入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

冬の入笠牧場 (2)

2013年12月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 天気:晴れ、気温:未計測

 日の射さない灰色の冬空のせいだろう、雪をか被った中アや北アの峰々が、今日(12月9日)はいつにも増して寂しく見える。

 先週、久しぶりに東京へ行った。皆が過分なまでに歓待してくれ、紅灯の巷で高い酒も頂いた。懐かしい顔にも会えたし、美味い物も馳走になった。都立美術館では、慌ただしくターナーの作品も見ることができた。
 予定していたかつて暮らした玉川上水の流れる街へは、翌日いつものように井之頭公園内を歩いていった。古い記憶を無理して呼び出していたせいもあっただろうか、次第に疲れが出てきた。そして、もはや自分とは関わりのない、単なる記憶でしかない所を歩いているのだと思うと、急に信州へ帰りたくなってきた。その夜は人と会う約束もしていたし、ホテルも予約してあった。しかし、思い立ったらどうしても止まらなくなってしまった。入笠が恋しかった。

 今年は雪が遅く、風景は前回来たときとあまり変わらない。それでも牧草は枯れ、木々はことごとく葉を散らし、山々は眠りに入ったように見える。小さな沢や流れは氷結したままで、日中の気温はあまり上がらないことが分かる。心配していた水場は、水量こそ落ちたが、透明な水が湧き出ていて心配することはなかった。ハンターが犬でも追って入ったのか、管理棟の下の牧場ゲートは外されていたが、その先のもうひとつのゲートは施錠してあり人の入った様子はない。
 
 道々考えた。来年は遠回りしなくてもすむように、市道からキャンプ場へ直接下りる道を作ろう。初の沢の源頭には幾か所か得意の丸太橋も架けよう。鹿に食べつくされた貴婦人の丘は、一般開放も考えてみよう。牧場の管理には熱心だったが、訪れる人たちへの思いは、足りなかったかもしれない・・・。

 冬枯れの牧場の風景を眺めていると、いつにかそこから去った牛たちのことが頭に浮かんでくる。たったの4か月とは言え、短い牛たちの生涯を思えば、ここでの暮らしこそが最も幸福なときであっただろう、と。 
 
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