沖縄Daily Voice

沖縄在住の元気人が発信する

紅茶の島のものがたり vol.9 冨井穣

2009年05月29日 | 金曜(2009年4月~):冨井穣さん
第9話


研修生活の始まり






 駿河路や 花橘も 茶の匂ひ(松尾芭蕉)
 芭蕉没年の1694年、江戸から西上の途中で現在の静岡県島田市に立ち寄り、「茶どころの駿河路ではタチバナの花ですら新茶の香りがすることだ」と詠んだ有名な一句である。

 静岡は言わずと知れた日本一のお茶の生産地。古くは鎌倉時代に静岡市郊外の安倍川、藁科川流域で栽培が始まり、江戸時代には幕府の「御用茶」として重用されるなど由緒ある歴史を誇る。現在の栽培面積は約2万ヘクタールで生産量は全国の約7割。静岡市を中心に、清水、富士、川根、中遠など県内各所にお茶の名産地が広がる。

 幾重にも連なる茶畑の緑が太陽に輝いてまぶしい。山城が初めて静岡を訪れたとき、どんな思いでこれらの茶畑を見ていたのだろうか。
 蛇足だが、日本に古くから自生しているかんきつ類は、冒頭の「花橘」と沖縄のシークヮーサーの2種だけである。
 琉球や シークヮーサーも 茶の匂ひ
 そんな歌を詠むほどのどかな気分ではなかっただろうが、少なくともそれだけの気概を持って研修に臨んだことは確かだろう。

 静岡県中部を流れる大井川の西岸、茶畑が延々と続く標高100mほどのなだらかな台地に、国立茶業試験場(現・独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所金谷茶業研究拠点、以後省略)はある。一帯は牧之原茶業地帯と呼ばれ、県内に数ある茶産地の中では最も広大な規模を誇る。明治初期に徳川家の家臣らが原野を開墾してできた比較的歴史の浅い茶園だが、その後も入植者が相次ぎ現在の規模まで発展したという。

「広いなあ…」
 それが山城の第一印象だった。沖縄では指折りの茶産地で育った山城にとって茶園風景が珍しいわけではないが、それにしても茶畑が多い。至る所に製茶工場があり、おまけに茶業功労者の銅像が幾つも建っている。それもそのはず、牧之原地域だけで沖縄県の栽培面積の100倍以上の畑があるのだから。
「茶畑にある巨大な扇風機にも驚きました。さすがは日本一の茶産地、畑作業の暑さしのぎにこんなものまで造れるなんて、沖縄とはスケールが違うなあ、と本気で思っていました」
 それが実は、風を送って茶葉に霜が降りるのを防ぐ「防霜ファン」だと知ったのは、しばらくたってからのことである。

 研修は2年間の寮生活。国唯一の茶業研修施設とあって、将来を嘱望される有能な若者が全国各地から集まってくる。一般的に国立茶業試験場が受け入れる研修生は、各地域の茶業組合などがお墨付きを与える「お茶エリート」が多い。何代も続く老舗茶農家の後継者もいれば、地元農政の次期有力者、ペットボトル飲料などを扱う大手茶問屋の子息もいる。中には卒業後のコネクションを見込んで、子どもを入所させたがる茶業関係者もいるらしい。

 山城は1999年入所の第41期生。沖縄出身の研修生は数が少ない上、他県以上に後継者不足の問題に頭を抱える沖縄の茶業界にあっては、弱冠19歳の山城はまさに希望の星、茶業協議会など関係団体は強く推薦したことだろう(もちろん入学試験もある)。

 カリキュラムは1年目にお茶全般についての基礎を学んだ後、2年目に希望する専門分野に分かれて担当教官に付き、各自のテーマに沿って研究を進める流れになっている。面白いのは、入学時期がちょうどお茶の収穫・製茶シーズンと重なるため、夏前までいきなり畑と工場に出て終日実習となる点だ。茶の収穫作業では伝統的な手摘みと合わせてさまざまな摘採機械を使った実習を行い、製茶工程では昔ながらの手揉み製茶と機械の操作を並行して学ぶ。さらに摘採後は一番茶から二番茶にかけて、施肥や中耕、除草などの圃場管理を任される。教室での講義が始まるのは、これらの作業がひと段落ついた7月以降だ。確かに自然相手の農業を学ぶ以上、理屈を知るよりまずは実地研修を通して体で覚えるほうが理にかなっているかもしれない。というのも、意外なことに、研修生の中には初めて茶摘みを経験するような者が少なくないという。
「まあ、僕は高校へ行かず既に働いていましたからね。実習でも講義でも知っている内容が多かったので、まだ『分からないことが分からない』状態の同僚に比べて、その点は大きなアドバンテージだったと思います」

 例えば収穫作業で最新の乗用型摘採機(茶畝をまたいだ車体上に人が乗り、運転しながら摘採作業を行う機械=写真)の実習があったとしても、山城はその用途や使い方を覚える以上に、沖縄で導入する際の問題点について考えてしまう。沖縄の土は粒度が小さく粘性が強いので、機械を入れているうちに地盤が締まって水はけが悪くなるのではないかと予測できるし、また茶畝の幅や茶樹の高さはこの機械に合っているかどうか、茶園の規模を考えると作業効率は劣るのではないかといった点にまで頭が回る。だから授業後には教官に質問したり資料室で研究論文を調べたりして、その対策を練るための研究に人一倍時間を費やせるわけだ。
「授業では常に沖縄との違いは何か、教わった知識や技術を沖縄で生かすにはどうすればよいかということを考えながら取り組んでいました。試験場には、茶業に関するありとあらゆる資料がそろっていますからね」
 こうして山城は、日本一の茶産地という絶好の環境で、水を得た魚のように探究心を膨らませていったが、そこには幾つかの問題点が潜んでいた。


※写真(上)は、静岡県牧之原地区の茶畑のようす。なだらかな山の斜面に色鮮やかな茶樹が広がる。所々に立っているのが「防霜ファン」
写真(下)は、乗用型摘採機を使った実習風景(独立行政法人農研機構野菜茶業研究所提供)



text:冨井穣




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オキナワ写真日記 vol9 大湾朝太郎

2009年05月28日 | 木曜(2009年4~6月):大湾 朝太郎さん
具志川おじいの家



先週沖縄は梅雨入りと書いたのですが、今年は空梅雨でしょうか
なかなか雨が降らず撮影日和のいい天気が続いています。
写真は具志川のおじいの家に遊びに行ったときの写真です。



1 ウチの嫁さんの実家から見える風景です、トタンの奥に見えるのは収穫をまだ
  されてない(されない?)サトウキビ達です。




2 ナイスシャッターチャンス!!ウチのおじいちゃんです。




3 アコークローの空です。(アコークローとは昼と夜の時間帯のことです)




4 ウチのこです、朝千代といいます。ちなみにウチの大湾家は男の名前に
  漢字の朝がみんなついていて子供が生まれると朝がつく名前を考えるのに
  大変です。





text:大湾朝太郎



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沖縄在住の料理家から学ぶ「沖縄食材レシピ帖」 vol.9 砂川有紀

2009年05月27日 | 水曜(2009年4~6月):砂川有紀さん
週替わりで、沖縄在住の料理家さん直伝の沖縄食材レシピを紹介するお料理ブログ。
今回は見ても食べても元気になりそうな、柑橘系フルーツを使ったデザートを紹介します。

【今回の食材】パッションフルーツ


輪切りにするとドロッと出てくる果肉が独特のすっぱさをもつトロピカルフルーツ。
一緒にほおばる種のプツプツとした食感も絶妙です。
そのまま食べるのはもちろん、ジュースやジャムの材料としてよく使われますが、
今回はプルプルのシークヮーサーゼリー&ミルキーなブランマンジェと組み合わせたレシピを
伝授していただきました。ゼリーを少しやわらかめに作って、パッションフルーツの果肉と
絡ませるのがコツです。
【メニュー名】
なめらかブランマンジェ
シークヮーサーゼリーとパッションフルーツ添え


【材料(120ml容器の10個分)
{ブランマンジェ}牛乳…450g、グラニュー糖…80g、板ゼラチン…7g、生クリーム…100g
※お好みでオレンジ系リキュールかラム酒…小さじ1/2

{シークヮーサーゼリー}シークヮーサー果汁…75g、水…375g、グラニュー糖…80g、
パールアガー8(海藻から作ったゲル化剤、ゼラチンよりもやわらかく固まる)…10g

{パッションフルーツソース}パッションフルーツ…1個(約30g)、グラニュー糖…10g

【作り方】
{ブランマンジェ}
①鍋に入れ、沸騰直前まで火にかけた牛乳、グラニュー糖のなかに
軽くしぼった板ゼラチン(氷水につけてふやかしておく)を加え、ゴムベラで混ぜて溶かす
②ボールに①をこしたものと生クリーム、好みでリキュールを加える
③ボールの下に氷水をあててトロッとなるまで冷やした後
カップに分け入れ、冷蔵庫で冷やし固める
{シークヮーサーゼリー}
①鍋に入れ、沸騰直前まで火にかけたシークヮーサー果汁と水のなかに
パールアガー8とグラニュー糖(軽く混ぜ合わせておく)を加えながら
泡立て器で混ぜる
②ボールに①をこし、平らなバットに流して冷蔵庫で冷やし固める
{パッションフルーツソース}
スプーンでとったパッションフルーツの中身とグラニュー糖を鍋に入れ
ひと煮立ちさせる
{組み立て}
ブランマンジェの上にカットしたシークヮーサーゼリー、パッションフルーツソースを
のせてでき上がり!

【今週の沖縄食材エキスパート】
cafe&sweets Little seed(リトルシード)
住所/沖縄市松本891
TEL/098-939-9539
営業時間/11:30~23:00
定休日/日曜日


店自慢のOKINAWANデザート
暑いシーズンになるとメニューにお目見えするコーヒーぜんざい。
夏場はケーキなどをおさえてオーダーされる人気もの、とのこと。
沖縄ぜんざいには欠かせない大粒の金時豆と、氷にしみ込んでも薄まらない
存在感のあるコーヒーの苦味がgoodな、魅惑のぜんざいです。


text:砂川有紀



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.9 吉見綾子

2009年05月26日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん

知り合いの店が、
西表島に工房を移転することになったと聞き、
閉店の日に、那覇の公設市場前にある彼の店をたずねた。



間口1メートルほどのその店は、野菜や、肉、お土産物の店がひしめきあうその界隈に、ぽこっと開いた魔法の洞窟みたいにたたずんでいた。ともすると通りすがってしまう。でも、何かの魔法にかかったように、スーッと人を引き付ける力をいつも放っていた。
あの日、私は子供をつれてあっちの角を曲がり、こっちの角を曲がり、この魔法使いの洞窟を訪ねた。



Amorphous GlassworksのIndependent glass art shop「匠商店」を営む岩佐匠(いわさ・しょう)さん。
最終日の店内にて。
彼は、ランプワークによるガラス工芸作品を展開している。
ネックレスやピアス、香水瓶、インセンスバーナーなどを作っている。

店の中に入りこむと、そこには、いつも、見たこともない世界が広がっているのだった。

 

出会いは、彼が、私のパートナー、ダイキのジェンベ(西アフリカの太鼓)のワークショップにやってきたことから始まった。
その頃から、自分の仕事や生活と、ワークショップで行われているリズムの旅を重ねて理解しようとしてくれている人だった。

彼が、ブログに書いた「太鼓が教えてくれたこと」を抜粋して掲載します。

・・・・・・・・
今はやめてしまったのだけど、那覇に来て最初の3年間くらい
ジェンベと呼ばれるアフリカの太鼓を毎週習っていたことがあった。

どうやら自分にはそっちの才能が無いらしく、当初の目標だった
アドリブのソロは最後まで叩けるようにはならなかった。
でも下手は下手なりに面白い発見がある。

伝統的なジェンベの曲は基本的にファースト、セカンド(場合によってはサード)
と呼ばれる基本の短いリズムをでメンバーで分担して繰り返しで叩き
その上にソロ演奏者の太鼓をのせていくというものなのだけど
いつもこの基本の繰り返しのリズムを教室の皆と一緒に
ただ正確に叩く事を追求するのが好きだった。

 

一対一でファースト、セカンドのリズムを分担して二人で一緒に叩く時はよく緊張したものだ。
多人数の時のようにごまかしが利かないから。
この時、自分から積極的に動いて相手のテンポに合わせようとしても
良いセッションは生まれない。
合わせようという意識自体が、二人のリズム、フィーリングにズレがあることを表している。
だから合わせよう合わせようとしているうちは絶対に合わないのだ。
かといって共演者の太鼓を意識せずに完全にこっちのペースで叩き
相手に合わせてもらう事を期待しても、立場が変わっただけで結局同じ事になってしまう。

完全なリズムのシンクロに大切な事はお互いにセッション相手の存在をしっかりと認識し
相手に心を開いたまま、その時自分の叩きたいリズムを探っていく。
これが相互に調和したときに、なんとも言えないハーモニーが生まれてくるのだ。
楽器を演奏する人達は皆感じていることなんだろうけど自分にとっては
新たな発見で、いつも起きる訳では無いのだけどこの感覚はなかなか素晴らしい体験だった。

  

そしてまたガラスも同じで、世間というか、流行やカテゴリーに媚びて
合わせすぎても“合わせた感”が出てしまい面白いものは作れない。
かといって自分の内にこもり、一人で好きなものだけ追求したって天井は知れている。

今までのところの限界を素直に認め、自分なりに世の中をよく観察して
現在の立ち位置をしっかり確認し、そこから無理なく作れるものをしっかりと作っていく。
そうすれば共演者である「世の中」のどこかと、作ったものが自然に共鳴して
一つの良いセッションになっていくのだと思う。

大切なのは自信を持ってリズムを刻むこと。
良いハーモニーを作る為には必要の無い気負いや弱気、驕りなどの
余計な要素をできるだけ省いていくこと。

その為にはまず心に決めたリズムを自分のものにできるよう
日々ストイックに繰り返す事が大切なんだと思う

・・・・・・・
彼の理解や発見の仕方にふれて、ダイキは、本当によろこんでいた。

そして、あの頃から比べると、彼は今、自分の世界をつかみ、静かだが自信に満ちたオーラを全身から放っている。
私はネックレスをひとつ買った。

彼の西表島での新しい展開を楽しみにしています。
いつか訪ねていこう!



text:吉見綾子



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ハイサイ!! うちなぁぐち vol.9  比嘉光龍

2009年05月25日 | 月曜(2009年4~6月):比嘉光龍さん


 5月18日、月曜日に沖縄気象台は沖縄地方の梅雨入りを宣言しました。ついに梅雨入りです。ダムの貯水率もかなり減ってきていたので、もしかして断水か、とも言われていましたが、梅雨入り宣言をした途端に毎日雨が降り続いています。良いことなのですが、微妙ですね。
 さて、その梅雨ですが、うちなぁぐちでは何というのでしょう?その説明をする前に下の表をご覧いただだきましょう。



 この上の表は二十四節気という季節を表す用語をまとめたものです。その名の通り一年を24に区切って名前を付けたもので、中国から伝わり、日本にもそして琉球にも伝わりました。

 このなかで有名なのが「八節(はっせつ)」と呼ばれる季節の呼び名。「立春・春分・立夏・夏至・立秋・秋分・立冬・冬至」ぐらいは、誰でも聞いたことはあるでしょう。しかし、これらが二十四節気だということはどうでしょうか知っていましたか?
 この八節のほかに、うちなぁんちゅならば誰でも知っている「清明(しーみー)」がありますが、実はこれも二十四節気の一つだったのです。この二十四節気はうちなぁで生活するならば是非覚えたい季節を表す語句だと言えるでしょう。

 さて梅雨の話に戻りますが、実は、うちなぁぐちで梅雨のことは、上の表にもある通り「小満(すーまん)・芒種(ぼーすー)」と言うんです。つまり二十四節気のなかの小満にあたる頃から、芒種までの間が丁度、うちなぁでは梅雨の時期と重なるんです。それでその時期に梅雨になることからこういう風に名付けられたようです。

 上の表にもある通り、小満の入りは毎年5月21日頃とあるように今年も小満は5月21日で木曜日ですね。梅雨は18日に入ったので季節的には、二十四節気で言うと、まだ「立夏(りっかー)」なんですね。ちなみに去年、平成20年度の小満の入りは同じく5月21日で水曜日でした。そして去年の梅雨入りは5月22日で丁度、小満に入った頃に梅雨入りしています。
 今年、平成21年度は立夏の節に梅雨入りしましたが、いつまで続くのでしょうか、多分、例年のように芒種の頃までは続くのでしょう。

 そして、梅雨が明ける頃には、うちなぁは「夏至(かーちー)」の季節に入るんです。その頃には夏の到来を告げる季節風「夏至南風(かーちーべー)」が南から吹き付けてきて、その風が吹くと、昔からうちなぁんちゅは、梅雨もそろそろ終わりこれからは本格的な夏が来るな、ということを体感的に知っていたようです。その「夏至南風(かーちーべー)」の後は「夏至凪(かーちーどぅり)」と言い一転して今度は無風状態になるというのが一般的なうちなぁの季節のようです。



※写真について
私のうちなぁぐちの大師匠である首里金城町の「ぅんめー(おばあさん)」からうちなぁぐちの聞き取り調査。大正6年生まれで現在御年92歳。首里言葉について本当にたくさんのことを覚えていらっしゃっていて、いつも色々なことを教えて頂いています。私が来ると、とても喜んで下さって、帰る際にも又何時でも遊びにいらっしゃいと言ってくださるので本当に助かっています。「ぅんめーさい、御拝(にふぇー)でーびる」


text:比嘉光龍



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紅茶の島のものがたり vol.8 冨井穣

2009年05月22日 | 金曜(2009年4月~):冨井穣さん
第8話


ホッとティータイムその1:
山城紅茶を愛する人たち

 山城紅茶は現在、インターネットで通信販売されているほか、沖縄県内のホテルや喫茶店では実際に飲んで購入することができる。今回は山城紅茶を扱っている二つの店を訪ね、導入の経緯や評判などを伺った。


Favorite Cafe(フェイバリットカフェ)
オーナー:西水義明さん

お店で扱うようになったきっかけを教えて下さい。
開店の準備であちこち駆け回っていたとき、たまたまテレビ番組で「県産100%の紅茶がある」という情報を目にしました。沖縄の食材や器を使って沖縄らしいカフェを作りたいと考えていたので、すぐに連絡をして話を聞きに行ったんです。そしてスタッフの方に茶畑を案内してもらったり、有機無農薬栽培の説明を受けたり、実際にごちそうになったり。帰る時にはもう、紅茶を店で扱うならこれにしようと決めていました。

初めて飲んだ時の味の印象は?
当初はもっと香りが強くて華やかな味をイメージしていたのですが、いい意味で期待を裏切られたというか…。茶葉の発酵がやや浅めですっきり感があり、特色ある味に仕上がっていると思います。個人的には4種類ある商品の中で、アッサム種を使った「No.927コク重視」がいちばん好みですね。店のメニューにはこれを載せており、ほかの三つを含めて四種類ともお土産用として販売しています。

お店での評判はどうでしょうか?
店では紅茶を単品のほか、ランチやケーキとのセットメニューで提供しています。観光のお客様はお食事ついでに紅茶を注文する方がほとんどですが、やはり「沖縄県産」の紅茶は珍しいのでしょう、ダージリンやアールグレイといった一般的な紅茶ではなく、山城紅茶を選ぶ人が圧倒的に多いですね。面白いことに県内の方は、食事をとらず山城紅茶だけを「狙い撃ち」してご来店されるケースが多い。いずれにせよ、お茶というものは嗜好(しこう)品ですから、数ある紅茶の中の銘柄の一つとして気軽に楽しんでほしいと思っています。

※お店データ※
Favorite Cafe
フェイバリットカフェ
国際通り近くのニューパラダイス通りにあるカフェバー。激辛の沖縄そば「まじむんそば」が人気メニュー。沖縄民謡唄者として活躍する上間綾乃さんがチーフスタッフとして在籍することでも知られる。

電話:098-863-0730
住所:那覇市牧志1-1-39
営業時間:11:30~翌3:00(金、土曜は~翌5:00)
定休日:火曜
http://favoritecafe.net

 



ホテルJALシティ那覇
総料理長:喜屋武直彦さん

「アイランド・ティーフェア」の内容を教えて下さい。
ホテル1階にあるレストランBon Appetit(ボナペティ)で、ランチとディナーの間のティータイムに、山城紅茶とスイーツを提供しています。始めてからもう3年近くたつでしょうか。紅茶はおしゃれな透明の茶器に入れてポットサービスでお出しするので、女性のお客様にたいへん好評です。レストランの利用は宿泊客、観光客がほとんどですが、ティータイムは県内の方も大勢いらっしゃいます。当初は4種類の中から好みのテイストを選べるようにしていましたが、山城紅茶を知ってもらうきっかけとしては選択肢が少ないほうがいいということで、現在は基本的に「No.909職人仕上げ」「No.918あっさりストレート」の2種類を扱っています。

「地産地消」がテーマのレストランにはぴったりの紅茶ですね。
どんな料理に使うとしても、地元でとれた食材に勝るものはありません。しかも山城さんは決して無理して紅茶を作っているわけではなく、沖縄の気候や土壌が適しているからこそ緑茶をやめて紅茶を選んだと聞いています。また自分なりの考えを持って、手摘み、無農薬栽培に取り組んでいる点にも共感が持てますね。紅茶に限らず、これからの時代のもの作りには、「こだわり」の要素があることがとても大切になると考えています。

今後、山城紅茶に期待することは?
残念ながら今の日本では、紅茶を飲む習慣がまだまだ定着していません。ディナーのコース料理では食後にコーヒーか紅茶が付きますが、コーヒーを選ぶ人がほとんどです。そこで私たちは紅茶をもっと身近に感じてもらえるよう、アイランド・ティーフェアを開いたり、紅茶の茶葉を使ってスモーク料理を提供したり、さまざまな試みを続けています。せっかくこれだけ優れた素材があるわけですから、もっともっと多くの人にアピールできるよう一緒に頑張っていきたいですね。

※お店データ※
Bon Appetit
ボナペティ
南仏料理をベースにした「新琉球フレンチ」が味わえるダイニングレストラン。地産地消をテーマに、料理にはとれたての有機野菜やハーブなど新鮮な沖縄の食材をふんだんに取り入れている。アイランド・ティーフェアは14:30~18:00。

電話:098-863-0730
住所:那覇市牧志1-3-70
営業時間:11:30~21:30
定休日:無休
http://naha.jalcity.co.jp

 


text:冨井穣



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オキナワ写真日記 vol.8 大湾朝太郎

2009年05月21日 | 木曜(2009年4~6月):大湾 朝太郎さん

梅雨入り前の沖縄



今週から梅雨入りすると聞いていたので、梅雨入り前の沖縄を撮りに出かけました。
この日は一日天気が良くて気持ちいい一日でした。


1 石川にある昆布ビーチです。あまり観光スポットとしては有名じゃないですが、普段は静かでのんびり出来るいいスポットです。




2 休みの日ともなると地元の人たちが家族づれでビーチパーティーをしに来ます。沖縄のローカルな海遊びを体感できます。




3 本部の市場周辺です。この道をまっすぐ歩いてブーゲンビリアの咲いている店までの風景がすごく素敵です。ちなみにちかくには有名な「きしもとそば」があります。




4 こういう何気ない風景からその土地の空気感を感じます。




5 梅雨入りまえの短い夏のシメはキレイな夕日でした。
  ゴーパチ(58号線)を運転しながら撮りました。




text:大湾朝太郎



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沖縄在住の料理家から学ぶ「沖縄食材レシピ帖」 vol.8 砂川有紀

2009年05月20日 | 水曜(2009年4~6月):砂川有紀さん
週替わりで、沖縄在住の料理家さん直伝の沖縄食材レシピを紹介するお料理ブログ。
ひと足先に梅雨シーズン到来の沖縄から、県産食材を使った気軽に作れるスイーツを紹介します。
雨降りの日に自宅でのんびり、オキナワンなお菓子作り、なんてどうでしょう?

【今回の食材】黒糖



さとうきびの搾り汁を煮詰めて作る、昔ながらの沖縄おかし。
たくさんの種類のお菓子があふれている現代においても、未だにおばぁんちの定番お茶請けといえば黒糖。
行く度に「黒ザーター(砂糖)あるよ~」と強くすすめられるんです。(ちょっとうんざりすることも…)
カルシウム、ミネラル分も多く、ヘルシー食品としても知られる黒糖。
今回は使い勝手のよいパウダー状のものを使用します。

【メニュー名】
きなこ&ごまの2パターン
黒糖ラスク



【材料】
フランスパン…100g、無塩バター…50g、粉末黒糖…30g、きなこ、ごま…お好みで
【作り方】
1. 下準備
フランスパンを好きな形にカット(薄すぎると形が崩れるので要注意)
バターをレンジで溶かしておく
オーブンを130~140℃に予熱しておく
2. フランスパンをボールに広げ(なるべく重ならないように)、バターをかけて手で混ぜる。
3.黒糖をふりかけ、全体になじませる。
4.3を半分に分け、それぞれにきなこ、ごまをまぶす。
5.天板に並べて予熱したオーブンで15~20分乾燥させるように焼く

【今週の沖縄食材エキスパート】
cafe&sweets Little seed(リトルシード)
住所/沖縄市松本891
TEL/098-939-9539
営業時間/11:30~23:00
定休日/日曜日



沖縄北インターチェンジ近くの住宅街エリアにあるリトルシードさん。
緑に覆われた外観と、ウッディな店内が住宅街のなかのオアシスといった雰囲気で、
取材の日もオープンと同時にお客さんが続々入ってくる人気ぶり。
今回紹介したラスクをはじめ、バラエティーに富んだお菓子も人気を集めているよう。
地元客に支持される、気取らない名店です。


text:砂川有紀



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ミツが観るクリエイター達とその生活 vol.8 吉見綾子

2009年05月19日 | 火曜(2009年4~6月):吉見綾子さん
よなはらみよさん家の宴は楽しい。
おいしい料理とお酒。楽しい近所の仲間たちとのおしゃべり。




当日、写真を撮りにちょっと早めに出かけたら、もうセッティングされていたテーブル。今日は外のデッキで。



台所のみよさん。窓からは大きなガジュマルの木が見える。撮影していて気付いたけど、彼女のキッチンには、調理台がない。宴のおいしい料理の数々は、コンロの横のこのスペースのみで作業している。どんだけ手際がいいんだ!

そしてこれです。



これが、私が一番好きな、みよさんの一品。
中に、野菜やお肉がはいった、ぷりっと、さくっとなサモサ。
子供にも、大人にも大人気。



★みよさんから聞いた
サモサレシピ:

1.強力粉いっぱい、
薄力粉少し、バター、砂糖、ベーキングパウダー少々、
これらを合わせて、熱いお湯を加え混ぜる。熱が取れてきたら、手で耳たぶくらいの柔らかさまでこねる。

2.じゃがいもを蒸して、ひき肉、細かく切った野菜を塩コショウ、カレー粉少々でいためる。これを合わせてサモサの中身を作る。

3.ぎょうざみたいに、皮を伸ばし、中身を包んでいく。合わせ目はフォークなどできっちりおさえる。

4.そして、中火で揚げる。


★サモサにつけるトマトソース:

1.アンチョビ、オリーブ、トマト缶、オリーブオイル、好みでガーリック
を合わせて塩、コショウで煮詰める。

※アンチョビが、もとから塩辛いので味付けの時、注意すること。



みんな大満足。




夜の台所で料理をする母。まるでレンブラントの絵のようだ。
でもきっと、あたしが酔って撮影してるからこうなったのね。

 

★みよさんドレッシングレシピ:
玉ねぎのみじん切りを水にさらし、絞ってドレッシングとあえ、冷蔵庫に冷やしておく。
コレを、サラダにかけるととてもおいしい。子供も大丈夫。
なるほど。
ちなみに、この夜は、水菜、ピーマンなどにお刺身のサンドされたサラダにかけてありました。トッピングにオニオンフライ、ナッツとバジル、カイワレ。



もう、酔っ払ってたので、ぶれてるし、何を撮っていたんだか分らないものの中からのワンショット。娘の日葉ちゃんと。

母になったら、何にもできなくなると思ってる人がたくさんいると思う。
でも私は、母になったら、創造の源、エネルギーの源、生きることへのパワーがぐんと増すと思う。
みよちゃん、楽しい時間をありがとう!


text:吉見綾子



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ハイサイ!! うちなぁぐち vol.8  比嘉光龍

2009年05月18日 | 月曜(2009年4~6月):比嘉光龍さん


さて、うちなぁぐちのことについて、「ありくり(あれこれ)」書いてはいますが、今現在2009年の時点でどれぐらいの方がうちなぁぐちを使っているのかと聞かれました。その答えの前に、まずは、下の地図を見て頂きたいと思います。



 これは、琉球諸島の言語圏地図です。北から、奄美、うちなぁ、宮古、八重山、与那国と琉球諸島は大きく分けて5つの言語圏に分かれているんです。しかし、「ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)」は、うちなぁをさらに、「沖縄語」と「国頭語」の2つに分けました。私はとりあえず、琉球大学の狩俣繁久教授から5つだと習いましたので、それを採用します。
そして、私が使う言葉はうちなぁ中南部の言葉に属します。うちなぁの北部、一般的に「山原(やんばる)」と呼ばれる地域は、中南部とは少し言語が違います。つまり、私の使ううちなぁぐちは、うちなぁ中南部の言葉だと考えて下さい。
さて、「うちなぁぐち(うちなぁ中南部言葉)」の話者ですが、私の接してきた何十何百人という、私主観のうちなぁんちゅのサンプルしかないので、独断となってしまうのは申し訳ないのですが、今まで色々な方と接して来た結果、六十代以上の方こそが、うちなぁぐち第一言語世代に属しているのだと思います。50代以下だと日本語が第一言語の環境に生まれ育っている方がほとんどのようです。
 そこで、六十代以上の人口を調べようと思いネットで検索したら、国勢調査の結果がありました。「2005年(平成17年)」のものが一番新しく、そこには沖縄県の人口、136万1594人のなかで、中南部市町村の人口は112万9054人とありました。そのなかからさらに六十代以上の人口は宮古、八重山を含めて27万7874人とありました。
 うちなぁ中南部だけのお年寄りの人口は掲載されていないので、大体でしか言えませんが、計算すると23万人ぐらいがうちなぁ中南部のお年寄りの人口ではないかと推定できそうです。
 2005年に23万人の「うちなぁぐち(うちなぁ中南部言葉)」の話者がいらっしゃるとしても、これには時間制限があります。毎年々々、お年寄りは減っていくのが現実でしょう。この23万人が元気に話せるのは後30年もないと考えられます。そうすると、2040年にはうちなぁぐちを話す人はいなくなると言えるのではないでしょうか。
 寂しいのですが、それが現実です。しかし、私はこの現実をそのままにしておくつもりはありません。今からでも間に合います。お年寄り達から本当の昔言葉を聞き取り調査をする。そして、一番大切なのは学校教育で教えることです。日本語とまったく同じ時間をさいて学校教育で教えるのです。荒唐無稽に感じるかも知れませんが、世界では当たり前のことです。危機言語の対策は個人や地域だけではうまくいきません。国がやらなければ、また県が取り組まなければ難しいと思います。
まだ、その取り組みはほとんどなされていません。ですから、微力ながらも私は、うちなぁぐちの講師をしていますし、少しでもうちなぁんちゅ自身に関心を持ってもらおうとラジオもすべてうちなぁぐちで通しています。
「御総様(ぐすーよーと読む、皆様という意味)」「まじゅん、考てぃ行ちゃびら(一緒に考えて行きましょう)」
 ちなみに、現在教えているウェルカルチャースクールですが、年齢層が幅広いんです。最年少が26歳で最年長は78歳です。びっくりするかもしれませんが、78歳の方は親が宮古の方だそうで、うちなぁぐちそのものも、また敬語もはっきり分からないからと言う理由でわざわざ講座を受講して下さっているんです。上の琉球諸島の言語圏地図にありますが、奄美、宮古、八重山、与那国と、うちなぁぐちはそれぞれ言葉が違い、また、お互いの言語ではほとんど通じ合えないほどなのです。
ほかにも受講者は二十代から三十代、四十代から五十代と幅広い年齢層が習いに来て下さっていて、うちなぁぐちを習いに来るおもな年齢層は特定できないというのが現状です。



※写真について
那覇市にある「ウェルカルチャースクール(098-832-5588)」にてうちなぁぐちを教えている様子。



text:比嘉光龍

            
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