ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

秀山祭

2006年09月23日 | Pentax K-mount

さてお楽しみの「秀山祭九月大歌舞伎」、今日は夜の部。簡単に感想。
「籠釣瓶」が期待どおり。吉右衛門申し分なし。ま、当然か。今回は福助にことのほか感心した。この人の八つ橋は児太郎時代に大抜擢されての初役の時から見ているが、今や本当に立派になったものだ。良い意味で、達者な技巧が身に付いた。人物の心理をじつに明確に表す。上手くてわかりやすいのは良いことだ、歌舞伎ファンを増やすためにも。これで将来、歌右衛門雀右衛門クラスのような風姿や味が備わっていったらと思うとたいへん楽しみである。幸四郎が立花屋長兵衛で付き合い(話題の兄弟共演)、梅玉、歌昇、東蔵、芝雀、鐵之助、歌江等々周囲も揃って大歌舞伎となった。
「菊畑」は幸四郎の智恵内が初役のせいか神妙に手堅くやっていたが、べつにこの役は幸四郎で見なくともという感も。「菊畑」って、本当に役者が揃って、十全に演じられないとすぐ隙間風が吹いてしまう難物な狂言だと思う。今回も全体的に淡泊で物足りず。初役の染五郎(虎蔵)も何度か手がけている左團次(鬼一)も、今後再演を重ねて良くなっていくことに期待。
「鬼揃紅葉狩」。染五郎、信二郎、それに萬屋・明石屋・成駒屋系の子役達ぞろぞろ出てきて、若さが魅力の、しかししっかり演し物になっていて、歌舞伎の未来に希望が。

今月は昼夜通して久々に古典歌舞伎、大歌舞伎の味を堪能した。
吉右衛門は本当に良い仕事をした。自身の進境を顕したのみならず、歌舞伎界全体にとっても大いなる成果となったと思う。良き狂言を良き配役にて客の期待に応え、若手の育成にも力を貸す。
どうか今回限りに終わりませんように。切に願う。


camera: Pentax MZ-M + M50mmF1.7  film: Fuji SUPERIA Venus400