どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

はんぺらひよこ・・スペイン

2023年07月10日 | 昔話(ヨーロッパ)

       世界のむかしばなし/瀬田貞二・訳 太田大八・絵/のら書店/2000年

 

 目が二つ、手が二つ、足が二本と、人のからだは対称的ですが、これがすべて一つというのは想像しにくい。しかし昔話では、半分人間がでてきたりします。ここでは、足は片足、はねはかたつばさ、目は片目のひよこが主人公。

 はんぺらひよこは、ごうきのかたまりで、にいさんひよこたちより、ずっとつよく、やりたいことは、なんでもやるし、いきたいところは どこでもいくというしまつ。

 あるとき、はんぺらひよこは、「おかあさん、ぼくは王さまにあいたい。マドリッドのみやこへいってくる。」と、いいだし、おかあさんがとめるのをふりきって、ぴょこん、ぴょこん、野原をこえて、でかけていきました。

 だいぶいったところ、はんぺらひよこが、小川にさしかかると、「水草で道がつまって、ながれることができない。どうかつまっている枝や水草を、おまえさんのくちばしでおしながして、わたしをたすけてくれないか。」と、水がさらさらいいますが、「なんてことをいうんだ。無駄足をくってられないや。ぼくは王さまにあいに、みやこへのぼるところなんだ!」と、水の頼みに耳を貸さずに、ひよこは、ぴょこん、ぴょこんと、とおりすぎました。

 焚火から、「つばさで、あおいでくれないか」、風から、「からみあった枝や葉をちょっとどけてくれれば、いきがつけるんだ。」と、頼まれても、ひよこは無視して、王さまの宮殿にやってきます。

 宮殿のなかにわをとおりすぎようとすると、料理番につかまって、火にかけたなべの水のなかに、投げ入れられてしまいます。ひよこが、「水さん、水さん、おぼれさせないでよ! それいじょうのぼってこないでよ、おねがいだ」と、大声をああげますが、水は、「わたしがこまっているときに、おまえは、たすけてくれなかったね。」と、ますますのぼっていきました。そのうち水は、あたたくなって、あつくなって、ひどくあつくなってきたので、「そんなにひどくもえないでよ! 火さん」と、ひよこは大声をあげますが、火から無視されてしまいます。

 焦げてしまったひよこを、料理番は窓のそとへすてました。するとそこへ風がふいてきて、木よりもたかくまいあげました。そして、風はいちもくさんに、ひよこを、お寺のとんがりやねのてっぺんにふきつけて、そこにくぎづけにしてしまいました。

 

 どうやら風見鶏の由来らしい話ですが、調べてみるとちょっとちがうようです。


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