どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ごちそう たべに きてください

2022年08月06日 | 絵本(日本)

    ごちそう たべに きてください/茂市久美子・作 しもかわらゆみ・絵/講談社/2021年

 

 秋から冬そして春へと、季節感がいっぱい。ストーリーも優しく、でてくる動物のイラストの可愛さにも癒されます。

 ごちそうするのが大好きなうさぎは、秋になるとクルミやドングリを集めて、みんなに木の葉の手紙を書きます。「うさぎの いえに ごちそう たべに きてください」。

 手紙をみてやってきたのは、リス、アカネズミ。クマには、ブナの実を山盛りにして。

 それからやってきたのは、遠い南の国へ飛んでいくとちゅうのアサギマダラ。思いがけないお客さんに、目をぱちぱちさせたうさぎですが、うすむらさき色のフジバカマが咲いている山のお花畑へ案内します。

 ところが、ごちそうするものが なくなってしまって しょんぼりしているうさぎのところへ、クルミをごちそうになったリスと、ドングリをごちそうになったアカネズミが、ちいさなまめがきをもってきてくれました。

 うさぎは、まめがきをみると、はっとしました。山には、なにもないどころか、しぶくて だれにも 食べられず、えだについたままになっている柿が たくさんあることに きがついたのです。

 うさぎは やまじゅうの かきをあつめると せっせと 皮をむき、木の枝に ぶらさげると 「おいしい ほしがきに なりますように」と、手をあわせました。

 冬になって、「おなかがすいて、どうにかなりそうだ」とテンがやってきました。うさぎが 干し柿を出すと、しぶい かきの実じゃないかと しりごみしたテンでしたが、干し柿を かじると、甘くておいしいのにびっくり。

 それから、冬の間冬眠しない動物たちが つぎつぎにやってくると、うさぎは そのたびに 干し柿を ごそうしました。たくさんつくった干し柿もなくなってきて、最後の一個は、おなかがすいたとやってきた冬眠しているはずのクマへ。

 クマが帰ると、うさぎは いそいで、ひあたりのよい山の斜面に でかけました。雪がとけはじめた山の斜面で、うさぎがおもったとおり フキノトウが 顔をだしていました。

 その夜、うさぎは 冬眠から覚めて、おなかを すかしている 動物たちにむけて、「うさぎの いえに ごちそう たべに きてください」と、又 木の葉の手紙をかきました。

 

 気持ちが伝わるのは、やっぱり手紙かなあ。そういえば手紙をやりとりすることは、ちかごろまったくありません。


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