沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域組合の地域計画を考える

2016-10-11 09:51:44 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ 

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。  

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今日は、浦添市と中城村・北中城村が平成31年度に設立を予定している広域組合の地域計画について考えてみます。

なお、地域計画とは市町村(一部事務組合を含む)が国の補助金を利用してごみ処理施設の整備(長寿命化、更新等)を行うときに作成する計画で、正式名称は循環型社会形成推進地域計画と言います。

はじめに、下の画像をご覧下さい。

これは、環境省の財産処分の承認基準から、市町村が新たに広域組合を設立して広域処理を行う場合の「財産処分の条件」に関する部分を抜粋した資料です。 

財産処分承認基準(環境省)

このように、市町村がごみ処理の広域化を行う場合は、既存施設を広域組合に無償譲渡して、譲渡前と同様に使用しなければなりません。そして、広域組合は善良な管理者の注意をもって既存施設を管理するとともに、効率的な運営を図らなければならないことになっています。

(注)中城村北中城村清掃事務組合は平成26年度から溶融炉の運用を休止しているので、広域組合を設立する前に再稼動するか廃止しなければならないことになります。そして、再稼動して既存施設の長寿命化を行わずに広域組合に無償譲渡した場合は、広域組合において効率的な運営を図るために焼却炉と一緒に長寿命化を行うことになります。

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下の画像は、環境省が作成している地域計画作成マニュアルから、「計画の策定に関する条件」の部分を抜粋した資料です。 

地域計画作成マニュアル(環境省)

地域計画の作成に関する条件は、ここに記載されてる以外にも幾つかありますが、最も重要な条件は地域計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していることになります。

(注)浦添市は廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理を行っているので、既存施設に対する計画は考えなくてもよいことになりますが、中城村北中城村清掃事務組合は廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っているので、地域計画の作成に当っては既存施設に対する計画の見直しが重要な作業になってきます。

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下の画像は、廃棄物処理法の基本方針から「ごみ処理施設の長寿命化」に関する部分を抜粋した資料です。

廃棄物処理法基本方針

このように、廃棄物処理法の基本方針はごみ処理施設の長寿命化(延命化)を図る方針になっているので、広域組合が所有している既存施設の長寿命化が行われていない場合は、まず、長寿命化を実施することになります。

(注)浦添市が広域組合に無償譲渡する既設施設は、平成24年度に長寿命化を実施しているので、中城村北中城村清掃事務組合が広域組合に無償譲渡する既存施設が長寿命化の対象になります。

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下の画像は、環境省が平成21年10月27日付けで全国の都道府県に発出しているごみ処理施設の長寿命化の促進に関する通知から「交付金の交付」に関する部分を抜粋した資料です。

環境省に対する総務省の勧告

このように、環境省はごみ処理施設に対する長寿命化努力が行われていない場合は、施設の更新(広域施設の整備を含む)に当って財政的援助を与えることはできないということを、全国の都道府県(沖縄県を含む)に通知しています。そして、そのことを市町村に周知するよう要請しています。

(注)環境省の補助金に関する業務は、都道府県における「第1号法定受託事務」として整理されているので、国から業務を委任されている沖縄県は浦添市や中城村・北中城村に対して、国の趣旨等を正確に周知する責務があります。

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下の画像は、廃棄物処理法の基本方針から「最終処分場の整備」に関する部分を抜粋した資料です。 

廃棄物処理法基本方針

このように、最終処分場を必要とする市町村(一部事務組合を含む)は、自ら最終処分場を整備するというのが廃棄物処理法の基本方針になっています。

(注)市町村が行う一般廃棄物の民間委託処分は廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画になります。

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下の画像は、前の記事で使用した「浦添市と中城村北中城村清掃事務組合の最終処分量」を比較した資料です。

このように、浦添市は最終処分場を必要としない市になっていますが、中城村北中城村清掃事務組合は溶融炉を再稼動した場合であっても、最終処分場を必要とする一部事務組合になるので、広域組合の地域計画においては最終処分場の整備計画が大きな課題になります。

(注)中城村北中城村清掃事務組合が広域組合を設立する前に溶融炉を廃止した場合は、広域組合において整備する最終処分場の規模が大きくなります。

という前提で、これから広域組合の具体的な地域計画を考えてみることにします。

下の画像は、地域計画に記載することになる「既存施設の概要」を整理した資料です。

このように、中城村北中城村清掃事務組合がごみ処理計画の見直しを行わずに広域組合を設立すると、焼却炉と溶融炉の長寿命化だけでなく最終処分場の整備に関する計画も地域計画に盛り込まなくてはならないことになります。しかし、この計画では浦添市が広域処理を白紙撤回することになります。なぜなら、広域組合が国内で稼動している事例のない溶融炉の長寿命化を行い、その上、最終処分場の整備も行わなければならないとした場合は、浦添市が考えている広域処理のスケジュールが大幅に遅れることになるからです。

(注)市町村にとって最終処分場の整備は時間のかかる事務処理になるので、地域計画に最終処分場の整備計画を追加する事態になった場合は、その段階で広域処理は白紙撤回になると考えています

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下の画像は、中城村北中城村清掃事務組合が広域組合を設立する前に「既存施設の長寿命化を実施」する前提で整理した資料です。

浦添市は平成31年度に広域組合を設立する予定でいるので、中城村北中城村清掃事務組合は、遅くとも平成30年度までに焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施していなければならないことになります。ただし、同組合が溶融炉の長寿命化と最終処分場の整備を行う場合は、1つ前の資料にある理由と同じで、浦添市は広域処理を白紙撤回すると考えています。

(注)既存施設の長寿命化を実施したあとで最終処分場の整備を行うこともできますが、整備できなかった場合は長寿命化に利用した補助金を返還しなければならないことになります。その場合、広域組合は廃棄物処理法の基本方針に適合しない(必要となる最終処分場を整備していない)一部事務組合になるので、国の補助金を利用して広域施設を整備することが極めて困難な状況になります。

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下の画像は、中城村北中城村清掃事務組合が浦添市と同じように「最終処分ゼロ(委託処分ゼロ)を目標として溶融炉の長寿命化」を行う場合を想定して作成した資料です。

中城村北中城村清掃事務組合が溶融炉を稼動していた期間に一度でも浦添市と同じように最終処分ゼロを達成していれば、このような計画を作成することも不可能ではないと考えています。しかし、同組合は過去において一度も最終処分ゼロを達成していません。しかも、同組合の溶融炉は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を単独で処理する溶融炉なので、長寿命化を実施しても広域組合において最終処分ゼロを継続して行くことは不可能に近い計画になると考えています。

(注)浦添市がこの計画に同意すれば、広域処理を推進することができますが、市の職員や市長が同意しても、議会や市民は同意できないと考えています。なぜなら、万が一、広域組合において最終処分ゼロを継続することができなくなった場合は、広域施設の整備に当って国の補助金を利用できなくなる可能性があるからです。

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下の画像は、環境省が作成している循環型社会形成推進交付金制度Q&Aから、「目標値の変更」に関する部分を抜粋した資料です。

循環型社会形成交付金制度Q&A


このように、地域計画において最終処分ゼロを目標値にした場合は、事業主体の都合だけで目標値を下方修正することはできないことになっています。したがって、最終処分ゼロを目標値にしている事業主体が目標値を達成できない状況になった場合は、国の財政的援助を受けることはできないことになります。

(注)最終処分場がない状態で溶融炉を運用している事業主体は、常にこの問題を抱えていることになります。

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下の画像は、中城村北中城村清掃事務組合が「平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止」して「平成30年度に焼却炉の長寿命化を実施」することを想定して作成した資料です。

広域組合の地域計画は浦添市と中城村・北中城村が共同で作成することになりますが、中城村北中城村清掃事務組合が溶融炉を廃止しない限り、浦添市は広域処理を前提とした地域計画の作成には参加しない、つまり、広域処理を白紙撤回して単独更新を行う地域計画を作成することになると考えています。また、最終処分ゼロを達成するための代替措置を講じずに溶融炉を廃止する場合も、前述の通り、浦添市は広域処理を白紙撤回することになると考えています。

(注)中城村北中城村清掃事務組合が平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止すれば、平成30年度に焼却炉の長寿命化を行うことができるので、広域組合の地域計画は広域施設の整備に関する計画だけになります。しかし、平成29年度に代替措置を講じることができなかった場合や、代替措置を講じる時期が遅れた場合は、やはり、広域処理は白紙撤回になると考えています。

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下の画像は、溶融炉を廃止するために講じる代替措置の条件を整理した資料です。

代替措置には循環基本法に基づく循環資源の利用の規定が適用されますが、廃棄物の処分を行う施策ではないので、廃棄物処理法の規定は適用されないことになります。ただし、代替措置が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は焼却炉の長寿命化や広域組合が行う広域施設の整備に当って国の補助金を利用することができないことになります。

(注)代替措置を講じる期間は、広域施設が完成して供用を開始するときまでになります。ただし、広域施設が完成しても最終処分ゼロを達成できない場合は、引き続き代替措置を講じる必要があります。

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下の画像(2つ)は、中城村北中城村清掃事務組合が「溶融炉と最終処分場を整備していない一部事務組合」で、「自主財源により焼却炉の長寿命化を実施」した場合を想定して作成した資料です。 

中城村北中城村清掃事務組合が、実際にこのような一部事務組合である場合は、広域組合は最終処分ゼロを目標として広域施設の整備を行う地域計画を作成することができます。ただし、広域組合が本当にこのような地域計画を作成する場合は、浦添市も虚偽のある地域計画の作成に加担することになってしまいます。

(注)沖縄県は環境省から補助金の交付に関する業務の委任を受けているので、制度上は、県が補助金の交付の条件を満たしていると判断すれば、補助金が交付されることになります。したがって、県が浦添市や中城村・北中城村に対してこのような地域計画を作成するように技術的援助を与えれば、かなり高い確率で補助金を利用することができることになります。しかし、万が一、そのような不適正な事務処理を行った場合は、県と1市2村による公文書(補助金交付申請書)の偽造事件に発展することになります。

上の資料は、既にこのブログで使用している資料ですが、環境省が毎年発表している一般廃棄物処理実態調査の結果から、平成25年度と平成26年度の中城村北中城村清掃事務組合の「既存施設の整備状況」を抜粋した資料です。このように、同組合は平成26年度においては溶融炉を休止している組合ではなく、そもそも溶融炉を整備していない組合になっています。

(注)沖縄県内の市町村に関する調査結果は、沖縄県の報告に基づいて発表されているので、報告を行った県の職員は、少なくとも中城村北中城村清掃事務組合は焼却炉のみを整備している一部事務組合であると判断していることになります。

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下の画像は、平成28年3月1日付けで総務省が環境省に対して行った勧告における総務省の所見の中から、「一般廃棄物処理実態調査結果」に関する部分を抜粋した資料です。

環境省に対する総務省の勧告


総務省の所見は平成25年度の実態調査結果に基づくものになっていますが、平成27年度の実態調査においても沖縄県が中城村北中城村清掃事務組合が平成26年度と同様に「溶融炉を整備していない一部事務組合」であると環境省に報告した場合は、県が故意又は重大な過失による不適正な事務処理を行っていることになります。

(注)沖縄県が毎年公表している県内の「廃棄物対策の概要」に関する資料においては、中城村北中城村清掃事務組合は平成26年度においても平成25年度と同様に溶融炉を稼動している一部事務組合になっています。

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最後に、下の画像(3つ)をご覧下さい。

これは、県内の市町村に対して国の補助金に関する技術的援助を与えている沖縄県の法令に基づく責務を整理した資料です。

このように、県は地方自治法に基づく第1号法定受託事務として県内の市町村に対して国の補助金に関する技術的援助を行っていることになります。したがって、県は国が定めたルールに従って必要となる事務処理を行わなければならないことになります。

(注)市町村(一部事務組合を含む)が地域計画を作成する場合は、県と協議を行うことになっているので、沖縄県は中城村北中城村清掃事務組合に与えているごみ処理施設の管理や運用に関する技術的援助を訂正しなければならないことになります。そして、環境省に対する中城村北中城村清掃事務組合の既存施設の整備状況に関する報告も訂正しなければならないことになります。

上の画像は、沖縄県が環境省から委任されている補助金適正化法と地方自治法に基づく第1号法定受託事務と、民間の代理店の業務を比較した資料です。都道府県の第1号法定受託事務は民間の代理店に比べれば多少の裁量権が付与されていますが、市町村(顧客)のごみ処理施設の整備に対する補助金の交付に関する業務については、環境大臣(本社)が定めた廃棄物処理法の基本方針(ビジネスモデル)を根拠にして周知や技術的援助等(サービスの提供)を行うルールになっています。

沖縄県の第1号法定受託事務に関する国の通知は、廃棄物処理法の基本方針を根拠にして発出されています。このため、沖縄県は県内の市町村に対しても廃棄物処理法の基本方針を根拠にして国の通知の趣旨をできる限り正確に周知しなければなりません。しかし、県は中城村北中城村清掃事務組合に対して廃棄物処理法の基本方針に適合しない周知を行っています。

(注)沖縄県は県の第1号法定受託事務について、県の裁量で中城村北中城村清掃事務組合に技術的援助を与えていることになりますが、この技術的援助は単なる過失ではなく、故意又は重大な過失による不適正な技術的援助になると考えています。なぜなら、都道府県が廃棄物処理法の基本方針を知らずに第1号法定受託事務を遂行することはあり得ないことだからです。

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以上が、浦添市と中城村・北中城村が平成31年度に設立を予定している広域組合の地域計画に関するこのブログの管理者の意見です。

沖縄県が浦添市と中城村・北中城村が推進している広域処理に関してどのような技術的援助を与えているのかは分かりませんが、廃棄物処理法の基本方針に即して技術的援助を行っていない場合は、結果的に1市2村は広域処理を推進することができないことになります。

【追加資料① 】

下の画像は、広域組合の地域計画の作成に当って注意が必要となる項目を整理した備忘録です。


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浦添市が既存施設の単独更新を行う場合は、既に長寿命化を実施しており、最終処分ゼロも継続しているので、この備忘録にある項目は無視して既存施設の更新に関する地域計画を作成することができます。

しかし、中城村北中城村清掃事務組合と広域処理を推進する場合は、広域施設を整備する前に同組合の既存施設の長寿命化や最終処分場の整備等の問題が生じるため、広域組合の地域計画の作成に当っては十分な注意が必要になります。

【追加資料②】

下の画像は、市町村に対して補助金を交付する事務を処理する国家公務員(予算執行職員)の責務に関する資料です。


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これはあくまでも仮定のことですが、市町村が作成した地域計画に虚偽があった場合に、その虚偽を見抜けずに補助金を交付した国家公務員は、重大な過失により国に損害を与えたとみなされる可能性があります。そして、国家公務員が地域計画に虚偽があることを知っていて補助金を交付した場合は、重大な過失ではなく、故意により国に損害を与えたとみなされることになります。

なお、万が一、このような事態になった場合は、補助金の交付を受けた市町村が補助金を返還することになります。そして、不適正な事務処理を行った市町村の職員(首長を含む)と市町村に対して不適正な技術的援助を与えた都道府県の職員(首長を含む)の責任が追求されることになります。

広域処理の成功を祈ります。