日本の伝統芸術と芸能
能楽と能面
<その15>
毎日毎日このところ雨が降り続いております。北海道の道央では記録的な大雪とか。最近記録的豪雨とか、豪雪とかいう言葉をしばしば聴く機会が多くなってきました。地球的規模で自然が大きく変って来ているのでしょう。
昨年11月の奄美の記録的豪雨の後遺症は、未だ解決しておりません。各地の幹線道路も、町道も、林道も崖崩れの箇所が多く残っており、不通の箇所もいたるところに有ります。今年の梅雨までに復旧するかどうか、不安な毎日です。
さて、このブログでは今まで能面の内<女面>ばかりを掲載してまいりましたが、本日からはそれ以外の能面も随時掲載してまいります。
ご存知の通り「能」という伝統芸能は<神・男・女・狂・鬼>の5種類の系統の能面を使いこなしてまいりますが、その中でも女面は鬘能(三番目)という、いわばメインイベントで用いられる事で、どうしても能面と言えば小面、若女、増女・・ということになるわけです。
因みに、脇能(初番目)、修羅能(二番目)、鬘能(三番目)、雑能(四番目)、切能(五番目)と、江戸時代以降はこのように定型化されたようです。
序に申し上げますと、現在は「観世流、金春流、宝生流、金剛流」と金春流から出てきた「喜多流」の5流となっております。この外に白洲正子様の夫である、白洲次郎氏の先祖が使えた三田藩に近い、丹波系の「梅若流」があります。(余談ですが、白洲正子様は4歳の頃から能に親しんだそうですが、その流派は記憶に間違いが無ければ、梅若流でありました。人の縁というものは実に不思議なものでも有ります)
黒式尉(コクシキジョウ)
本日は脇能(初番目)の翁面をご紹介します。皆さんも良くご存知の翁面で別名「三番ソウ(ソウは艘から舟を取る)」と書いてサンバソウとも呼ばれます。あるいは「三番三」と書いて<サンバソウ>とも呼びます・・ヤヤコシイデスネ。
黒式尉(コクシキジョウ)
本当は「狂言」に付いても、併せてお話しなければならないのですが、ますますヤヤコシクナルノデ今回は、「狂言」は話の中に入れておりません。
この2つの黒式尉の面をご覧になって、何か気付かれませんでしたか。顎のところに切り口が見え隠れしております。これは「切り顎」と申しまして、顎は顔に紐で結んであるのです。この系統の面ととしては「白式尉」が有ります。
能面の中では非常に特殊な面で有る事が分かります。能面の製作の段階では途中までは一体で製作していきます。
またしても恥ずかしながらの、へっぽこ能面が出てまいりましたが、これは黒式尉の製作途中のものです。面の皺の部分が書きたて彫りのようになっており、顎が顔から切り離されておりません。眼もとの色の濃い部分は私の彫り間違いの修正跡です。木糞(コクソ)というものを木に貼り付けて、彫りなおした跡が見えております・・・冷水山斗の思い・・・・皺や眼を切って作業は次に進行してまいります。
これは上記の面の面裏です。可なり肉厚になっておりますが、これから面裏の製作に入るわけです。今までご紹介してきました女面と比べると、可なり趣も、容も違うことがお分かりいただけたと思います。凹凸も女面に比較して大きく、結構ざっくり製作されては居りますが、品格という難問が控えております。
白式尉は次回ご紹介しますが、なかなか品格のある面は実のところ多くはありません。簡単そうで実は結構難しい面です。女面などは凹凸が少ないので、割かし簡単と思われそうですが、非常に難しい面で、少しのミスも許されません。表情ががらりと変ってしまいます。
年寄りを面に表した能面として「尉(ジョウ)面」が有りますが、後日にご紹介致しましょう。実のところ瘋癲老人としては、いまさら爺の面なぞ打ちたくないのです。若いときから好きでは有りませんでした。打つのなら、観るのなら、若い美しい娘の面に限ります・・・・当然ですよ!!
まあその様な訳で、本日はお開きと致します。次回からは有名な能面集の中の掲載能面も併せてご紹介致します。
加計呂麻島在住 瘋癲老人
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