お話しは土の城のテラスで/西アフリカ・トーゴの昔話集/和田正平/メディアイランド/2016年
むかし、ひとりの男が荒れ果てた土地を耕しましたが、なぜか畑の一角だけは、荒れ地のままにして残していました。男は子どもに、「わしが留守のあいだ、畑のなかに残してあるあの荒れ地は、けっして耕してはいけないよ」と、きつく言いわたしました。
ところが、男がでかけた留守に、子どもがその荒れ地を耕してしまいました。荒れ地の下には、ひとりのおばあさんが住んでいて、おばあさんは、子どもをひとのみにしてしまいました。のみこまれた子どもは、そのまま、おばあさんの尻の穴からでてきました。おばさんが、ふたたび子どもをのみこむと、子どもはまた尻の穴からでてきました。三度のみこまれ、三度尻から出てきたのです。
さて、子どもが放牧のため牛を追っていくと、あのおばあさんの家にいきあたりました。おばあさんは、たくさんのハエを焼いて食べていました。子どもが、「それが 食べものか」といってあざ笑うと、あっというまに呪いがかかり、子どもは丸い形のヒョウタンにされてしまいます。
子どもが帰ってこないので、父親がおばあさんのところへいって、「子どもをかえしてくれ」というと、おばあさんが呪いをときます。ヒョウタンは、もとの子どもの姿にもどりますが、こまったことに、手足がまったく動かなくなっていました。
タイトルそのままに、「われわれ、タンベルマのあいだでは、他人がなにを食べていようと、それを見て手をたたくことや笑うことは、タブーになっています。」という結び。
おばあさんやヒョウタンにはどんな意味があるのかなどが、もうすこしほしいところですが、まったくでてきません。