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The Okinawan spirits ~泡盛百花~vol.1 稲垣千明 

2009年07月01日 | 水曜(2009年7~8月):稲垣千明さん
はじめまして。稲垣千明(ちはる)と申します。

沖縄の文化に触れ、学びたくて、本州から移住してきました。
そんな私が念願かなって修士課程に進んだ際、選んだテーマが「泡盛」でした。
沖縄で暮らすうち、日常の生活や冠婚葬祭、さらには歴史や文化の中に、
さまざまなかたちで登場する泡盛への関心が、私の中で、どんどんふくらんで、
どうしても追い求めずには、いられなくなったのです。
けっして泡盛のおいしさに酔いしれたからでは、ありませんよ。
恩師に恵まれ、周囲の方々の協力や支援もいただきながら、
私は泡盛の世界に足を踏み入れたのですが、歩を進めれば進めるほど、
その奥深さを知ることとなりました。



今回、ご縁があって、このブログを担当させていただくことになりましたが、
私が今までに学んだり聞き知った泡盛にまつわるさまざまなエピソードをご紹介し、
飲むのが好きな方にも、そうではない方にも、風味だけにとどまらない
泡盛の魅力をお伝えできれば…と考えています。

前置きが長くなってしまいましたが、今回は、お祝いにまつわる泡盛に
ついて、少しご紹介しておきたいと思います。

お酒というと、沖縄に限らず、お祝い事には付き物ですが、
沖縄には「サキムイ(酒盛り)」という言葉が、そのまま名前となった
お祝い事があります。さて、みなさんは、どんな場面を想像されるでしょうか?
じつは、かつて沖縄では、「サキムイ」とは婚約のことを意味していました。
女性の家で行われる「サキムイ」には、男性の家から、お茶やお茶うけと共に、
お酒を持って行ったのだといいます。
現在からは想像できないかもしれませんが、昔、泡盛は、
とても貴重なお酒でした。
庶民が口にできる機会は、あまり無かったのです。
そういう貴重なお酒を酌み交わす数少ない機会でもあったことから、
きっと結納のことを「サキムイ」と言うようになったのでしょうね。
 結婚を約束する二人を取り持つ泡盛…。
泡盛は、ロマンチックな場面での立役者でもありました。


写真はお祝いに使われていた酒器・嘉瓶(ユシビン)
ユシビンについては今後のブログで紹介するつもりです

text:稲垣千明



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