沖縄Daily Voice

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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.8 瀬底芳章

2009年10月26日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは。
のこのこせそこの瀬底です。
つい先日始まったばかりと思っていたら今回が最終回となりました。

最終回に相応しい内容って何だろう?
と考えていたのですが、紹介していない事柄も沢山あり過ぎて一つに絞るのは難し
いというのが本音です。

僕は沖縄のアート業界を総括して語れるような立場でもないし、それ程の知識があ
る訳でもありませんが、業界の片隅にいる人間として感じることを書こうかと思い
ます。

まず第一に「もったいない」というのが正直な気持ちです。
沖縄は本土とは違った歴史、風土や地理的な条件のおかげで独特の文化を持ってい
るのは周知の事実です。また、沖縄県立美術館ができたことで美術に対する注目も
それなりに上がってきているはずです。そういった状況にありながら沖縄のアート
シーンはまだ本来の力を発揮できていないように思えます。

連載中に取り上げた照屋勇賢さんのように単身で海外へ渡り評価を受けた人もいれ
ば、宮城光男さんのように沖縄の伝統に立脚しつつ先端的表現で注目を集める人も
います。どちらも個人の才能と努力があってのことですが、沖縄という土地の影響
があってこそ彼らが活きている部分も多々あると思います。上の世代で言えば、名
嘉睦稔さんや幸知学さん、若い世代だと豊永盛人さんや山城知佳子さん、pokke104
さんなど才能のある方が次々とでてきています。沖縄県の出身者ではありません
が、学生時代から沖縄で育ったアリカワコウヘイ!さんも沖縄の影響を受けて開花
した作家さんではないかと思っています。

このように沖縄からアーティストが育っているのは確かですが、まだ少ないと思い
ます。本当であればもっと数多くのアーティストが世に出てもおかしくない土壌が
沖縄にはあります。実際、音楽シーンを見ると安室奈美恵さんのようなポップスタ
ーからりんけんバンドのような沖縄に立脚しながら世界的な音楽を作っているバン
ド、古典音楽では偉大な奏者が数えきれないほどいますし、モンゴル800やHY、
ORANGERANGE、HIGHandMIGHTYCOLORなど全国的に人気のあるバンドも出ています。

昨年、僕が代表を務める沖縄アートセンターと沖縄タイムス社で主催したイベント
の沖縄アートフェスティバルではまだ知られていない沖縄のアーティストからも多
くの応募がありました。東京都庭園美術館の副館長を務める塩田先生には展覧会に
際して頂いた文章の中には「沖縄にはすばらしい文化的伝統、アジア諸国ときびす
を接する地理的優位性、栄光と苦渋に満ちた固有の歴史等々があるのだから、本土
の美術館など望むべくもないユニークで創造的な活動ができるはず」と沖縄の可能
性を語っていました。

ただし、コンテンポラリーアートに限って言えば、沖縄の作家は少々勉強不足の感
があります。昔、ロンドン芸術大学の教授にお会いしたことがありますが、中国や
日本の作家はヨーロッパとは別の文化的背景があるため、個人としての才能、個性
なのか母国の文化的素養なのかが分からないことがあると言っていました。沖縄県
民の多くは文化的素養としては大きな財産を持っていると思いますが、その上に築
かれるべき個性としての知識と経験が不足しがちなのではないかというのが率直な
感想です。コンテンポラリーアートの世界ではヨーロッパを中心として発達したア
ート文脈と時代性という両輪があって評価されるのといのが僕の解釈ですが、こと
文脈に関しては沖縄のアートシーンはまだまだ弱いと思います。逆に言うとその部
分が解決されてけば活躍する世界的に活躍できるアーティストが更に増えることで
しょう。また、文脈を踏まえて美術評論ができる人や場ができると更に盛り上がる
でしょう。

沖縄のアートシーンは可能性に満ちていると思います。でも正直言って、発表の場
が少ないです。沖縄に限らず地方は雑誌メディアが弱いためアート業界以外の人へ
の発信力も弱いと言わざるを得ません。
また、僕自身も沖縄のアートを知りたい、という方の為の水先案内人にならなれる
よう精進していく必要をヒシヒシと感じている今日この頃です。
書きたいことは山ほどありますが、長くなり過ぎるのでこの辺で。




最後に、折角ですので来月行われるカイナアートフェスタのご紹介。
沖縄のアートイベントの先駆けであり沖縄でアートを広げる功労者的イベントであ
るカイナアートフェスタをご紹介。


カイナアートフェスタ(以下、カイナ)は2001年から続くアートイベントです。
カイナの何がすごいかというと11月7日・8日に開催される今回で8回目を迎えること
です。沖展のように沖縄タイムス社という大きな会社が主催するイベントであれば
継続性があるのも納得できますが、カイナは徳元佐和子さんという一人の女性の情
熱によって維持されている面が大きいです。彼女がいなければ沖縄の若手クリエー
ターの活躍の場はもっと少なかったかもしれません。



カイナはフェスタの名に相応しい、アート好きな人たちのお祭りです。当日は作品
を観て楽しむことはもちろん、気に入った作品の購入も可能です。出展者も来場者
も多く、明るく賑やかな会場ですので作家さんと直接会話しやすい雰囲気なのも素
晴らしいです。また、継続していることで知名度があがり、普段は美術館やギャラ
リーに足を運ばないアートファン以外の人やメディアやデザイン会社等が時代の寵
児になりえる作家を発掘すべく多数訪れているようです。おそらく、カイナからク
リエーターとしてのチャンスをつかんだ作家さんも数多くいることでしょう。


カイナアートフェスタ
http://kaina-okinawa.com/




text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.7 瀬底芳章

2009年10月19日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは。
のこのこせそこ第7回目です。

今日ご紹介するのはシーサーアーティストの天才光男こと宮城光男さんです。



天才光男さんはテレビや雑誌、新聞等のメディアにたびたび出演するような
売れっ子シーサー作家ですし、沖映通りにMITSUOシーサー美術館というビルも
あるのでご存じの方も多いかもしれません。
彼については色々なエピソードがありますが、まずは作品をいくつか見て頂きたいと思います。





上2つは伝統的素材である漆喰を使ったシーサーです。


こちらは厨子甕(平くいうと骨壺)版のシーサー。




こちらは京都の安楽寺で展示した際の画像。お寺の本堂にシーサーが並ぶ景色は
圧巻の一言です。


パワフルで迫力のある表情のなかにどこか愛くるしさを秘めた魅力的な作品です。
天才光男さんのすごさは、シーサーの存在感にもありますが、漆喰で巻き毛を作る
など高度な技術的に立脚した制作力にもあります。また、研究熱心な方でもあるの
で、シーサーのルーツにも詳しいです。彼が言うには、シーサーの起源はスフィンクスであり
エジプト文化というか獅子像文化の最終地点が沖縄のシーサーと日本の狛犬だそうです。
実際にライオンを見ることのできた環境にいた人からライオンを見たことのない人たちへと獅子像文化が
伝わっていく訳ですが、その過程にはライオンのイメージの伝言ゲームがありその果てにシーサーがあるといのは
面白い話です。また、シーサーの巻きが獅子のたてがみだけではなく色々なところに生えているのも伝言ゲームの結果だろう
というということです。現代のシーサー作家の中でも一、二を争う知識と故国吉清尚さんの元で学んだ伝統に裏打ちされた確かな技術。そういった骨太のバックボーンがあってこそ、他に類を見ないシーサーを作ることができるのでしょう。
東京や京都、益子焼で有名な栃木やフランスでも制作や展覧会を開催し評価を受けているのも偶然ではありません。

また、「シーサーは形ではなく精神だ」と天才光男さんは常々発言しています。
そんな天才光男さんが最近作っているのが下の2つ。
シーサーをモチーフとしたアクセサリーとシーサーをキャラクターとしたシーサーマン。




アクセサリーの方は、シーサーをいつでも身に付けていられるように、シーサーマ
ンはシーサーの概念、精神性をより多くの人に分かり易く伝えることを考えて産み
出したそうです。
伝統工芸という重厚な歴史と価値の中にいれば安定した評価を得られるところを、
常に新しい可能性を模索していくところが天才光男さんがシーサー職人ではなくシ
ーサーアーティストである所以なのでしょう。


おまけ、天才光男さんはYouTubeでこんなこともやってます。



シーサーマンの国宝級 ~カラカラ編




ちなみに"天才光男"という名前も彼自身が勝手に名乗ったのではなく、ちょとした由来があります。
気になる方はMITSUOシーサー美術館で彼のオリジナルシーサーを物色しながら聞いてみてはいかがでしょうか?


↓は天才光男さんの作品、グッズが買えるMITSUOシーサー美術館のHP。
http://homepage2.nifty.com/mitsuo-m/




(画像は本人の許可を得て掲載)



text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.6 瀬底芳章

2009年10月12日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは。
のこのこせそこも第6回目となりました。

いきなりですが、アカデミックなアートやコンテンポラリーアートだけがアートではありません。
ということで今回は、沖縄で大流行中のご当地ヒーロー「琉神マブヤー(http://www.mabuyer.com/)」のご紹介。




ご存じの方も多いかもしれませんが、「琉神マブヤー」は昨年沖縄ローカルの地上波TVで
放映されたヒーローモノの番組です。
下掲載の写真とキャラクター名を見ればお分かりの通り「沖縄」色を前面にだした
構成・内容で大人から子供まで人気を獲得しました。
噂によると、ケータイキャリアのショップでマブヤーショウを開催したところ
数百人のお客さんを集めたそうです。


キャラクターの紹介


琉神マブヤー



ハブデービル


オニヒトデービル


マングーチュ


クーバー1号・2号(沖縄方言でクモ)

で、この琉神マブヤー、美術やキャラデザインを担当するのはハリウッドでも
活躍していた比嘉ブラザーズです。
すべてのデザインを担当している訳ではないようですが、内容や人材も基本が
地産池消というスタイルで好感持てます。
もちろん、県外の人も多く関わってますし、県外の方の経験や知識が入ったから
こそ高品質なご当地ヒーローとして成功したのだと思います。

僕もDVDを買って観たのですが、ホント、面白かったです。おそらく30代前半より
若いうちなーんちゅにはわからない方言や伝統の説明などもさりげないようで露骨
に挿入しているあたりが印象的でした。

以前、縁あってプロデューサーのお話を聞く機会があって色々と質問したことが
あります。プロデューサーからお聞きした内容についてはプライベートな場で
聞いたお話なのでここで勝手に公表する訳にはいきませんが、ご当地ヒーローと
いっても安易な企画ではなく非常によく練られたモノであることがわかりました。
商業ベースのクリエイティブワークは普通のアーティストとはことなり数字と
いう明確な結果を要求されます。その善悪は別として、ビジネスの現場でモノ作り
をしているからこそのシビアさとケレンミの絶妙さがあって初めて成立するクリエ
イティビティというのがあるのは確かでしょう。同時に狭義のアート業界の人間が
一度立ち止まって考えなければいけないことも山のように存在するのだろうな、と
考えさせられました。


ちなみに10月6日からBS11で放送開始したので、沖縄にいなくても琉神マブヤーを
観ることができます。興味のある方は是非、BS11でご覧ください。


(画像はすべて権利者の許可を得て掲載)




text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.5 瀬底芳章

2009年10月05日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは。
のこのこせそこはお陰様で五回目を迎えることができました。

今週も前回に引き続き現代アート関連の話題を、ということで、沖縄のコンテンポラリーアートシーンの第一世代とも言える花城勉さんと彼がプロデュースするちょっと変わったギャラリーのご紹介。

花城勉さんは主に「価値(感)」を主要なテーマとして作品を発表してきた作家です。僕の知る限りでは沖縄でコンセプチャルアートというジャンルでの作品制作及び発表をして評価を受けていた最初の世代です。もちろん花城さんの前の世代でも渡名喜元俊さん(http://bit.ly/1biKN6)のように興味深い作品を制作していた方もいますが、モダンアートからの流れでコンテンポラリーアートへと歩んできた世代ではなく、始まりからコンテンポラリーアートという「リアルな感性」としては花城さんや彼の友人でもある志喜屋徹さん(http://www.kyubidou.com/artist/shikiya/index.html)の世代からだと思います。

ちなみにこの世代は大物アーティストが結構います。日本人だと村上隆さんがちょうど同世代ですし、世界でみるとマシュー・バニーやダミアン・ハーストあたりがいたりします。この顔ぶれかして、もしかしたら彼らの若い時代というのは時代がアーティストを求めていたのかもしれません。







画像は10年ほど前の展覧会(イベント?)のものですが、国際通りの空き店舗(現在のテンブス館向いあたり)を空きペットボトルで埋め尽くしモデルが花城さんの作品を持ってファッションショーのようにねり歩いたりしてます。他にも現在のOPAビルでの展覧会を開催したりギャラリーと路上で同一作品を同時展示をしたり、とゲリラ的な仕掛けをするなどギャラリーという箱に囚われない作品発表を展開していました。


さて、そんな花城さんですが、那覇市山下町にあるクラブ「ピンクサロン(http://pinksalon-okinawa.com/)」の一角で「ピンクサロンギャラリー(http://pinksalongallery.com/)」というアートギャラリーを不定期開催でプロデュースしています。実はこのギャラリー、僕自身も沖縄アートセンターを立ち上げる前から関わっています。クラブの一角の狭いスペースという独特の空間でコマーシャルギャラリーの様に販売を目的としていない、というか「売る」ということを無視したタイプのアート展が楽しめます。

ご飯が食べられないとアートもヘッタくれもないのは事実ですが、作品をお金に換えることを意識し過ぎると作品としての強度を維持できない場合もあります。この辺は、とても難しい問題なんですが・・・。

でも、最初から売ることを目的にしない場合、アーティストの実験場として面白い展覧会が開催しやすいというのはあるのでしょう。下手をすると自己満足になってしまうのが難しいところですが・・・。

不定期開催ですので明確にいつ展覧会が開催されるかはわかりません。
それが逆にクラブに遊びに行ったらアートに出会えた、という偶然の出会いを演出するギャラリーとなっていて面白いとも言えます。




これまで開催された展覧会

山田 聡展


沢田悦子展


志喜屋徹展


浦田健二展


吉村壮明展


花城 勉展

(画像はすべてギャラリー及び花城氏本人の許可を得て掲載)



text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.4 瀬底芳章

2009年09月28日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは、のこのこせそこ第四回目です。
前回まで街ばっかり紹介していて肝心のアート関係にまったく
触れていないことに今さらながら気付いた瀬底です。
そこで今回からは沖縄のアーティストやアートシーンをしっかり
紹介していきます。
と、思っていたところ、タイミングが良いことに沖縄出身で世界で
活躍している照屋勇賢さんの個展が南風原の画廊沖縄で開催されていたので
早速『照屋勇賢展―Cut―』に行ってきました。




ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれたことで
ご存じの方も多いかと思いますが、照屋さんはニューヨークを拠点に活躍している
現代アートの作家です。
実は個人的にお世話になっている先輩なので、恐れ多くてあまり偉そうに評論
めいたことはできないのですが照屋さんの作品を観たことがないという方の為に
彼の作風等を簡単にご紹介したいと思います。

照屋勇賢といえば「紅型を使った作品」を思い出す方も多いかと思います。実際
今回の展覧会でも紅型を使った新作シリーズ「Heroes」が発表されています。
彼の代表作である「結ーい、結ーい(You-I, You-I)」の紅型による戦闘機や
落下傘部隊の表現の印象が強烈なため沖縄に焦点を当てた作家のように思っている
方も多いかもしれません。

しかし照屋勇賢という作家は「沖縄」を表現する作家ではなく「彼が生きている
現代社会」を表現する作家であると、僕は思います。彼の作品からは作家自身が
生きる社会へ対する作家自身の視線がはっきりと感じ取れます。
沖縄をモチーフとすることが多いのは単に彼が沖縄で生まれ育ったからでしょう。
彼の作品を追っていくとそのことが明確にわかります。


照屋勇賢の公式サイトで、「照屋勇賢は日用品を巧みに操作し、変形し、現代の社
会文化を反映するような意味をもたせる(中略)照屋の作品は拡大する現代の大量
消費社会、天然資源の枯渇、グローバリズムの抱える問題―それが地域文化と伝統
とアイデンティティを脅かしていることなど―を主題としている。」と書かれてい
る通り、彼の作品からは地域とグローバリズムの混在からくる矛盾や疑問が提示さ
れています。

また、彼のこの姿勢は終始一貫しており、僕の知る限りでは大学生時代から既に現
在のような社会の現状を切り取る作品を制作していました。

さて、前置きが長くなりましたが展覧会の様子をレポート。


「結ーい、結ーい(You-I, You-I)」シリーズ

今回は出品されていなかったのですが、下の画像のように着物として仕立てた作品
もあります。





新作「Heroes」の展示風景です。


安室奈美恵


尚寧王



瀬長亀次郎



具志堅用高


この作品では安室奈美恵、尚寧王、瀬長亀次郎、具志堅用高といった沖縄出身の
英雄・スター達が紅型で描かれています。
作品の題材、技法から一見アンディー・ウォーホルを想起させますが、アンディ
ー・ウォーホルが世界的な著名人達の肖像を当時の常識からすれば油絵等の一点
モノで描く所をあえて大量印刷技術であるシルクスクリーンによる印刷を用いる
ことで流通され消費されていくイメージとしての肖像を表現しているのに対し、
こちらでは沖縄という地域での著名人を紅型という沖縄の伝統技法を用いているの
が特徴といえるでしょう。単純な見方をすればグローバル対地域文化となるのでし
ょうが、紅型という技法が琉球王朝時代には一回使った型紙は焼却させていたとい
う印刷技術でありながらも一点モノであったという事まで想い至ると別の味わいが出てくると思います。




「Corner Forest」
トイレットペーパーの芯から枝を切りだした作品。



「告知―森(Notice-Forest)」
「結ーい」シリーズと並ぶ代表作。使い捨ての紙袋の側面を切り抜き、木を表現した作品です。
紙袋の種類によって様々な表情の木ができるのですが、画像の作品は桜のように見えます。

「Corner Forest」と「告知―森(Notice-Forest)」の他にもアメリカのドル紙幣を切り抜きした作品や今個展のフライヤーから切り抜きして若葉を表現した作品が展示されており、まさに「Cut」展という感じでした。紅型も型紙を作るのである意
味Cutですね。



「Dawn」
こちらは上記シリーズとはちょっと異なる趣の作品ですね。僕個人としては一番好
きなシリーズです。
ブランド品や銃などの武器にオオゴマダラという蝶のさなぎを付け、人工的な物質
が持つフォルムを有機的で自然なイメージへ倒錯させます。消費や暴力といった人
為的な行為の象徴につけられた「さなぎ」という未来の象徴に託された想いが照屋
勇賢さんからのメッセージとして観るものに訴えるものがあります。

全体としてみても、新作もあり小作品が主ではありますが代表作や旧作が見渡せる
プチ回顧展的な構成で非常に良い展覧会でした。
(画像はすべてギャラリー及び本人の許可を得て掲載、HPからの転載もあり)




text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.3 瀬底芳章

2009年09月21日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさんこんにちは、のこのこせそこ第三回目です。
今回はまた那覇に戻って、僕のホームグランドである国際通りに隣接する桜坂界隈をご紹介。

桜坂というのは昔の飲み屋街です。
街並みは↓のような感じです。




レトロですね。十五年前くらいまでは「場末」なイメージだったんですが、ここ最近は那覇のオシャレ飲み屋スポットになってます。
この道何十年というママ&マスターさんがいるお店もあれば、ヤングなお兄さん達がイマドキなラウンジバー何かを出店してたりします。ちなみにいわゆるオネエ系のお店もあります。

で、この通りを過ぎると壷屋焼きで有名な壷屋のやちむん通りにつながるのですが、その狭間に昔の映画(たぶん日活映画)の看板がちらほらと見られる通りがあるんですよね。


美空ひばりさんです。


こちらは石原裕次郎。左上の「総天然色」が時代を感じさせます。


忍者モノですね。
「柳生・忍者集団」とありますが、柳生一族って徳川の将軍家剣術指南だったと思うのですが、忍者でもあったのでしょうか?



「スナックヒーロー」もとい、映画のヒーローヒロインの集合看板。特定の映画というより映画館の賑やかし的に使われていたんだと思います。


探せば他にもあると思いますが、そもそも何でこんなに昔の映画の看板があるかと言いますと、桜坂には桜坂劇場という映画館があるからです。一度経営難で閉館したのですが、有志の方々の手によって復活、現在ではミニシアター系劇場として沖縄の人気カルチャースポットとなっています。そんな昔の桜坂劇場で使っていた看板が街のあちこちに飾られているようです。






text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.2 瀬底芳章

2009年09月14日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
みなさん、こんにちは。

のこのこせそこの瀬底です。
普段は那覇市を中心に活動していて、アート事情も那覇近辺の方が詳しいのですが、今回はあえて違う地域の紹介してみようと思い立ち、行ってきました。沖縄市。

沖縄市のアートスポットは主に3つです。

ひとつはプラザハウスという老舗のショッピングモール。グローバルギャラリー(http://www.plazahouse.net/gallery/index.html)というモール内のギャラリーは毎回質の高い展示を行っています。

ふたつ目は銀天街。スタジオ解放区(http://blog4.fc2.com/kurosio/)が時間をかけて地道にアートと街をつなげる活動をしています。

そしてみっつ目は沖縄市のメインアーケド街である一番街とその近郊。幅広く活躍ちゅの自由創作表現者(http://www.atoron.com/)のお二人やアーティストの石垣克子さんを中心に設立されたアノコザ(http://www.a-n-o.org/)が頑張ってます。他にもギャラリーラファイエット(http://rougheryet.ti-da.net/)もありますし、最近では若手の作家が次々とアトリエを開いているようです。

と、ここまで紹介して何ですが、今回は上記の方々の活動を取り上げる訳ではありません。
アーティストが集まる街の通りを散策して面白かった箇所をいくつか写真を取ってきました。

グローバルギャラリ―さんは大城英天展を観に行ったのですが、展示企画者のIさんとの立ち話が盛り上がり過ぎて写真撮るの忘れまてしまいました。

で、銀天街。
コンパクトなアーケード通りの中で輝く銅像がありました。


誰かに似てますね。


何故か郵便ポストの隣にあります。
像の説明が書かれたプレートが・・・。


「和田 アキ子像」とあります。
「アッコのかるーく見てみたい」という番組は知らなかったのですがWikipediaで調べてみると1989年10月から1990年9月の一年間だけ放送された番組のらしいです。
それはいいのですが、「この像は魔厄け像である…」と言い切るプレートのキャプションが素敵です。
銀天街には他にも素敵な建物とか色々ありましたがアッコ像が素敵過ぎてお腹いっぱい感もあり、そのまま次の一番街へと。

久しぶりに訪れた一番街の第一印象は思っていたよりシャッター街になっている。というネガティブなものでしたが街全体が那覇とは違う空気を醸しだしているのは昔から変わりません。


観光地によくあるアレです。



大きな壁画もあります。確認取ってないのですが、絵柄から言ってたぶん自由創作表現者さんです。


通りに溶け込んでますね。


閉鎖されたゲーセンの看板。中央のゴルゴが素敵です。


素敵すぎるのでアップでも撮ってみました。


アノコザの石垣さんのアトリエ入口。3階はギャラリーになっています。


いかがでしょうか?
他にも沖縄市戦後文化資料展示室とか県立芸大出身の有志が立ち上げたギャラリーとかありますが
僕が全部紹介しても面白みがないので興味のある方は是非、沖縄市コザを散策してみてください。



text:瀬底 芳章




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のこのこせそこ~アートの似合うまちぐゎーから~ vol.1 瀬底芳章

2009年09月07日 | 月曜(2009年9~10月):瀬底芳章さん
はじめまして。沖縄アートセンターの瀬底芳章と申します。
紆余曲折ありまして何故かこの「沖縄Daily Voice」で記事を書かせてもらうことになりました。
折角なので沖縄のアートというかクリエイティブな場所やモノを紹介できたらと思います。

今回は私が所属する沖縄アートセンターについて軽く紹介したいと思います。
沖縄アートセンターの最大の魅力は「場所」です。


那覇は国際通りのど真ん中にあります。


繁盛してますね。


看板です。


階段を昇ってみます。


怪しげな廊下がでてきます。


そのまま入ってみましょう。
初めての人は途中でものすごく不安になるらしいのですが勇気を振り絞って進んでください。


もう少しです。


着きました。
中の様子は秘密です。
自分で言うのもなんですが、この廊下が一番のハイライトです。
沖縄県民でも知らない人が多いディープスポット「むつみ橋水上店舗」です。
何故、「水上」かというと川の上に建てらた物件だからです。ちなみにこの建物、長さ140メートル程ありますが、川の流れに沿ってカーブ&川下川上で建物の幅が違います。


ちなみに来た道を振り返るとこんな感じ。




廊下の各所に昭和を感じるモノが…。


いかがでしたでしょうか?
沖縄には歴史的な背景からか県民性なのか新しいモノ、古いモノ問わず変なモノ・場所が結構あります。
今後は沖縄県外から見ると少し変わったクリエイティブなものを紹介できたらと思います。


text:瀬底 芳章




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