ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

世の中どうなってんだろう

2022-12-06 23:01:14 | Weblog
 昨今の医療ドラマはリアルで、医療者が見ても勉強になると感心するばかり。のみならずPICUの凄みは、祈ればエネルギーが通じる、意識障害から目を覚ました患者が意識がなかった時のことをわかっていた等、専門家でも理解していない最先端の脳医学や量子医学を伝えていること。

 そんな凄みも些末に思えるほど、2人の天才俳優が魅せた母と子の長回しは、歴史に残る名シーンに違いない。しかもそのあとに子どもの患者のエピソードを2つも盛り込み、涙が止まらない濃密な1時間だった。

 先週見学に来られた方が、
「医療的ケアの時間が決まっていて施設のスケジュールでは通えないかもしれません」
と言われたので、
「基本のスケジュールはありますが、それに合わない方には個別のスケジュールで対応します」
と答えたら、同伴の相談支援員が驚嘆していました。
「何を驚いてるんですか、利用者が施設に合わせるのではない、施設が利用者に合わせる、当たり前のことを言ってるだけじゃないですか」
と笑えば、また絶句した相談支援員が、
「そんなこと言う施設はありません」と一言。

 今日見学に来られたロングショート希望の方は、
「お風呂の頻度はどれくらいですか?」
と聞かれたので、
「申し訳ありません。1日1回です」
と答えたら、
「毎日、入れてくれるんですか?」
と聞き返されました。
 言葉が足りず申し訳なかったのですが、1日3回シャワー浴した人もいますので、ご希望とニーズに応じるだけだということです。1日何回でもどうぞ。

 笑いながらの面談でしたが。しかし。世の中どうなってんだろうという思いは禁じ得ず。

人生の集大成

2022-11-28 23:58:55 | Weblog
PICUは人生最高ドラマかも。そして吉沢亮くんは、この年になってやっと出会った最高の役者ではないか。

キャプテン翼に憧れて多くの子供たちがサッカーを始めたように、
ダウンタウンに憧れて多くの若者が芸人を目指したように、
40年以上前、高校生の時に見たドラマ「車輪の一歩」が、自分の進む方向を導いてくれたように、

このドラマを見て誠実な医者になることを目指す若者が現れたら、20年後の日本は明るいかも。

健康状態が芳しくないこの頃、人生の集大成も考える日々に。
行動障害のわが子に悩むご家族や職員からの相談は全国から届き、その置かれている境遇の残酷さに同情を禁じえず。

これまで学んできた全てを形に残して、困っている人たちに少しでも助けになれるよう。
前作よりさらに実践的なノウハウ本となる著書の執筆にかかりたいと思った。

ザリガニの鳴くところⅡ

2022-11-21 00:21:37 | Weblog
 誕生日を迎え遂に年代がひとつ繰り上がり。30年ぶりに大学時代の同級生と再会を果たしてみたら、空手部主将も務めたモテモテの2枚目だった彼が、すっかりおじいさんになっていたことに愕然。

 高齢者に仲間入りしたせいか、最近とみに涙もろくなり。帰ってきた初代相棒とともにヒューマニティあふれるテイストも帰ってきた「相棒」と、PICU吉沢亮くんの演技に毎週号泣。

 そして、映像化は不可能だろうと勝手に思っていた「ザリガニの鳴くところ」、映画化のCMを見て待ちわびていた日々。本日早々に行きたかったが、不眠の夜勤明けのためひと休みして夕方からの観劇、その映像美に感激した。頭の中で想像するしかないと思っていた、原作に忠実な自然と動物の姿。その自然現象をCGでごまかすことなく、よくぞ撮影できたものだと驚嘆。

 日本なら戦後に当たる貧困の時代に、虐待と差別偏見の中で必死に生き抜いた少女の人生、孤独との闘い、しかし苦しみを乗り越えて、離別した家族と再会したシーンは、原作でも最高頂に号泣した場面。世界中に何億人もいるであろう、被虐待児がみな涙するに違いない。その一人である自分には、到底涙なしに観られないのは必然。そして、孤独な生い立ちから幸せを掴むドラマであったことが嬉しい。世界中の被虐待児に希望を灯す作品である。

 さらには、愛と社会派とミステリーの融合であるところに、空前絶後の素晴らしさがある。ミステリー大賞上位作品ながら、最後のどんでん返しはいらなかったのではないかと思えるほど、ヒューマンドラマとしての完成度が高かったが・・・結末がなければミステリー大賞作品にはならなかったかもしれず。やはりこれで完璧なのだろう・・・

ハナミズキ

2022-11-03 23:26:00 | Weblog
 今週もPICUは泣けた。吉沢亮くん、毎週本当に素晴らしい。昨夜の「相棒」も初代のシリーズに帰ったように、謎解きあり、どんでん返しあり、優しさありで嬉しい限り。しかも今回は映画「街の灯」をモチーフに据えたストーリー。ミステリーとチャップリンをともに高い熱量で愛するファンをとらえる逸品に、日本一響いたファンは自分ではないかと思った。

 超多忙の一週間、ようやく先週の録画も視聴。強烈なメッセージを歌い上げる一青窈の熱情には、普通の人が経験しない過去の想いが秘められていたことを知り納得。

 そして名曲「ハナミズキ」についても触れられた。9・11テロを知ってこみ上げる感情を書き上げたという歌詞。誰もが知る、「君と好きな人が百年続きますように」のフレーズに込められた想いは、最も重症の子どもたちとその家族に関わる支援者の気持ちを代弁している、と思った。この歌の経緯を知った時から、重症障害の方を受け入れる施設を始める時には、「ハナミズキ」と名付けようと決めていた。

 その生活介護ハナミズキが完成し、先週引渡しになりました。見学可能です。ぜひいらしてください。

帰ってきた2人

2022-10-28 19:55:24 | Weblog
 初代が帰ってきた「相棒」。初回は「ん?」だったが、謎が解ける2話目はなかなか良作、本格スタートの3話目は、ドラマのらしさ復活、加えて初代の魅力が充満、亀山君が帰ってきたんだなあと浸れる秀作だった。

 それにも増して今期嬉しいのは、昨年の大河で栄一を演じた天才俳優が、小児救急医師の役で帰ってきたこと。感動必至、面白くないわけがない!予想通り、そして予想を超える感動。毎週泣くつもりで観ると決め。さらに。医療者のはしくれとして、昨今の医療ドラマがリアルで、なんと勉強になることか。

 しかしやはり。この世界に一人も苦しむ人がいなかったら本当は役者で生きていきたかった自分にとって、天才役者の演技は見逃せず。吉沢亮くんの感情表現は見逃せない。昨年演じた渋沢栄一しかり、出会った人間がみなその巨大な人間性に引き込まれた、と司馬遼太郎が表現する西郷隆盛もこんな人間だったのかもしれないと、歴史マニアは思う。

 

穏やかなグループホーム

2022-10-28 19:53:53 | Weblog
 3軒目のグループホームも軌道に乗りつつあり、3棟とも強度行動障害と呼ばれた人たちが、今日も穏やかに暮らしている・・・が。

 会話できない重度障害の方たちが集まるホームは、静かで退屈になりがち。自閉症と言われる人が人との関わりを望んでいないということは全くなく、人懐こくて場の雰囲気を楽しむ人はたくさんいる。そんな方たちにとって、おしゃべりする人がいない静まりかえった場所が幸せなのか。
みなさんに幸せな暮らしを提供しているとは全く思えず。ねがいのいえ自慢の天然スタッフコンビに毎日住み込んでもらえたら、きっと楽しくなるのだろうが。

 強度行動障害の人たちが穏やかに暮らすのは当たり前の、ねがいのいえが向き合う次の課題である。

容疑者X

2022-09-24 23:40:13 | Weblog
 ガリレオ新作映画「沈黙のパレード」は、傑作が出なくなって久しい東野圭吾の、最近10年のベスト作品。大きな期待を込めて劇場に臨むために、夕方の再放送も毎日見て多忙な4週間だった。満を持して鑑賞した新作は、お笑い界でも優しさがにじむ飯尾さんの演技が響いた。

 そして今夜放送の「容疑者X」。特段の映画ファンでもない自分の人生で最多回数観ているが、今夜、過去最高に涙したのは、今の自分に今まで以上に共鳴するものがあったということだろうか。

 ミステリー各賞のみならず直木賞を受賞し、純文学としての評価を博した傑作は、見返りを求めない無償の愛をテーマにした三浦綾子の文学に通じる世界観。何かをしてくれたからではなく、そこにありのままに存在している誰かによって生かされていることへ感謝する想いは、きっと誰にもあることだろう。

 この作品に触れるといつも、中学生の自分がその後の人生観に大きく影響を受けた「塩狩峠」を思い出す。遠出を控える期間が続きそろそろ旅行でもと思っていたが、今一番行ってみたいのは三浦綾子記念館。

 そして塩狩峠に立つ自分が見える。

#あちこちのすずさん

2022-08-12 20:59:25 | Weblog
 従軍慰安婦の記事を朝日新聞が特集したのは35年前。それを機に戦争の記憶を自分の中に集めたいと思い、戦争体験の語り部を招いて学習会を開いたりしたが。
やがて悲惨な話を聞くことから離れたくなり、この数年は8月の戦争ドキュメンタリーもあまり見なくなっていた。しかし・・・

 この夏はいつもと違う夏であることを誰もが感じていることだろう。核の使用は今後の世界史に二度とあり得ないと世界中が認識していたはずなのに、新たな世界大戦の危機、核の使用も辞さないヒトラー以上の独裁者の出現を危惧しているこの夏。

#あちこちのすずさん

 思わず見入ってしまった。そして。

 どんなに重度な障害のある人でも、内面は私たちと同じ想いを持っていると信じて、読み聞かせや学習会をおこなっている日々。
 国家に有事が起きた時に、社会的に弱い人たちがどんな生き方を強いられたか、利用者の方たちに伝え、一緒に考える時間を持ちたい。その時間を提供するのは私たちの役割である。

 そんなことを切に考えた。

新米理事長のぼやき

2022-08-11 21:33:22 | Weblog
 初代「相棒」の復活が決まってから、10月を待ちわびるあまり、こんな時間にやっても見れないじゃないかと思っていた夕方の再放送を録画して夜に見るのが毎日の楽しみになったこの夏。改めて見直すと、人の優しさがあふれる秀作が目白押し。ミステリー作家に転身した太田愛の脚本がやはり傑出、屈指の名作と感嘆。

 〆切から2週間も遅れて処遇改善の報告書がまとまり、ようやく今日メールで提出。あまりにも複雑で細かい数字の算出は、うつになるほど大変な作業。福祉職員の所得を上げるために経営者はこんなにも過酷な負担を強いられなければならないのか、そうこうするうちに今年度の申請をまた来週〆切でやらなければならず。これでは新たな特例交付金も、事務負担が重すぎてもらえなくなるのではないかと懸念。

 そして、社会福祉法人の事務負担のなんと重いことか。本当は現場の改善のため、全部署を見て回りたいのに、朝から晩まで終わることのない提出書類に追われ、ひとつ終わったらまた次の通知が届き、これが永遠に続くのだろうか?
こんなはずじゃなかった、馬鹿げている、と思う毎日。

 みんな、管理本部を整えてうまくやっているのだろう。生まれたて法人の新米理事長、苦労がしばらく続きそう。

GHほほえみそう完成

2022-06-30 22:00:46 | Weblog
社会福祉法人になるのはこんなに大変なのかと思い知ったこの半年。膨大な書類、経費の増加、役職者も連日夜中まで残業で取り組む日々。

そんな中、コロナ禍で遅滞していた建設が次々と始まり。1年に1個づつ増やすはずだった新規事業が今年に集中してしまいましたが。

今年度の第一弾、女性棟の「グループホームほほえみそう」がようやく完成しました。4年前に建った男性棟の「にぎやかそう」の隣に建ち互いにフォローし合うペア棟。ねがいのいえ初のエレベーターに感動しきりでした。

9月オープン、内覧会は8月に行います。