ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

Orchestral Opera VII

2008年09月23日 | NATURA

飯守泰次郎&東京シティ・フィルの名物企画、「オーケストラル・オペラ」。
東京文化会館での「指環4部作」「ローエングリン」、日生劇場での「パルジファル」・・・と2005年までは毎年連続上演だったが、その後は休止状態が続いていた。
が、今年ついに再開!
万難を排してでも聴きに行かねばならぬ。

シリーズ第7弾、究極の傑作「トリスタンとイゾルデ」。
会場は、ティアラこうとう。客席1200名程の、ワーグナーの楽劇をやるにはかなり小ぶりのホールだが、小さいことの良さもあろう。2階後方の席だったが、どの歌手の声もよく届いてきた。
オケも、弦12型程度の編成だが、これで十分。密度ある、美しくブレンドされた響きを味わえた。

それにしても、毎度のことながら、飯守氏の振るワーグナーの素晴らしさをどう表現すればいいのか。とにかく自在、雄弁。オケの反応も回を重ねるごとに俊敏に、的確になってきた感じ。オケ部分に関しては、前回の「パルジファル」と並ぶ、或いはそれ以上の完成度だったと思う。

歌手については、成田勝美&緑川まりの主役二人はこのシリーズのお馴染みコンビで、相変わらずの熱唱と健闘っぷりに心打たれる場面もあるけど、しかし問題点の多いことも相変わらず。特に今回の緑川さんはどうしちゃったのだろう、高音部が苦しい。いや「苦しい」なんてものではなく、最高音が全く「出ない」。ちょっと心配。
脇役陣の島村武男(クルヴェナール)、福原寿美枝(ブランゲーネ)、小鉄和広(マルケ王)らは安定感あり、上出来。

演出・演技については、もともと指揮者とオケの姿を見ものにした「オーケストラル・オペラ」なるセミ・ステージ形式でもあるし(低予算だし・・・)、なんだかとってつけたような映像を映し出しているなぁ程度にしか気に留めていなかった(笑)。私の場合、「トリスタンとイゾルデ」となると、とにかく「音」に集中してしまうので。だから仮に、真っ暗闇の中で上演される「トリスタンとイゾルデ」があったとしても演奏さえ良ければたぶん満足してしまうでしょう、自分は。

このシリーズ、とにかくあと3作、「オランダ人」「タンホイザー」「マイスタージンガー」は何年がかりになってもいいから完遂して欲しい。切望します。


camera: Fuji NATURA BLACK F1.9  film: Agfa OPTIMA PRESTIGE400