レオシュ・ヤナーチェク
・シンフォニエッタ
・タラス・ブーリバ
・コンチェルティーノ
・カプリッチョ
指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団
ピアノ:ルドルフ・フィルクシュニー
ユニバーサル ミュージック: USSG-3961
チェコの作曲家ヤナーチェクは、自身が産まれたモラヴィア地方の音楽を元にした奇妙な作品を書いています。
その作曲技法は「シダ植物のよう」だとか「ヒカリゴケが細胞分裂するよう」だとか色々言われています。確かに私の印象としては、腑に落ちないメロディーが割り切れないタイミングで次々と被さってくる感じです。
クラシック音楽をよく聴いている人ほど、素人が思いつくままに書き留めた音楽のように聴こえるかも知れません。なぜなら、伝統的な音楽形式をあまり踏襲していないからです。そのかわり、自らのコピーを再生産するような自己完結した構造が支配的です。
しかもそれは、ただ聞き慣れない私的な音楽というだけではなく、数学的なアプローチ(例えばフィボナッチ数列だとか自己相似形を持つフラクタル図形だとか)で解釈できるのではないかとも思わせるような、とにかく底知れない音楽です。
このディスクに収録されている曲のうち、「シンフォニエッタ」はオープンな雰囲気を持っており、ヤナーチェクの代表作として有名です。しかしこれもまたなんとも妙ちくりんな曲で、最初から最後まで「なんでそうなるの?」「今のは何なの?」という疑問が頭についてまわります。また、「シンフォニエッタ」を陽とするならば「コンチェルティーノ」は陰という感じで、「Mr.マリックのテーマ」のようなこの曲を仕事帰りの電車で聴いていたら、頭がクラクラしてきました。疲れた心身にこたえるディスクでもありました。
ところで、「シンフォニエッタ」は村上春樹の「1Q84」と関係があるようですね。私は読んだことがありませんが、何だか気になります。
同じくラファエル・クーベリック、バイエルン放送交響楽団の「シンフォニエッタ」第1~2楽章。冒頭の10本を超えるトランペットのファンファーレが圧巻ですが、やっぱり変な曲です。
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