沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その15)※まとめ

2016-07-14 11:35:54 | ごみ処理計画

今日は、沖縄県の責務に関するまとめの記事を書きます。

その前に、下の画像(5つ)をご覧下さい。

これは、中北組合に対する沖縄県の責務の概要を整理した資料です。

 

国が市町村に対して直接技術的援助を与えることはほとんどありません。緊急を要する場合でない限り、市町村に対する技術的援助は都道府県を通じて与えられることになっています。

都道府県の職員が市町村に対する国の技術的援助の内容を正確に市町村に伝えるためには都道府県の職員が関係法令の規定等を十分に理解している必要があります。

沖縄県の職員が中北組合に対する技術的援助を適正な技術的援助と考えているとすれば、失礼ながらこのように考えざるを得ない状況になっています。なぜなら、県の職員が関係法令の規定を十分に理解していれば沖縄県に対する国の技術的援助と中北組合に対する県の技術的援助は同じ内容の技術的援助になるからです。

おそらく、中北組合は県の技術的援助は県に対する国の技術的援助と同じ内容の技術的援助と判断しているはずです。したがって、県の技術的援助が不適正な技術的援助であっても、中北組合は不適正と気付かずに事務処理を行っている可能性があります。

中北組合は平成26年3月に県の技術的援助に従ってごみ処理計画を改正しています。ただし、平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているので、中北組合は改正したごみ処理計画の見直しを行わなければならない状況になっています。なぜなら中北組合のごみ処理計画は、溶融炉を休止したまま長寿命化を行わない計画になっているからです。しかし、「行動計画」に休止という選択肢はありません。

原寸大の資料(画像をクリック)

    

ということで、まとめの記事を書きます。

まず、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、この記事に出てくる用語の定義を整理した資料です。なお、この定義は全国共通の定義になるので、当然のこととして沖縄県においても同じ定義になります。 

この定義の中で重要なのは、長寿命化という施策は処分制限期間を経過している設備に対して行われる施策ということです。また、県が市町村の自治事務に対して技術的援助を与える場合は、法令に基づく根拠が必要なるということです。つまり、県は市町村に対して法令に基づく根拠のない技術的援助を与えることはできないことになっています。

この定義の中で重要なのは、「行動計画」には維持管理コストと更新コストの見通しを記載することになっていることです。したがって、補助金を利用できるかできないかということが大きな問題になります。また、「地域計画」を策定する場合は既存施設に対する施策も廃棄物処理法の基本方針に適合していなければならないということです。したがって「行動計画」と「地域計画」は整合性を確保していなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、県の職員に適用される法令等の中で、重要な規定を整理した資料です。なお、この規定は県の職員であれば誰もが知っている(知っていなければならない)規定になります。

なお、当たり前のことですが、上司の命令が法令に違反している場合は、地方公務員はその命令に従ってはいけないことになっています。また、沖縄県の職員は中北組合に対する奉仕者ではなく全市町村に対する奉仕者でなければならないことになっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

次に、下の画像(4つ)をご覧下さい。

これは、沖縄県が中北組合に与えている技術的援助不適正な事務処理の概要を整理した資料です。

中北組合は県の技術的援助によって平成26年3月にごみ処理計画を改正していますが、県の技術的援助は、中北組合に対して、①法令に違反する事務処理と、②国の補助金を利用する権利を放棄させる事務処理を行っています。そして、③県が自ら中北組合との連携・協力体制を解消する内容になっています。しかし、中北組合は平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定しています。したがって、県の技術的援助によって改正したごみ処理計画の見直しを行わない限り広域処理を推進することはできない状況になっています。そして、広域処理を推進することができない場合は住民から40億円以上の自主財源を確保してごみ処理施設の更新又は新設を行わなければならない状況になっています。

中北組合に対する県の技術的援助を適正な技術的援助とした場合は、①国の長寿命化政策が崩壊して、②市町村のごみ処理計画が流動化することになります。

県は浦添市に対しては処分制限期間を経過した溶融炉に対して長寿命化を要請する技術的援助を行っています。そして、浦添市は長寿命化を行っています。また、那覇市南風原町環境施設組合に対しても同様の技術的援助を行っています。そして、同組合も長寿命化を行う準備をしています。しかし、県は中北組合に対してはまったく異なる技術的援助を与えています。このように、沖縄県における溶融炉の運用基準はWスタンダードになっています。

中北組合に対する県の技術的援助(Wスタンダード)を国が適正な技術的援助と判断して、広域施設を整備するときに財政的援助を与えた場合は間違いなくスキャンダルになります。なぜなら、国は法令に違反する事務処理を行っている沖縄県の市町村に対して補助金を交付することになるからです。 

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像(2つ)は、県が中北組合に与えている不適正な技術的援助の実態を整理した資料です。

県の職員の技術的援助は明らかに不適正な技術的援助になりますが、地方財政法第8条違反については知らなかった可能性があります。なぜなら、ごみ処理を担当している県の職員の場合は廃棄物処理法以外の法令に対する認識が十分ではない場合があるからです。しかし、市町村に対して国や県がごみ処理施設の長寿命化を要請する根拠法(地方財政法第8条)を知らなかった場合は、過失ではなく重大な過失になると考えます。なお、県の職員が法令違反になることを知っていた場合は重大な過失ではなく故意になります。また、県の職員が廃棄物処理法の基本方針や沖縄県廃棄物処理計画を知らないということはあり得ないので、この事務処理については故意による事務処理ということになります。

県の職員が地方公務員法や沖縄県職員服務規程に違反していないと判断している場合は、国や県は処分制限期間を経過した設備を所有している市町村に対して長寿命化を求める根拠を失うことになります。そして、国は地方財政法第8条の規定を改正しなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像は、上の2つの資料に基づいて作成した、このブログの管理者の沖縄県の職員の事務処理に対する評価です。

中北組合に対する県の技術的援助は市町村の自治事務に対する技術的援助になるので、法令に基づく根拠がなければなりません。しかし、県の技術的援助は法令の規定を無視した技術的援助になっています。そして、中北組合はその技術的援助に従ってごみ処理計画を改正しています。ただし、県は中北組合が自主財源によりごみ処理施設の更新又は新設を行うことは想定していないはずです。なぜなら、沖縄県の町村は人口が5万人未満であっても国の補助金を利用することができるからです。 

中北組合がごみ処理計画を改正したときは他の市町村との広域処理は検討課題から除外していました。そして、10年間は焼却灰の溶融スラグ化を行わずに焼却灰の委託処分を行っていくことにしていました。また、最終処分場の整備も検討課題から除外していました。そうなると、県は中北組合の焼却炉が老朽化して更新又は新設を行うことになったときに国の補助金を利用するために、再度、ごみ処理計画を改正すればよいという技術的援助を与えていたと推測します。しかし、そのような技術的援助は国の長寿命化政策を否定する技術的援助になります。そして、地方公共団体の事務処理としては極めて不誠実かつ不公正な事務処理になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像は、県が中北組合に与えている技術的援助と問題点の概要を整理した資料です。

県の職員がこのような技術的援助に対して問題意識を持っていないとすれば、県の職員には法令等に基づく県や職員の責務を果たす意思がないということになります。

沖縄県は溶融炉に対する依存度が極めて高い自治体です。その理由は海に囲まれている「単独県」であり、最終処分場の残余容量が逼迫しているからです。しかし、県の職員は中北組合に対してこのような技術的援助を与えています。したがって、県の職員には法令等に基づく県や職員の責務を果たす意思がないと判断せざるを得ないと考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、県の技術的援助によって中北組合が抱えている問題点を整理した資料です。

中北組合が平成26年3月に県の技術的援助に従ってごみ処理計画を改正したときは、他の市町村との広域処理については検討課題から除外していました。しかし、同組合は2年後の平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定しています。このため、同組合はごみ処理計画を改正しなければならない状況になっていますが、組合が休止している溶融炉は国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉なので、浦添市のことを考えると簡単に再稼動して長寿命化を行うという訳にはいきません。また、焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止するという訳にもいきません。しかし、焼却炉の長寿命化を回避することはできないので、溶融炉については、廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じて廃止しなければならない状況になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、上の資料の内容を図で示した資料です。

中北組合が広域処理を推進する場合であっても、単独更新を行う場合であっても溶融炉の休止を続けることはできません。なぜなら、地方財政法第8条の規定に違反しているからです。しかし、溶融炉の再稼動はギャンブルになるので広域処理を推進する場合は選択肢から除外しなければなりません。また、焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止する場合は安定性に対する担保のない施策になるので、広域処理を推進する場合は選択肢から除外しなければなりません。したがって、中北組合が広域処理を推進するためには、①焼却灰を資源化するための代替措置を自ら講じて、②その上で国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うという選択肢しか残っていないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、県の職員が抱えている問題点を整理した資料です。

平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっているため、県の職員は改めて中北組合に対して技術的援助を与えることになります。しかし、中北組合は浦添市との広域処理を前提とした「行動計画」を策定することになるので、今度こそ法令違反にならないように適正な技術的援助を与えなければなりません。

この事務処理は明らかに県の職員の事務処理のミスになるので、早急に修正及び訂正を行う必要があると考えています。なぜなら、このまま放置しておくと、中北組合に対して不適正な技術的援助を与えていることを「隠蔽」していることになるからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、平成28年度における県の職員の選択肢を整理した資料です。

このように、県の職員が中北組合に対する技術的援助を適正な事務処理と判断している場合は、結果的に地方公務員法や沖縄県職員服務規定に違反して事務処理を行い、中城村や北中城村の住民に過大な財政的負担を与えることになります。一方、中北組合に対する技術的援助を不適正な技術的援助と判断した場合は、中北組合に対してごみ処理計画の見直しを求めることになります。ただし、中北組合は浦添市との広域処理を推進することを決めているので、広域施設の整備に当って間違いなく国の補助金を利用することができる技術的援助を与えなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、平成28年度における中北組合に対する県の職員の適正な技術的援助を想定して作成した資料です。

県の職員の技術的援助は、溶融炉の休止と焼却灰の委託処分を中止する技術的援助でなければなりません。そして、廃棄物処理法の基本方針に適合する技術的援助、沖縄県廃棄物処理計画(第四期)との整合性を確保する技術的援助でなければなりません。しかも、平成31年度には広域組合を設立することができる技術的援助でなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像(3つ)は、県の職員が中北組合に対して適正な技術的援助を行う場合に十分に認識していなければならない法令等と廃棄物処理法の基本方針及び沖縄県廃棄物処理計画(第四期)における重要事項を整理した参考資料です。

県の職員は地方公務員なので、法令や県の規程等に従って、全体の奉仕者として誠実かつ公正に事務を遂行しなければなりません。したがって、最低限、これらのことを十分に認識した上で事務を遂行する責務があると考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

以上が、県の責務に関するまとめの記事です。

次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、県が中北組合に与える技術的援助に関する中北組合のスケジュールを整理した資料です。

このように、平成28年度は「行動計画」の策定期限になっているので、中北組合は平成28年度の前期には既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を決定しなければなりません。そして、後期には「行動計画」を策定しなければなりません。そして、今年度中にごみ処理計画の見直しを行わなければならないことになります。ただし、中北組合は広域処理を前提とした「行動計画」を策定することになるので、ごみ処理計画の見直しに当っては単独更新を行う場合とは異なるチェックが必要になります。

 「沖縄振興特別措置法」の期限(平成33年度)を考えると、中北組合がこのようなスケジュールで既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を実施しない場合は、浦添市は広域処理を白紙撤回して単独更新に変更することになると考えます。なぜなら、スケジュールが遅れると利用できる国の補助金が大幅に減ることになるからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合と浦添市が中北組合の既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策について何の協議も行わずに、広域組合を設立して広域施設を整備するための「地域計画」についてのみ協議を行っていることを想定して作成した資料です。

この場合は、県の職員が「行動計画」の策定に対して必要となる技術的援助を与えていないか、与えていたとしても、これまでと同じように不適正な技術的援助を与えていることになります。しかし、既存施設に対する施策を廃棄物処理法の基本方針に適合する施策に変更しない限り、広域施設を整備するための「地域計画」に対する協議を進めても無駄な事務処理になります。なぜなら、このまま広域組合を設立すると、広域組合は広域施設を整備する前に中北組合から引き継いだ既存施設の長寿命化を行わなければならないことになるからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

いずれにしても、中北組合が行う施策が浦添市が考えているスケジュールに間に合わない場合は広域処理は白紙撤回になります。したがって、県は平成30年度までに中北組合の既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策が完了するように必要となる技術的援助を与えなければならないことになります。 

広域処理の成功を祈ります。