっかけ。
(そのジャケットは、ネパールの写真で私が着ているパープルのやつです)



タグのようなものをみてみると、ちゃんとした団体名のようなものが書かれていて(写真参照)、これは探せばみつかるはず!と、仕入れの旅先で出会ったネパール人に、タグをみせて尋ね続けた結果、作っている場所がわかり、行ってみたら、ジャケットだけでなく、リュック、バッグ、小物ケースやぬいぐるみ、モビールまで!!しかも、全部、手染め手織りの手作り!!!えらく感動して、それ以来虹亀に置かせてもらっています。」
。。。
ひとりの明日香が出会ったものがたり。
私が家族と離れ、ひとりで旅にでたら何にであうのだろう?と想像してみた。
喜びと不安でビビりそうだ。。。



ところで、明日香さんは、習いたいという人には「紅型」を教えている。私が訪ねて行った日も、型紙を彫る人にアドバイスをしていた。ちょっとした体験ならあっても、外部の人に自分の経験から培ってきた技術を教えるということは、伝統的な工房ではない話だ。
「私の持っている紅型の技術は、特別なものではないから」とさらっと答える彼女。それは、人を紅型の世界の入口に立たせてくれる。でも、その先の深い世界は、自分で続けていくことで切り開いていくものなのだろう。
紅型を続け、自分の世界をもっている明日香さんだからこそ、言えることなんじゃないか。


おばあちゃんになっても紅型をやっていたいという明日香さん。虹亀工房という彼女の「場」が、技術をオープンにしてお互いにとってより良い世界を広げている、WSDPPと重なって見えた。




PS 明日香さんよりライブのお知らせです。

サヨコオトナラLIVE~鳴リ響ク穴グラ~

2009年6月14日(日)
OPEN 19:00 START 20:00
@CAVE CAFE
(おきなわワールド向かい「ガンガラーの谷」の入口)
問い合せ:090-9785-5188(カメガイ)

前売り ¥2000  当日¥2500
沖縄県南城市玉城字前川202番地

プロフィール:
女性NWバンド「ゼルダ」の歌い手として活躍後、ジャマイカ録音したソロアルバムがヒット、パワフルで透明な歌声で、躍動するイノチの世界を歌う、サヨコ(うた)、カリスマファンクバンド「じゃがたら」で人々を踊らせてきた、地球音楽探検家、OTO(ギター)、アフリカ、レゲエ、奄美島唄など、ジャンルを超えてうねりをつくりだす、ジンベたたきの奈良大介(アフリカンタイコ)この3人が母体となって生まれたのが、その名もずばり、サヨコオトナラです。

アースデイ,フジロックなどのイベントをはじめ、日本各地奥地の、自然とともにある暮らし、美味しいご飯、楽しい祭りの場などに集まる人々とつながりながら、音楽のたびをつづけています。

アルバム「ワと鳴り」もリリース中。 3人の作り出す、なつかしくも、新しい、躍動する音、TOKYO発、地球鳴りの音楽をお楽しみください。

本島南部の洞窟の中にあるその名もずばり「CAVE CAFE」でのライブ。
どんな音の響きになるのか今から楽しみ!
フライヤーは明日香さんの紅型が印刷されています。


text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.10 吉見綾子

2009年06月02日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん

もう、10年くらい前、
ひょんなことからなぜか?那覇の、誰かの選挙の集会前に歌う喜納昌吉さんの前座で、彼女は友達と、私達の太鼓といっしょに歌っていた。



彼女の名前は亀谷明日香(かめがいあすか)さん。
「虹亀工房」を立ち上げている紅型作家だ。
今、沖縄本島南部に「虹亀商店」とうお店を開き、隣接する工房で作品を作り続けている。今年、3人目の子供(有くん)をもうけ、作家としても、お母さんとしても忙しい日々を送っている。





彼女は、Tシャツやコースター、最近では照明などの「日用品」に、紅型をほどこす。いわゆる反物としての高級な工芸品とは違うアプローチ。
今でこそ、こんな作家さんは多いけれど、彼女はもう10年近くこれを続けている。彼女の型のデザインは、日常彼女がきれいだと感じるものを、楽しくとらえている。差し込む色はていねいで美しい。紅型って、よく見ると作家さんによって出来上がりの具合が全然違うんだなあというのを、彼女を見ていて教えられた。



彼女は、沖縄の芸大在学中から、パートナーの「亀ちゃん」と作ったものを路上やリゾートホテルで売っていた。
昔から「自分達の作った物」を「売る」ことが好きだという態度がはっきりとあった。
作品と商売をフラットに結びつける。自称作家や芸術家にみられる悪い意味での「理解されなくてもいいから作る」とか、「誰かがいつか認めてくれるだろう」という甘えがなかった。



ああっ、アップにしすぎたけど、これは、彼らが作りだした大ヒット商品「キジムナーストラップ」。
色んなバージョンで、県内のお土産品店で必ず見つけることができる。れっきとした虹亀工房の「手作り」の商品だ。キジムナーは路上で生まれた。

 



そんな明日香さんがお店=「虹亀商店」をもったのは、自然の流れなのかもしれない。
お店は、本島南部、八重瀬町役場のすぐ近くにある。庭付きの、風がここちよく流れる空間を「パラダイス・カフェ」さんとシェアして立っている。
小さな店内には、作品はもちろん、彼女が大好きなネパールから直接買い付けてくる雑貨が所狭しと並ぶ。なんでもありのアジア雑貨屋とは、ひと味もふた味もちがう品揃えだ。
明日香ワールドが店内に広がっている。お客さんも観光客から地元の人までと幅広い。



明日香さんは、年に1度、仕入れも兼ねてたったひとりで2週間ほどネパールを旅する。その間、子供達はお父さんと留守番。やるなあ。
次回は、彼女の「旅」について、そして彼女の「ワークショップ」のお話です。お楽しみに。


text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.9 吉見綾子

2009年05月26日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん

知り合いの店が、
西表島に工房を移転することになったと聞き、
閉店の日に、那覇の公設市場前にある彼の店をたずねた。



間口1メートルほどのその店は、野菜や、肉、お土産物の店がひしめきあうその界隈に、ぽこっと開いた魔法の洞窟みたいにたたずんでいた。ともすると通りすがってしまう。でも、何かの魔法にかかったように、スーッと人を引き付ける力をいつも放っていた。
あの日、私は子供をつれてあっちの角を曲がり、こっちの角を曲がり、この魔法使いの洞窟を訪ねた。



Amorphous GlassworksのIndependent glass art shop「匠商店」を営む岩佐匠(いわさ・しょう)さん。
最終日の店内にて。
彼は、ランプワークによるガラス工芸作品を展開している。
ネックレスやピアス、香水瓶、インセンスバーナーなどを作っている。

店の中に入りこむと、そこには、いつも、見たこともない世界が広がっているのだった。

 

出会いは、彼が、私のパートナー、ダイキのジェンベ(西アフリカの太鼓)のワークショップにやってきたことから始まった。
その頃から、自分の仕事や生活と、ワークショップで行われているリズムの旅を重ねて理解しようとしてくれている人だった。

彼が、ブログに書いた「太鼓が教えてくれたこと」を抜粋して掲載します。

・・・・・・・・
今はやめてしまったのだけど、那覇に来て最初の3年間くらい
ジェンベと呼ばれるアフリカの太鼓を毎週習っていたことがあった。

どうやら自分にはそっちの才能が無いらしく、当初の目標だった
アドリブのソロは最後まで叩けるようにはならなかった。
でも下手は下手なりに面白い発見がある。

伝統的なジェンベの曲は基本的にファースト、セカンド(場合によってはサード)
と呼ばれる基本の短いリズムをでメンバーで分担して繰り返しで叩き
その上にソロ演奏者の太鼓をのせていくというものなのだけど
いつもこの基本の繰り返しのリズムを教室の皆と一緒に
ただ正確に叩く事を追求するのが好きだった。

 

一対一でファースト、セカンドのリズムを分担して二人で一緒に叩く時はよく緊張したものだ。
多人数の時のようにごまかしが利かないから。
この時、自分から積極的に動いて相手のテンポに合わせようとしても
良いセッションは生まれない。
合わせようという意識自体が、二人のリズム、フィーリングにズレがあることを表している。
だから合わせよう合わせようとしているうちは絶対に合わないのだ。
かといって共演者の太鼓を意識せずに完全にこっちのペースで叩き
相手に合わせてもらう事を期待しても、立場が変わっただけで結局同じ事になってしまう。

完全なリズムのシンクロに大切な事はお互いにセッション相手の存在をしっかりと認識し
相手に心を開いたまま、その時自分の叩きたいリズムを探っていく。
これが相互に調和したときに、なんとも言えないハーモニーが生まれてくるのだ。
楽器を演奏する人達は皆感じていることなんだろうけど自分にとっては
新たな発見で、いつも起きる訳では無いのだけどこの感覚はなかなか素晴らしい体験だった。

  

そしてまたガラスも同じで、世間というか、流行やカテゴリーに媚びて
合わせすぎても“合わせた感”が出てしまい面白いものは作れない。
かといって自分の内にこもり、一人で好きなものだけ追求したって天井は知れている。

今までのところの限界を素直に認め、自分なりに世の中をよく観察して
現在の立ち位置をしっかり確認し、そこから無理なく作れるものをしっかりと作っていく。
そうすれば共演者である「世の中」のどこかと、作ったものが自然に共鳴して
一つの良いセッションになっていくのだと思う。

大切なのは自信を持ってリズムを刻むこと。
良いハーモニーを作る為には必要の無い気負いや弱気、驕りなどの
余計な要素をできるだけ省いていくこと。

その為にはまず心に決めたリズムを自分のものにできるよう
日々ストイックに繰り返す事が大切なんだと思う

・・・・・・・
彼の理解や発見の仕方にふれて、ダイキは、本当によろこんでいた。

そして、あの頃から比べると、彼は今、自分の世界をつかみ、静かだが自信に満ちたオーラを全身から放っている。
私はネックレスをひとつ買った。

彼の西表島での新しい展開を楽しみにしています。
いつか訪ねていこう!



text:吉見綾子



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.8 吉見綾子

2009年05月19日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん
よなはらみよさん家の宴は楽しい。
おいしい料理とお酒。楽しい近所の仲間たちとのおしゃべり。




当日、写真を撮りにちょっと早めに出かけたら、もうセッティングされていたテーブル。今日は外のデッキで。



台所のみよさん。窓からは大きなガジュマルの木が見える。撮影していて気付いたけど、彼女のキッチンには、調理台がない。宴のおいしい料理の数々は、コンロの横のこのスペースのみで作業している。どんだけ手際がいいんだ!

そしてこれです。



これが、私が一番好きな、みよさんの一品。
中に、野菜やお肉がはいった、ぷりっと、さくっとなサモサ。
子供にも、大人にも大人気。



★みよさんから聞いた
サモサレシピ:

1.強力粉いっぱい、
薄力粉少し、バター、砂糖、ベーキングパウダー少々、
これらを合わせて、熱いお湯を加え混ぜる。熱が取れてきたら、手で耳たぶくらいの柔らかさまでこねる。

2.じゃがいもを蒸して、ひき肉、細かく切った野菜を塩コショウ、カレー粉少々でいためる。これを合わせてサモサの中身を作る。

3.ぎょうざみたいに、皮を伸ばし、中身を包んでいく。合わせ目はフォークなどできっちりおさえる。

4.そして、中火で揚げる。


★サモサにつけるトマトソース:

1.アンチョビ、オリーブ、トマト缶、オリーブオイル、好みでガーリック
を合わせて塩、コショウで煮詰める。

※アンチョビが、もとから塩辛いので味付けの時、注意すること。



みんな大満足。




夜の台所で料理をする母。まるでレンブラントの絵のようだ。
でもきっと、あたしが酔って撮影してるからこうなったのね。

 

★みよさんドレッシングレシピ:
玉ねぎのみじん切りを水にさらし、絞ってドレッシングとあえ、冷蔵庫に冷やしておく。
コレを、サラダにかけるととてもおいしい。子供も大丈夫。
なるほど。
ちなみに、この夜は、水菜、ピーマンなどにお刺身のサンドされたサラダにかけてありました。トッピングにオニオンフライ、ナッツとバジル、カイワレ。



もう、酔っ払ってたので、ぶれてるし、何を撮っていたんだか分らないものの中からのワンショット。娘の日葉ちゃんと。

母になったら、何にもできなくなると思ってる人がたくさんいると思う。
でも私は、母になったら、創造の源、エネルギーの源、生きることへのパワーがぐんと増すと思う。
みよちゃん、楽しい時間をありがとう!


text:吉見綾子



              ★沖縄観光の旅行雑誌を作る会社が素顔の沖縄を紹介するサイト

ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.7 吉見綾子

2009年05月12日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん


今回はガラス作家の「よなはらみよ」さんを紹介します。
3人の子供をもつ母でもある彼女と私とは、同じ保育所の保護者同士です。



読谷村の渡慶次のはずれの小道。長女のれんりちゃんが自転車でおでかけ。この先に、よなはらみよさんの自宅兼工房ギャラリー「日月」がある。

 

手作りのお家。無駄のない仕事場に、いつも赤々と燃えている心臓部。

私は、彼女の作品の中に、いつもぎゅっと、きりっとした集中力を感じる。
でもそれは、決してかたいものではなく、何かこう物語のような彼女独特の世界の中にあるたたずまいなのだ。形、素材、光や影、遊び心も含めて、イメージしたモノが一瞬の炎の中で、彼女の世界になっていく。
彼女は「目」がとてもいいと思う。

  


彼女のガラスに惹かれて、毎日たくさんのお客さんがこのギャラリーを訪れる。制作、接客、全国のお店への注文、そして子育て。
こんなに多忙なのに、彼女には、人や物を受け入れる余裕がある。人の話を聞き、笑い、関西人特有のつっこみ!や気使いもたっぷりある。そして仕事に関しては人並み以上に厳しい。私に絶対ないアプローチだと思う。だから、私の日常生活の中で、彼女の存在は本当にいい意味でプレッシャーをかけてくれる。そして私は自分の態度を模索する。


彼女が時々、保育園の玄関先で、すれ違いざまに言う。「飲もうやー」。
こんな時、マジうれしい!もちろん飲む!なぜなら、みよちゃん(ふだんの呼び名です)の料理はとってもおいしいからだ!写真はキッチンの、おいしいものを作るための道具の一部。




来週は私がリクエストして作ってもらった彼女の料理を紹介します。
ちょっと宴だよ。
お楽しみに。



text:吉見綾子






ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.6 吉見綾子

2009年05月05日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん

読谷村は座喜味城址のふもとに、やきもの屋「山ひつじ舎」の自宅兼作業場はあります。

 
山ひつじ舎オウチ           山ひつじ舎作業場


ぴょこっと顔を出しているのは、かわいい娘達。
いつもこの扉の向こうからやってくる未可さんと、ついついおしゃべりをして長居してしまう。

そして、これが彼女の家の本棚。



小さいオウチのそこかしこに本がある。

彼女に出会ってすぐの頃、貸してもらった西原理恵子の「ぼくんち」という漫画は、私にとって大きな出会いだった。
彼女の書庫は近所のいろんな人たちに貸し出されている。彼女はちょっとしたタイミングで本をするりと渡してくる。「これ読んでみて」と。

さて、そんな未可さんに、彼女にってのベスト本は?と問いかけると、
でてくる、でてくる。。。

   

おっちょこちょ医  なだいなだ
ふたりのロッテ  ケストナー
黄色い本 高野文子
この世界の片隅に 上、中、下  こうの史代
美貌の果実  川原 泉
東のエデン  杉浦日向子
山椒魚戦争  カレル・チャペック
怪奇な話  吉田 健一
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上、下  村上 春樹
ぼくんち  西原理恵子
荒川アンダー・ザ・ブリッジ  中村 光
おぼえていろよおおきな木  佐野 洋子/作、絵
他。

この中に、「山ひつじ」ワールドの源を見る。
けれど、私は、読んだことのない本ばかり。
あなたはどうですか?


さて、さて、先週行われた市場と音楽「はるのきとねいち」。
紹介した山ひつじ舎の一輪ざし「ポレポレファミリー」も無事、いろいろなお家に引き取られて完売!でした。よかったね~。
お天気もよく、たくさんのお客様にお越しいただきました。
うれしい限りです!
私はというと、昔の友達に会っておしゃべりしたり、ビール飲んだり、いろんなお店でおいしいものを食べたりと一日中青空と木漏れ日の中ですごして、たいした写真も撮れていません!がこんな感じでした!

  

あの、空気とにおいはきっと写真には写らないのよっ。
ライブは本当に楽しい。人と目と目で話し、感じることは格別だ。
次回は8月末、「きとね夜市」です。

来週はG・Wあけ、近所のあの作家さんにとつげきしよう!
お楽しみに!


text:吉見綾子




ミツが観る沖縄のクリエイター達とその生活 vol.5 吉見綾子

2009年04月28日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん



私の朝いれるコーヒーのお気に入りのセット。
山ひつじ舎の直火オーケーのチャイポットとコーヒーカップ。

彼女の作品と出会ったのは、読谷村の共同売店だった。
そこは村内の陶芸作家の作品が一同に売られているところだ。
沖縄独特の素朴な模様のはいった器たちの中に、ぽわっと白く、絵も小さくほんのひとつさらっとあるだけの器があった。あまりにも他と違うアプローチにぐ~んと引き寄せられ、作家の名前を見た。女の人だ!



ある日、娘が通っていた保育所で、彼女と保護者として出会った。
女手ひとつで娘3人を育てている優しくてたくましい母だった。
それからは、娘どうし同じ年というのもあって、彼女の小さくてかわいい家へ何度となく遊びに行かせてもらい、私は彼女のことをとっても気に入ってしまった。



彼女の器は見た目が他の人と違うだけでなく、何というか、たたずまいがちがう。「自分はこのくらいで」というような控え目な器の「このくらい」に彼女のパンクさがある。他のいろんな陶芸家の男どものヘタなこだわりや自己表現を一掃するところがある。
忙しい母だからこそ必要なもの以外はそぎおとされ、できるもの、あるものでまかなってしまう逆こだわりがある。そこがカッコいい。
母親という目線をもっているのも好きだ。常に使う側だからこそ生まれた物や形がある。



こんな土鍋!まるで生き物みたい!
これは、我が家に生息しているやつです。

彼女の器は
読谷村の共同売店、
宜野湾市のmofmona no zakka、
那覇のMAXI MARKET、
首里のエコショップえころんなとで取り扱っています。

そして明日、読谷村のむら咲むらで行われる市場と音楽「きとねいち」(http://kitone1.exblog.jp/)にも出店しています。ちょっと画像が悪いけれど、これは出品予定の「ポレポレファミリー」。。。一輪ざしです。



来週は「山ひつじ舎」未可さんの生活の一部、「本」について書いてみます。
近所の友達の間では「山口文庫」ともよばれている彼女のたくさんの蔵書の数々。
私も彼女から借りた本で影響を受けたものがたくさんあります。
きとねいちのリポートも交えてお伝えします。
お楽しみに!

明日のきとねいち晴れるといいな!
よかったら、遊びに来てください!売り切れ御免!マイ食器ヨロシクです!


text:吉見綾子