猫に小判とは、貴重なものを与えても、本人にはその値うちがわからないことのたとえ。
うちではよく、にゃんに「にゃんちゃん、たまには小判を運んできてよ」
などと言っていた。
にゃんは野良猫だった。
バス通りを横断して、魚屋さんから餌をもらい
向かいの薬局の化粧の濃いおばちゃまにもかわいがられていた。
うちにも出入りしていた猫だったが、あるとき震えていた。
熱があるようだった。
20代だった私たちは隣の若夫婦と折半で手術費用をだし、
その後まもなく鎌倉に引っ越すことになり我が家でにゃんを引き取った。
にゃんは、とても利口な猫だった。
ドアは、取っ手にぶる下がって開けれたし、
引き出しもつまみを両足ではさんで開けた。
要求はにゃーと鳴くのではなく、
テーブルの上のものを落としたり
えさ箱をひっくりかえしたり音を立てての行動だった。
とにかく面白い猫だった。
22年も一緒にいると何もかも当たり前になっていた。
死なれて初めて気付いた。
にゃんは、しあわせという小判をとっくに運んでいたのだ。
それまで気付かなかった私にはまさに猫に小判だった。
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