山になった巨人 白頭山ものがたり/リュウ・チェスウ:作・絵 イサンクム&松居 直・訳/福音館書店/1990年
天地創造が終わって、朝鮮でも人々が生き生き暮らしていた頃。
太陽と月が二つあるので、昼は畑の作物が枯れ、夜は地面が固く凍るほど寒い日がつづいていました。
天をおさめていたハンウル王の家来、黒龍巨人が、名乗り出ますが、とりのぞくことはできません。
地をおめていたタニム王は、白頭巨人に、この仕事をまかせます。
白頭巨人は千斤の重さの大弓に千斤の矢をつがえて、太陽一つ、月一つを、たちまち海に射落としてしまいます。
天をおさめていたハンウル王は、むすこのハンウン王子を地におくり、こころのきよいむすめとむすばせて、この国をおさめさせます。すっかり住みやすくなった朝鮮のひとびとは大きく豊かになっていきました。
ところがねたみぶかく、らんぼうな黒龍巨人が、ハンウル王の目を盗んで地に下り、隣の国をそそのかして、朝鮮にせめこんできました。
すっかり荒れ果てた国をすくため、タニム王は白頭巨人に国を救うよう命じます。
黒龍巨人は龍、白頭巨人は白い虎に姿を変え、戦いは百日ものあいだ続きます。
戦いに敗れた黒龍巨人は砂漠になり、長い戦いで疲れ切った白頭巨人は「わたしは、あなたがたとともにいて、いつまでも、あなたたちをまもろう。いつか、この朝鮮に、わざわいがくるときがあれば、わたしは、ふたたび おきあがって、あなたちをすくうだろう」と言い残し、静かに大地に横たわり深い眠りにつきます。
長い年月が立ち、白頭巨人は、いつか大きな山になっていました。山はいつか、白頭山と呼ばれるようになり、白頭山の歌が歌いつがれるようになっていきました。
あななたちが しいたげられ うめくとき
わたしは めざめる
そのとき ふたたび みるだろう
朝鮮のよあけを
あななたちが たいこをたたき うたうとき
わたしは たちあがる
そのとき ともに うたおう
朝鮮のよあけを
あるとき、くる年もくる年も、雨が降らず日照りがつづき、飢えに襲われたとき、ひとりの賢い年寄りが白頭山の歌のことを思い出し、白頭山にむかって、雨ごいをすると・・・・・。
壮大な白頭山の迫力のある絵、竜虎あいうつ躍動感、二人の巨人の巨大さがつたわってきます。
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