どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

リオンブルーノ・・・イタリア

2019年01月10日 | 昔話(ヨーロッパ)

      カナリア王子/イタロ・カルヴィーノ・再話 安藤美紀夫・訳/福音館文庫/2008年初版


 13歳のリオンブルーノが、海の悪魔のネミーコに、一緒にこいといわれたのは、海辺の人気のない場所。

 ひまつぶしに木切れで小さな十字架をつくっていたので、ネミーコはなかなか手出しできませんでしたが、驚かして何とか連れ去ろうとした時、空に一羽のタカがあらわれ、爪にリオンブルーノをひっかけて、空にまいあがります。

 何故ネミーコに連れさられそうになったかは13年前にさかのぼります。

 漁師の父親が、三年もの間、ほとんど魚がとれなかったとき、海の悪魔のネミーコがやってきて、この先生まれる息子をくれるなら、毎日魚が取れて、金持ちにしてやると約束したことでした。
 もう四人のこどもがいて、これから子どもが生まれることはないだろうとおもった漁師でしたが、ネミーコとの約束通り子どもが生まれ、13年がたっていたのです。

 タカにつれられて高い山に行くと、タカは美しい妖精の姿にかわり、そのままタカひめと、何の心配もない暮らしをはじめます。大きくなったら自分のおむこさんになるとタカひめからいわれていました。

 しあわせな何年かがすぎたとき、リオンブルーノは、にわかに家が恋しくなり、タカひめに、父や母に会いに行かせてくれと頼みます。

 タカひめは、年のくれまでかえってくるようにいい、願いをかなえてくれるルビーの指輪をもっていくようにいいます。だが花嫁になる人が誰か、だれにもあかさないようにねんをおします。

 立派な騎士の姿で家に帰ったリオンブルーノが親孝行し、タカひめのところに帰る途中、ある町で騎馬試合のおふれがでていました。三日間試合に勝ち続けたものには、王さまのむすめを、よめにやるというのです。

 ちょといいところを見せようと、ルビーの指輪の力で試合に勝ち続けたのはいいが、王さまから、むすめをよめにもらってもらわなばならんといわれたリオンブルーノは、「もうすでにあなたのむすめごの千倍も美しいいいなずけがございます。」と辞退します。

 王さまも王女もおもしろくないのは当然です。
 「騎士どの、あなたの自慢話を、本当だと思いたい。それでは、いいなずけとやらをみせてもらわねばならん」といわれ、ルビーの指輪でタカひめをよびだそうとしますが・・・・。

 まったく口は禍の元です。

 三度目にタカひめがあらわれます。しかし花嫁がだれか決して口外してはならないといっていたタカひめは鉄のくつを七足はきつぶすほど、探し回るまで、二度と姿をみせないと宣言し、きえてしまいます。

 ここから先もまだまだ続きます。

 ところで漁師はネミーコと約束した後、豊漁で金持ちになりますが、リオンブルーノが里帰りしたときは、両親は貧乏になっています。ネミーコが約束のものを手に入れられなかったので、もとの生活にもどったのでしょうが、このあたりのことはなにもふれられていません。

 タカひめが、なぜリオンブルーノを婿にむかえようとしたのかもでてきませんが、女性の側が主導権をもっています。


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