ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

想いはやまず

2023-07-01 00:03:20 | Weblog
「探偵が諦めたら事件は迷宮入りだ」を決め台詞に演技していた頃、ただのかわいい子役だと思っていた彼が、視聴者を毎朝号泣させる国民的俳優になるとは思わなかった。内包する感情の量の巨大さが、何度見返しても涙を誘う演技を可能にしている、歴史上の人物なら、その豊かな感情で出会った全ての人を引きつけた西郷や龍馬のよう。

また、あまりの美しさにモデルよりの女優だと思っていたヒロインもまた、表情と目の動きに感情があふれ出るその才気は若手女優随一と思われ。

毎朝泣かされる朝ドラはリアルタイムで見るわけにいかず、録画で夜に視聴。国民はこれを朝から見て電車に乗れるのだろうか。

身近に困っている人がいなくなれば、芝居と大道芸にまた熱中してみたいと常に思っている日々。名優の名演技にいつも心魅かれながら。困っている人がいなくなる日が来ることはなさそうなこの国と世界の世相・・・

多忙に追われ1年近く健康状態不良が続き、限界まで走り続けて突然倒れてもやむなしと思っていたが。今すぐ後継者に譲る業務体制がまだ整っていないのと、新人が育ち少し余裕ができたのとで、トレーニングと断食を再開しようやく検査値が正常に戻りつつあり。

日本財団の助成金セミナーを聴き、養育を放棄される子どもをなくしたいという課題に本気で取り組み、子どもから社会を変えるという夢をかなえたい想いはやまず。

まだしばらく倒れるわけにはいかない模様。



第三段階のその先

2023-06-17 19:37:20 | Weblog
 大学生の頃、中東紛争やアフリカの飢饉が深刻さを極めていた。青春時代まっただ中、様々思い悩んでいた自分は、映像で見る飢えた難民の子たちも、青春時代には自分と同じように思い悩むのだろうかと思っていた。その後、心理学でマズローの5段階を学び、生命の安全が保証されなければ次の次元の欲求にはつながらないことを知り、納得した。

 昔、施設に閉じ込められた人たちは、食は保証されたが、支配への恐怖や不安が満ち、安心と安全を求める段階だった。時を経て今、重度の障害のある人も、人権を尊重され、多くの人が毎日通う場所が保証され、呼び捨てで呼ばれない社会になった。それでも、強度行動障害がなくならないのは、本当の意味で心に寄り添う安心を得られていない証しである。

 グループホームねがいのいえの入居者のみなさんは。20年に渡る心に寄り添うケアを受けて今、嵐のような他害と破壊を繰り返し、他の事業所では週に2時間の行動援護が精一杯と言われた方が、毎日穏やかに暮らす。自宅でうまく過ごせなかった方たちが、日中は畑でたくさん体を動かし、夜は早々に入眠する。ストレスもなく、スタッフは愛情にあふれている。不満のない毎日のはずである。
しかし。なぜかイライラしている人がいる。原因となる要因が思い当たらない。満たされているはずなのになぜ・・・

 ふと、マズローを思い出す。生活介護なのに目一杯の労働をする仕事場は、彼らに第三段階の社会的欲求まで保証していると思われる。それでもイライラする彼らの姿は、その先を求める人間として当然の訴えなのではないか。 

「この生活に何の不満もない。でも何かが足りない」

 全国の施設はすべからく、まずこの段階までクリアしなければならない。そしてこの先は、何を彼らに提示してあげられるだろう。仕事以外に、生涯を打ち込める楽しみ、生きがい、他者の役に立ちたい、そして愛し合う人を見つけたい。

 これまで重度障害の方には第三段階が目標のゴールのようであった。しかし私たちは今、そんな方たちにも健常者と同じ心があることを知っている。ならば、その先をどう支えたらいいのか、本気の議論をしなければならない。

 もうそんな時代である。

難しいケースを断らない実際支援を現場で続けていくのみ

2023-06-11 22:11:48 | Weblog
 永田町こども未来会議が超党派で議論を重ね、医療的ケア児支援法が成立し、医ケア児を支える体制が急速に進行している。そのスピードは驚異的でさえある。先駆的活動を率先して実践する全国のリーダーたちが、まさに幕末維新の志士たちのごとく、社会運動家として政治を動かし国を変えてくれたおかげである。

 そんなリーダーたちの事業所があるはずの地域から、医ケアの幼児やインシュリン注射の成人が、誰も引き受けてもらえなかったと遠方のねがいのいえまで頼って来るのは。

 支援センターができて、専門の相談員に話を聴いてもらえたとしても、実際支援を引き受けてくれる事業所がなければ解決につながらない。20年前に多数の相談支援が立ち上がったが、休日の支援や医ケアやショートステイなど難しいケースを実際におこなう事業所が見つからず、多くの方の問題を解決できなかった時代と同じ。

 その後、重心デイの事業所や、ショートステイやヘルパーもじょじょに増え、相談支援のコーディネートが少しづつ機能していったように、医ケア児の支援も数年がかりで機能していくだろうか?

 政治活動に縁のない自分は、その分野が得意な方たちに任せその恩恵を受けながら、難しいケースを断らない実際支援を現場で続けていくのみである。

 約1年前に原稿依頼を受け、実践報告を寄稿したトラウマケアの師匠の著書が、今月末から書店とアマゾンに並びます。今まで癒すことができなかった難しいケースへ、新たな地平を切り開くメソッドです。
『わが国におけるポリヴェーガル理論の臨床応用』岩崎出版 花丘ちぐさ編著

やっと一段落

2023-05-22 23:11:07 | Weblog
 結成16年以上の漫才師による大会。どうなんだろうと思っていたら、若手時代に敗北した人たちが、だからこそさらに研鑽して劇場で磨き上げてきた本物の芸の数々。遅咲きのプロたちによる最高の競い合いに、勝敗は不要ではないかと思えた。

 夕方再放送の「相棒」を録画して夜ゆっくり観るのが秘かな楽しみ。崩壊した家族から逃げ出す幼児のストーリーは、全ての被虐待児が涙を誘われたに違いない。

 60年代ホームドラマ全盛期、70年代教師ドラマ全盛期、80年代は世界のクイズ番組全盛期、今は名刑事全盛期のようだが、筋金入りのミステリーファンには安易なストーリーが多過ぎて納得できる作品は少ない。そんな中、フランスのミステリー「アストリッドとラファエロ」は、膨大な専門知識と鋭い視点、常に裏をかくドラマ展開に魅入られる久々の秀作。加えて、自閉症の名探偵は過去数々あったが、この役者の演技は福祉職員にも学びになる推薦作と言える。

 今期の楽しみがもうひとつ、人生で初めて見る朝ドラ。たったひとつの興味に生涯を捧げた主人公の天才性は、何かの発達障害だったのかもしれないが。それに向き合う時間を幸せだとつぶやく姿は、見る者をも幸せにする。変人と言われ生きづらさを感じているかもしれない同タイプの多くの人に希望を与える秀作に思え、目が離せない。

 コロナ禍、大赤字で倒産の危機にさいなまれた昨年。冬のボーナスも出せず、収入を増やすため自ら毎晩の夜勤を引き受け、休みなく現場のケアに入り続け疲弊しきったこの数ヶ月。ジムにも通えず健康状態も最悪に陥ったが。ようやく体制が整い落ち着きました。今日は久々のトレーニング、そしてドラマを楽しみました。

 ニュースが届かないという声に、「はい、出してませんでした」と答え。明日から原稿、書きましょう。毎日現場に入っていたのでネタは豊富です。


 

最高のレクイエム

2023-03-12 07:17:47 | Weblog
スポーツ全般詳しくないので、今日の先発ピッチャーが震災で家族を失ったことを、今日初めて知った。そのとき少年だった彼が12年後、世界の舞台で三振の山を築く活躍をするなんて誰が想像しただろう。

最高のレクイエム。涙が止まらない。

どこでも、誰でも、できるはず

2023-02-02 23:30:50 | Weblog
 日々刻々と変わる情報を聴き洩らさないために理事長室でずっとTVをつけっ放しで仕事していたコロナ禍の3年間。コロナ情報はほとんど流れなくなり、最近は強盗組織のニュースばかりで、もう情報はいらなそう。自分の中ではすでに5類認定した様相。

 今期の「相棒」は原点に回帰したテイストで毎回じんわり泣ける・・昨夜の「人生は美しく希望に満ちている」というメッセージには、現実の厳しさに反論したい気持ちもありながら、やはりこれがこのドラマの「らしさ」だと感銘した。一方で、夕方の再放送で初期シリーズを見返せば、コロンボ張り、というよりもパクリと言っていいほど、純粋なミステリーテイストを醸すストーリーで、やっぱり昔も良かったなあ、と一日に2度感銘。 

 さいたま市は医療的ケア児のセンターを設置し認可保育園での受け入れを強力に進めていく、そんな新聞記事が連日流れたが。本当なのか・・・

 日本全国で、医ケア児の保育、ショートステイ、グループホーム、全てが困難と言われるが。全てを実現している事業所がここにすでに存在する。ということは、どこでも、誰でも、できるはずだと長年訴えているのだが、国を動かす人たちの耳にはなかなか届かないようで。

 受け入れ先が他になくて年越しで預かっていた医ケア児が次の施設へ移って行き、今週末は久々に休めることになったので、会食に観劇にカラオケに、朝から晩まで発散してこよう。

たったひとりにのニーズをかなえるよう

2023-01-25 00:28:06 | Weblog
 今週2件同時に訪れる保育園の監査が大したことないと思えるほど、社会福祉法人への移行事務と補助金の手続きが大変過ぎて。とりあえず補助金獲得の手続きが完了してほっとひと息。次は処遇改善の報告とか社福の会計報告とかまだまだ〆切の目白押しだが、今日は泊りの見守りをしながら、ゆっくり過ごした。

 人生最高ドラマの「PICU」を見直すために加入したFODで、今までの人生最高ドラマだった「王様のレストラン」を見返して。松本幸四郎のセリフを真似して「素晴らしい」が自分の口癖になったことを思い出し。

「一流にもいろいろある。この店は、オーナーの人の好さが一流、店の雰囲気、みんなの仲の良さが一流」と語った山口智子のセリフを、30年経った今、ねがいのいえが体現しているのは、それが理想の姿として自分の潜在意識に刻み込まれていたのだろう、と納得。

 21世紀になり、新しい制度によって若き天才たちが目をみはる活躍で席巻する障害福祉界だが、ほんの8才の医ケア児を受け入れる施設がどこにもなくて、東京から埼玉の名もなき事業所を頼ってロングステイにやって来る、この状況に。

 財団から巨額の助成金を獲得するような眼を見張る取り組みなんかより、この、たったひとりの幼児のニーズをかなえる事業所がどこにでもある、そんな国になろうよ、と訴えたい気持ちがやまない。

名探偵の生まれる夜

2023-01-10 01:38:58 | Weblog
 コロナ禍の影響を受けて赤字が続いたこの一年。経営は火の車で、自分も休み返上で毎日泊りを請け負い。年末もがんばった結果、史上最高益を出して12月を終え。 

 年始もがんばってはいるものの、感染者の増加と濃厚接触者の自粛の影響が確実に出始めているこの1月。そして営業日数の少ない2月へと続く流れは、経営に厳しい圧迫がある予感。

 心配事がつきない日々だが、年末年始は夜の見守りをしながらミステリーをいっぱい読めて心豊かに過ごせた。青柳碧人は童話を基にミステリー化するいろもの作家だとばかり思っていたら、歴史上の人物を主人公にして正統派ミステリー化し、かつ歴史も学べる作品「名探偵の生まれる夜」が出色。素晴らしかった。

 全ホームをカメラで見守りながら、「相棒」の再放送も毎日楽しませてもらい。今は姿を消した名脚本家、太田愛の作品はやはりどれも外れなしで素晴らしい。そこには愛がある。
今夜も全ホームが穏やかに過ごしているのを確認しながらのつぶやき。

来年もよろしく

2022-12-31 21:18:25 | Weblog
年末年始も休みなく稼働するスタッフ、大晦日まで困っている家庭の支援をいとわず、素晴らしい人材です。

 大晦日と元日に泊りが入るのは久しぶりのこと。どこも受け入れてくれず行く先がないと言われ遠方から来た医ケア児と年越し。こんな何でもないケアが誰もできないのかと嘆きつつ、夜間は見守りをしながら、ささやかな自分の時間。

 ずっと多忙が続いたこの1年は、本を50冊しか読めず。飢餓感を覚えミステリーを大量買いしました。年末年始は書類と見守りの合間にこれを読破しよう。

 年末、猫の墓前はいつもより豪華なお花を供え。これで年越しの準備が整いました。来年もよろしくお願いします。

やっとここまで来た

2022-12-20 00:47:29 | Weblog
グループホーム入居の強度行動障害の方が夕方から突然のパニックに。

夜の手伝いスタッフに対応してもらう間に、どこも受け入れてもらえずに急遽やって来たロングショートの医ケア児のケアを済ませてから、行動障害の方の対応を替わり、トラウマケアのメソッドで落ち着いていただき。

ご家族が急逝され、突然、空き室に入居することになった方も、突然の不幸に荒れ気味ながらも静かに入眠。

この1軒のホームの中で、通常不可能なことが3件同時に進行中。ねがいのいえ20年の積み重ねによって可能となった支援。どの団体でもできるはずなので、ぜひみんなで一緒に取り組みたいと願うばかり。

そして、介護家族を失った時に突然遠くの施設へ送られる不幸を繰り返さないために。20年の間に遠くへ行ってしまった利用者が7人いたが、亡くなられるご家族に「お子さんはここで暮らせるから大丈夫です」と言えたのは初めてのこと。

やっとここまで来ることができました。年明けから4軒目のホームオープンです。