どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

にげた鬼・・宮城

2023年08月19日 | 昔話(北海道・東北)

        宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年

 

 「むかしむかし、あんたみたいな、かしこいむすこと、とうちゃんと」とはじまります。目の前の子が、「かしこい」と話しかけられると、それだけで昔話の世界に入っていけそう。

 昔話は口承されてきたもので、その場に応じて 長くなったり 短くなったりするのは自然です。夜眠る前に、聞いていて そのまま眠ってしまったら、語りつづける意味はなくなります。いまのお話し会というのは、それなりの場所で、テキストどおり話すのが普通で、出典が重視されますが、個人的にはこだわりがありません。

 この話は、すぐに、鬼とむすこの知恵比べがはじまります。一つ目は「タケノコくい競争」、二つ目は、「縄ない競争」。

 さらに鬼に食われてはたいへんと、とうちゃんとむすこは、便所へ行きたいという。鬼は腰に縄をつけて便所へいかせるが、二人は、縄を便所の柱にゆわえつけてにげだします。ここから逃走がはじまりますが、二人はヨモギとショウブが一面にのびた谷地に にげこみます。ショウブのにおいがうんとつよいので、人間のにおいを消してくれたので、危機からのがれます。

 五月の節句あたりに話されたのでしょうか。タケノコの性質、縄ないについても参考になります。

 便所は、むかし閑所(かんじょ)と、よばれていたといいます。


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