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靖国カードの封印

2006-09-20 21:21:50 | 時事問題
読売新聞のウェッブによれば、米紙ワシントンポストは安倍官房長官を、「あからさまなナショナリスト」と論評する記事を掲載したと報じている。(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060919i211.htm)

「同紙は、日本が北朝鮮の核問題や中国の成長などの「脅威」に直面したことが、国家主義的な安倍氏の台頭につながった、と指摘。安倍氏の人気は、北朝鮮問題などで「非常にタカ派的な立場」を取ってきたことに起因するとした。」

読売が指摘している記事とたぶん同じと思われる、"Japan's Abe, Poised to Lead, Offers Nation Vision of Pride"(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/18/AR2006091801312_pf.html)という記事がワシントンポストのウェッブ版で読める。そこでは、安倍氏が「非常にタカ派的な立場」をとることが支持される根底にある、日本社会の変化が語られている。

安倍氏が北朝鮮のミサイル実験について、基地攻撃論を述べたことに対して、「10年前あれば、このような大胆さは安倍氏の辞職を求める公的な大騒ぎを引き起こしたろう。今日は、そのことが彼の選挙の勝利を保障するのである。サムライが戻ってきたとされるのである。」

その安倍氏が自民党総裁、首相となるわけだが、人気が高いだけに、人気を維持するのは大変だ。小泉首相の靖国参拝も、自分の人気を維持するためのカードの側面があった。国内問題に干渉する中国に敢然と立ち向かうというナショナリズムをくすぐり、国民の半分から支持されることが、靖国に行くだけで実現されるのだから、ある意味効率的であった(もちろん副作用も大きかったのだが)。

しかし安倍氏は、靖国に関しては小泉氏とは異なるスタンスをとるようだ。安倍氏がサプライズの訪中・訪韓をする準備が進行しているということが報じられている。これだけ報じられれば、サブライズでも何でもないし、外交的には喜ばしいことであるが、安倍氏が対中・対韓靖国カードを封印するのは、人気を維持する上では大変なことかもしれない。
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