一寸長いが産経新聞「新聞に渇!」ノンフィクション作家門田隆将氏の一文を引用する。”加藤達也・産経新聞ソウル支局長が朴槿恵大統領への名誉毀損裁判で「無罪判決」を勝ちとった一件以来、日韓関係にさまざまな動きが生じてきた。だが、私は今もこの判決報道に強い違和感を覚えている。毎日社説が、(事実確認を怠り風評を安易に書いたことは批判されても仕方がない。「うわさ」と断りさえすれば何を書いてもいいわけでではない)と書けば、読売社説も、(前支局長が風評を安易に記事にした点は批判を免れない)と書いた。また、朝日は夕刊「素粒子」で、(胸を張れない結末。うわさを書いた記者も、起訴した検察も、動かない大統領も、煮え切らない判決の裁判所も)と記述した。いずれも「韓国も悪いが、加藤記者も悪かった」という論調だ。だが、本当にそうだろうか。私は、これらの記事は「あのコラムを読んだ上で書いているのだろうかと思ったのだ。当の加藤氏のコラムは、インターネット上に掲載されたものだけに、特派員が伝える日々のストレートニュースとは異なる興味深いものだった。朴大統領は部下から直接、「面と向かって」報告を受けるのではなく、「書面」で受けることが多いのだそうだ。その日頃の執務ぶりが問題になり、秘書室長が国会で「一体、大統領はどこにいるのか」と追及の矢面に立たされた事実から、加藤氏はコラムを書き出している。・・・中略、しかも朝鮮日報のコラムの中身に対して(真偽不明のウワサ)と断った上で紹介していた。・・・他の特派員と比較しても加藤氏のコラムは出色だった。私が一連の他紙の報道に疑問を感じたのは、ほかにも理由がある。自らの力量不足を棚に上げて他紙を批判する”いつもの傾向”とともに、(自らの主張のために、他者の言説を歪曲ないし貶める傾向)を感じたからだ。・・・せめて検証相手のコラムぐらいきちんと読み、「歪曲」も、「貶め」もなく、読者に正確な論評を提示してほしかったと、私は思う”門田氏はずばり各紙の上滑りの論調を突いている。報道元の「朝鮮日報」はお咎めなしを糺すのでもなく、それを引用した産経加藤記者のみを起訴した検察と加藤記者ともに悪いとおきまりの喧嘩両成敗、他人事扱いだ、明日は我が身という危険性はないからだ。常日頃、媚中国、媚韓国、媚北朝鮮の紙面作りせっせと精を出して『幇間振り』を遺憾なく発揮しているので、その心配は微塵もない。中国政府のウイグル政策に批判的な記事を執筆した北京在住の仏誌女性記者ウイスラ・ゴーティエ氏が、年末の査証更新に必要な記者証の発給を中国外務省に拒否され、事実上の国外となり31日帰国すると本人が25日AFP通信に明らかにした。同記者は11月に発表した記事で、ウイグル族と中国当局が衝突する背景には政府の少数民族政策があり、パリ同時テロとは性質が異なると主張した。中国国有メディアが強く非難、外務省報道官も名指しで批判、同記者に対して、公に謝罪しない限り、記者証を更新しないと通告されたという。彼女の爪の垢を煎じて飲ませたい手合いが一杯だ。外国人記者の追放は2012年以来、初となる。翻って朝日、毎日など、”御身ご大切、長い物には巻かれよ”が社是で、提灯持ち記事を書いてご機嫌伺いの、タイコモチ腰抜け新聞には、その心配は皆無だろう。写真は箱根長安寺の五百羅漢。