キツツキのドラミング

思い付くまま, 気が付くまま・・

”猫は鼠を捕るのを忘れ、保線区員は線路の補修を忘れる”

2013-09-24 09:37:58 | Weblog

<春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れ正体なくなる。・・・>これは漱石の『草枕』の一節だ。<年中眠くなる。保線区員は線路の管理、補修を忘れ、部長を始め管理者がデーターチェックをする事さえ忘れる。時には自分の業務さえ忘れて正体なくなる。>これがJR北海道の実態だ。JR北海道は年中がら年中、”春のうららの隅田川・・”や”春風駘蕩”のようだ。乗客の生命、貨物の安全運送という重大業務を社長以下が忘れている。函館線で起きた貨物列車の脱線事故後に進めた調査で、レールの幅や高低差が基準を超えていたケース、レールが波打ってゆがんでいたのにも関わらず補修せず、放置していた線路の不具合が新たに88ヵ所で確認された。内49ヵ所は、乗客の乗せた客車が走行する本線で見付かったと22日発表した。21日に判明した分を含めると合計97ヵ所だというから驚く。「本線は点検用の特殊車両でレールの状態をチェックしているので、放置はないと思い込んでいた」と野島誠社長。部下を信頼するのはに結構だが、チェックするのと、補修する事は別だろう。ノンキなものだ。社長以下、この大弛み企業が大事故を起こさなかったのが不思議な位だ。一昨年2011年の石勝線トンネル内特急脱線炎上事故では乗客・乗員79人が負傷したが、原因は線路にあった可能性がある。今回の保線放置問題に対して、当事者は「補修担当者が基準値越えを把握していたが、失念した」「本線を優先し、副本線は後回しにした」まァ理由にならぬ理由を恥ずかしくもなく回答している。一事が万事ではないかと国交省鉄道局は他の部門の特別保安監査を行うようだ。菅官房長官も記者会見で「事故が頻繁で、異常が判って対処しないのは極めて悪質性がある。組織、体質的な問題もあるのではないか」と厳しく批判した。また国交省鉄道局長と国交審議官を首相官邸に呼び、特別保安監査を徹底するよう指示したという。今回の貨物列車の脱線事故で手抜きが発覚したのは不幸中の幸いだった。これが関東、関西、中部の大都会を走行する頻度の激しい鉄道だったらと考えれば恐ろしい。もっともJR西日本は福知山線で2005年4月犠牲者は死者107名、負傷者562名の大事故を起こしている。時速300キロ近い速度で頻繁に走る新幹線が開業以来無事故営業している。JR北海道は真面目に勤めている全国鉄道マンの面汚しだ。この際、徹底的に会社内の暗部を剔抉すべきだろう。北海道で列車旅行する際、乗る前に『水盃』では洒落にならない。写真はモンキアゲハ