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お一人様行動スタイルに潜む危うさ №224

2014-08-08 10:49:30 | 日記
 旅行やライブ、カラオケ、居酒屋、焼き肉店、映画館、テーマパークなど、グループや家族で行く方が楽しいと思われる場所でも、一人の方が気楽でいいという、「お一人様」で行動するスタイルが急増していると言われています。
 自分一人で過ごす時間や自分のために使うお金を削ってまで、家族や恋人を持ちたいと思わない人が増えているのは、経済的な問題だけではないように思われます。群れることを嫌う一匹オオカミというのでもなく、どちらかといえば、人と親密になるのを避け、家族や恋人、友人を持つことに消極的で、親密になることで負わなければならない責任や束縛を受けることを避けたい気持ちが根底にあるように思われます。
 「お一人様」行動スタイルの人が社会生活に適応し、それなりに充実した人生を送っているのであれば、それは一つのライフスタイルとして特に周りの人たちがあげつらう問題ではないかもしれません。ただ、「お一人様」行動スタイルが社会の大きな流れとなってきた場合、個人のライフスタイルのレベルを超えて、種の保存や共同体としての社会の持続的な維持という観点からの危うさがあります。
 「回避性愛着障害 ~絆が希薄な人たち~ 」(光文社新書刊)の著者で精神科医の岡田尊司氏は、回避性パーソナリティ障害のように不安が強く、消極的なタイプではなく、一見すると自信に満ち、傲慢で冷酷に見える人でも、親密な関係や持続的な関係をもつことを避けようとする人たちを「回避型愛着スタイル」という言葉で説明しています。岡田氏は
社会適応に支障をきたすレベルを「回避性」、健常レベルを「回避型」というように使い分けています。
 「回避型愛着スタイル」とは、岡田氏によれば、乳幼児期に十分な愛着関係を持つことができずに、人との関係に安定した信頼関係を築くことができず、親密な関係を楽しむことができなかった人、つまり「愛着スタイル」をもてなかった人ということです。
 「回避型愛着スタイル」の持ち主の最大の特徴は、他人との間に親密な関係を求めようとしない点にあると岡田氏はいいます。他人と過ごすことに興味がないわけではないが、そこに苦痛と努力を必要とする人。また、家族や親友のように、深い関わり方しなければならないような緊密な関係を避けたり嫌う傾向があるといいます。
 なぜ、親密な関係を避けるのでしょうか。親密な信頼関係を築くということは、関係する妻や恋人や子ども等の相手に対して持続的に責任を持つことになります。また、親密な関係は当然のこととして情緒的な結びつきが前提となります。回避型愛着スタイルの人は
それを面倒なことと感じて避けようとします。社会的にも経済的にも結婚や子育てが十分に可能な境遇にあっても、それらを重荷に感じ、避けることを選ぶ傾向があるということです。おそらく、根底に潜むのは、不信感や不安感、自信のなさからくるものではないかと思います。

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