東京から奈良に来た10年前、当時は独り者だった私は仕事帰りに毎晩の食料を求めてコンビニに足しげく通っていたのでした。ところが1年近くが過ぎたこの時期、コンビニに全長1m直径30cm程度のでっかい海苔巻きのハリボテが出現。これは何の売り出しなのか? 理解できませんでした。
そんな事も忘れ、さらに1年が経過した頃、例のハリボテが今度は天井から吊るされておりました。これは一体何のまじないなのか?
当時知り合った女性(現在の嫁)に聞いてみると、あれは恵方巻といって節分に食べることになっているが何故そんなことも知らないのか、と驚かれました。驚いたのは私です。そんな風習は初めて聞いたのです。私は日本の伝統に関して歪んだ情報をずっと持ち続けていたのでしょうか? どうにも納得がいきませんでした。納得はいきませんでしたが、コンビニで買った恵方巻はおいしく頂きました。縁起の良い方向を向きながら。
その後、当時の同僚何人かに聞いて回ってみると、東京ではここ数年コンビニで売っているとの事でした。どうも大阪を中心にそういう商売が広まったらしいですね。これはこれで楽しいので、今年も食べました。
今年は変化球で、国産豚ヒレカツ巻でした。
東西の風習、というか食べ物の違いで驚かれたことは他にもありました。知り合って間もなくの嫁を東京に案内した時、喫茶店に入ると嫁はところてんを頼みました。やってきたところてんを一口食べた嫁が「うえ~! 何これ!」と驚愕の声を上げたのです。ところてんを関西では黒蜜で食べるのに対して関東では酢醤油で食べるからですが、私は知識として知っていたのにも関わらず嫁に言うのを忘れてしまったのでした。確かに甘いものを期待していたら酢醤油だったというのはショックが大きいでしょう。コーラだと思って飲んだら醤油だったようなものでしょう。
そんな事件があってしばらくして、NHK大河ドラマ「新選組!」で香取慎吾が演じる近藤勇が京都で食べたところてんに驚愕しておりました。「ところてんは酢醤油だろ!」と。ああ、やっぱりみんな驚くところは同じなんだね~、と感心したものでした。ちなみに私は酢醤油のところてんは苦手です。