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中国のアフリカ外交に批判的な社説二つ

2007-02-21 03:28:02 | 時事問題
1月末から胡錦濤主席はアフリカ訪問をした。このことに関する二つの社説に接した。一つめは、2月19日付の読売新聞「中国資源外交 アフリカからも噴き出す警戒論」である。今回、中国は重要な石油輸入先スーダンなど6カ国に総額3億ドル超の経済援助を約束した。中国の対外援助の半分以上はアフリカ向けである。

その何が問題なのか?
「中国は相手国の独裁政治や人権弾圧に一切口を出さず、ひたすら資源獲得に走っている。日米欧の先進国は、中国のそうしたやり方に不信を募らせてきた。
 とくに、「世界最悪の人道危機」とされるダルフール問題を抱えるスーダン情勢が問題となっている。
 胡主席の歴訪直前、米政府は特使を北京に送り、ダルフール問題での「建設的な役割」を求めた。スーダン首脳との会談で、胡主席は反政府勢力との対話や国連関与受け入れを促した。
 内政不干渉を原則とする中国トップの異例の発言は、欧米諸国の批判の高まりを意識したものだ。」

読売新聞のこの書き方も、同日付のニューヨークタイムズの社説(「アフリカ悪政のパトロン」Patron of African Misgovernment - New York Times,February 19, 2007)に比べたらものすごく優しい。次に引用するのが「アフリカ悪政のパトロン」の一節だ。
「中国の石油に対する需要のために、中国はスーダンとの醜悪なパートナーシップに引きずり込まれた。スーダンはダルフールでジェノサイドを行い、すでにそのために少なくとも20万人が殺害されている。中国は、スーダンが効果的な平和維持軍を受け入れるように命じる国連安保理決議を阻止した。今回の外遊で、胡氏はスーダンの債務を帳消しにして、オマール・アルバシール大統領が新しい宮殿を建てるための利息なしの借款を提供したのだ。」

ここから分かるように、少なくとも読売は胡主席のスーダン首脳へのダルフールに関する助言を記録しているし、中国のダルフールに対する間接的関与を記録していないからである。読売社説はさらにアフリカからの対中警戒を記している。
「アフリカ諸国からも警戒論が噴出し始めている。貿易面では、衣類、家電など安い中国製品がアフリカ市場にあふれ、中国の大幅な輸出超過が続く。援助に伴う中国人の大量流入も目立ってきた。
 ザンビアや南アフリカなどの政治指導者は、中国のアフリカ外交を「新植民地主義」と表現するほどだ。ザンビアでは反中暴動、ナイジェリアでは中国人技術者の誘拐事件が起きた。…
 そうした中国に対する厳しい視線は、強引な資源外交の副作用だ。年率2割で急増する対外援助は、どこでどう使われているのか情報開示もなく、国際社会の懸念材料となっている。中国も直視せざるを得ない現実である。」

読売のこの書き方もニューヨークタイムズの社説に比べたら上品である。
「アフリカのうまく統治されている諸国でさえ、中国の増大する経済的役割は、貧者を助けることはあまりない。中国のザンビアにおける鉱山投資は…労働者や環境に配慮する近隣のものからの苦情を引き起こしている。中国の投資銀行は、赤道原則として知られる国際的ガイドラインに同意しない。そのガイドラインは主要な投資の社会的ならびに環境的インパクトを監視し管理するために使われるのだ。そして安い中国製品の洪水は、もっとも貧しい最底辺の労働者をさらに貧困と失業に追いやっている。」

もちろんニューヨークタイムズは、西洋諸国もアフリカで同様のことをしたことを認める。しかし中国に対して西洋の悲惨な歴史的事例に従うことを誇るべきではないと薦めるのである。おそらく二紙とも中国が大好きなため、中国に対して責任のあるステイクホルダーとなることを希望しているのであろう。
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