沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

溶融スラグの環境汚染リスクを考える(その2)

2015-10-30 16:46:18 | 溶融炉

沖縄県は県の廃棄物処理計画において溶融炉の整備を推進していますが、このブログの管理者が知る限り「溶融スラグの有効利用に関する指針」等は策定していません。

沖縄県は県民の約70%(約100万人)が溶融炉に依存しています。したがって、今後も県内において溶融スラグの利用が行われていくことになります。

しかし、溶融炉を整備している市町村において、一部の職員や利用者の過失等により溶融スラグの不適切な利用が行われた場合は、県全体の問題に発展する可能性があります。そして、場合によっては県の計画が一挙に破綻する可能性もあります。

このブログの管理者は宮古島市の不祥事を考えると、その可能性はゼロではないと考えています。

そこで、内地からの移住であり溶融炉に依存している沖縄県民の1人として、内地において策定されている「溶融スラグの有効利用に関する指針」等について書くことにしました。沖縄県内において溶融炉を整備している市町村の参考になれば幸いです。

長崎県溶融スラグ有効利用指針

◆溶融スラグの性状は、溶融方式及び施設の運転状況、処理する一般廃棄物の性状等によって変動する可能性があることから、溶融スラグ製造者はこれらの点に留意しながら安全な溶融スラグを製造する必要がある。

◆一般廃棄物から溶融スラグを製造する者は、溶融スラグが土木建設資材として長期間にわたり利用されることを第一に認識して、安全性の高い溶融スラグの製造に努めなければならない。

水砕スラグは一般的に強度的に弱いため、有効利用に際しては加工や改質、他の材料との混合利用が必要である。

◆スラグの粒度は溶融施設によって異なるので、スラグの性状に合った利用先を確保すると共に、スラグの粒度を分級して供給体制を整えることが望ましい。

補足説明⇒長崎県は溶融スラグの品質が一定ではないことを重視していると思われます。

千葉県溶融スラグ利用促進指針

 ◆焼却灰等を溶融処理したスラグについては、鉛等の金属等を含有しているため、環境に与える影響についての不安が利用促進の阻害要因の一つとなっている。

◆溶融スラグを有効利用した場合は、新たな資源として長期にわたり自然界に暴露されることから、有効利用している現地において、対象物質の溶出状況の調査を行う。

◆本指針は溶融スラグの使用者に処分費又は処分費に代わる他の名目の費用が支払われている溶融スラグは、処分行為に該当するため適用されない。

◆溶融スラグの製造装置は、熱のロス等を防ぎ効率的な運用が必要なことから相当の期間を連続で運転することが必要である。

補足説明⇒千葉県は溶融スラグを利用している現場における環境汚染リスクを重視していると思われます。

埼玉県溶融スラグ有効利用指針

◆溶融スラグ製造者は、利用計画に基づいて指針に適合した溶融スラグの製造、品質検査を行うとともに、必要に応じて加工・改質、保管・運搬等を行うものとする。また、溶融スラグの製造及び品質検査に関する資料(溶融スラグ利用者から報告を受けた利用実績等を含む。)を保存するものとする。

◆溶融スラグ利用者は、溶融スラグ製造者と協議の上、「溶融スラグ利用計画書」を策定し、この利用計画に基づいて溶融スラグの受取検査を行うとともに、必要に応じて加工・改質、保管・運搬等を行うものとする。また、「溶融スラグの利用実績書」を作成して保存するとともに溶融スラグ製造者に通知するものとする。

◆溶融スラグの性状は、処理する一般廃棄物等の性状や施設の運転管理状況により変化することから、溶融スラグ製造者は、定期的に品質検査を行うこととし、その都度、指針に定める「品質基準」に適合しているか否かを判定するものとする。

◆基準に適合しない溶融スラグを確認したときは、溶融スラグ製造者は、速やかにその原因を究明し対策を講じるものとする。

◆溶融スラグが溶出量及び含有量基準に適合しない場合は、溶融スラグの製造又は利用を中止して、適正な処理・処分を行うとともに、必要な対策を講じるものとする。

補足説明⇒埼玉県は溶融スラグの利用者(民間)に対する製造者(市町村)の責任を重視していると思われます。

以上が内地における「指針」の概要ですが、これらの「指針」は溶融炉を整備している市町村に対する県の技術的援助として策定されています。ただし、市町村が製造した溶融スラグがその市町村内で利用されるとは限りません。したがって、これらの「指針」は県民全体に対する県の行政サービスとして策定されていることになります。

※沖縄県が第四期廃棄物処理計画(平成28年度から平成32年度)においても溶融炉の整備を推進する計画を策定するのであれば、沖縄県民のために「沖縄県溶融スラグ有効利用指針」も同時に策定していただきたいと考えます。



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