白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

能楽と能面-09

2011-11-09 | 日本の伝統芸能

日本の伝統芸術と芸能 

 

能楽と能面 

その9> 

 

 

                   節木増 (天下一 友閑)]

*<その前に一言

 この度、私が現在住んでおります、奄美群島加計呂麻島は歴史的な集中豪雨に遭いまして、土砂崩れ、落石、崖崩れ、床上・床下浸水を至る所で発生し、山が急峻であるため、道路が途中で途絶し、場所によっては陸の孤島以上の状態になっております。それゆえ、今のところ小さな災害の有った場所は、自主的な災害復旧しかなく、ブログが遅れ遅れになっております。

さらに、以前から約束が有った<三毛猫>の貰い受けも重なり、ますます混迷に拍車を掛けた次第です。

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能面(のうおもて)」と言って、ほぼ一般成人であれば通ずる用語と思いきや、そうは問屋が卸さないこともあります。 ある老人に能面と言ったのですが、麺類と勘違いされ<わたしゃ、麺はあまり好かんのじゃ>と真顔で言われ、こちらが一時困惑。

いや、能楽で使う能面です>と言ったところ、ますます混線。とうとう話題を変えたと言う次第。冗談の様なほんとの話。

先回は女性面打ち師の打たれた能面について書いて見ました。今回は現代の「河内」と呼ばれた、故 長沢氏春氏の能面について述べてみたいと思います。

                <増女

 

 nagasawa ujiharu と言えば、能楽関係者、面打ち師、能に興味のある方であれば、よくご存知の無形文化財保持者の昭和、平成間の超一流能面師ですね。 上の面は<増女>です。 この方の彩色の技量は抜群で、現代の数多くの能面師の中で、この方の右に出る方はいないでしょう。

抜けるような、透き通るような面の彩色は超一流であると断言できます。昭和末期でしたでしょうか、東京駅地下の松坂屋で一門の能面展が開催されましたが、面の値段が弟子の最高で¥70万円に対して、この方のは¥250万円でした。面の値段で評価はしてはいけないのでしょうが、それだけの技量の差が出たと言う事です。

それでは。すこしUPしてみましょうか。

 

右側面

 

 画面を大きくしますと、よく理解が行くと思います。透通るような面肌ですね。彫刻技術も抜群で、仏像も良く彫られたようですが、一目見てその技の尋常ならざることがわかります。

 この方は能楽関係者から能面を借りて、面を打つようなことをされず、自費で日本全国に散らばる古能面を蒐集し、それを手本として面を打たれた方です。能面の彩色の一部分を削って、使用した顔料を特定したりするという、能面を借りて打つような方には到底出来ないような、努力と身銭を切るという先行投資をなさった方です。

<<余談ですが、この方の尊敬する能面師は江戸期に大活躍した天下一 河内でした。そして、平成15年4月20日に逝去。享年91歳。不思議な事に河内の明暦3年4月20日と命日が重なります。河内の生まれ変わりではなかったんでしょうか????>>

長澤 氏春師も語っておられましたが、型紙を使わず書き立て彫りで、面を打つことを諌めておりました。 「面の打ち方を一面覚えるのに10年掛かる。<小面><若女><増女><万媚>の4面で40年掛かる」・・・簡単じゃおまへんで・・・と言う事でしょうか。この方にしてこの通りなのですから、天才は別として、一般の方は当て型を使われるべきなのです。このように思います。

小面・ 河内家重 

 上の小面は河内の<小面>です。河内は「河内大ジョウ家重」といい、17世紀に活躍した天下一を号する天才能面師です。数々ある女面の素晴らしい打ち手として

1-石川龍右衛門重政・・・15世紀頃 ・・秀吉愛用の雪・月・花の小面の作者。

2-増阿弥久次・・・・・・・・・15世紀頃・・・<増女>の創作。世阿弥も一目置いた田楽法師で、晩年になって面を打ったとされております。

3-金剛右京久次・・・・・・・16世紀頃・・・<孫次郎>で特に有名

4-大宮大和真盛・・・・・・・17世紀・・・・・<逆髪>は絶品。河内の弟子。

が上げられますでしょう。この他にもたくさん居りますが、まずはこの程度にしてご紹介します。       

・・河内の<若女>の写真が現在の忙しさの中で、資料の中からなかなか見つかりません。その内にご紹介します。小面を見ても打ち手の技量が解ると思います。次回、長澤 氏春師の<若女>をお見せします・・・

河内は<河内彩色>といわれる賦彩法を案出し、能面の彩色で抜群の能力を発した方とされております。弟子の大宮大和も素晴らしい女面の打ち手で、彩色が柔らかく特に能楽<逆髪(さかがみ>の面は抜群の作です。(次回以降にご紹介します)

11/02の豪雨の後に、瀬相という港の方から、三毛猫(奄美ちゃん)を鼠番の代わりにと貰い受けましたが、能力抜群で声も甲高く、大きく、お転婆で、昼は部屋の好みの別荘のどこかで充分寝て、良く食べ、良く遊び、夜中はなかなか眠らしてくれません。 最近寝不足と過労気味。

本日はこれにて失礼致します。次回をどうぞ。 

     奄美ちゃんの離島日記 (新規公開しました

        http://ritounikki.amamin.jp/

2代目奄美ちゃんは近々登場します。

 

 



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