昨日の昼の天気予報では、夜の8時ごろから雪の予報だった。しかし、降らなかった。降らなくて結構、もういい、そう思っていたら夜間に、というより朝方になってから雨は雪に変わったようだ。午前9時過ぎ、霙はまた雨になったが、入笠はまだ雪かも知れない。そうだとすると厄介なことになる。
近隣に不幸があり、一昨日その葬儀に参列した折に眺めた入笠周辺の中級山岳は、思っていたよりもまだ雪があった。その上にさらに降雪が続くとなれば、「ど日蔭の曲がり」などと呼んでいる一番の難所は、まだこの先1か月くらい、車での通行は不可能になるだろう。4月末から始まる連休の前には除雪が行われるが、それまでの1週間ばかりは、片道1時間以上をかけて雪道を歩いていかなければならないかも知れない。
今一生懸命に思い出そうとしているのは、昨年はどうだったかということだが、恐らく車で行けたと思う。昨年は雪が少ない年だった。日誌を調べたら、2014年も車で行けた。過去10年間のうち、最初の年は5月1日が仕事始めで問題なかったが、それ以降9年間のうち車で管理棟まで行けた記憶は2回しかない。それ以外に、間伐のため業者が除雪してくれた年があったかも知れないが、記録はそれだけだ。
3,4年前までは、牧場に残置しておいた軽トラックが動いたため、初日の帰りはそれで可能な所まで来て、後は通行できない林道は歩く、というようにしたからそれ以降は大分楽にはなった。しかしもう、牧場の軽トラックは使い物にならなくなってしまって久しい。
ただしこういう日々が、必ずしもいやだということはない。弁当と用心のための雨具、羽毛服を入れたザックを背負い、雪で埋まった林道を登っていく。落葉松の林に混ざった杉や、モミの木には雪が付いていたりして、そのせいか幾分暗く、ひんやりとした山の静けさが何ともいい。周囲の森の雰囲気はまだ冬のままだが、それでも新鮮で、溌剌とした新しい季節の予兆を感じてしまう。鳥の声がしたり、雪の中からせせらぎの音が聞こえてくることもある。誰もいない山の中にひとりで入っていけるということが、子供じみた冒険心にも似た懐かしい喜びでもある。
Kへ、大丈夫、11年前のこの日のことは覚えている。元気でやっているか。