ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

Mr.Sの仕事

2008年09月16日 | Pentax K-mount

読売日響の演奏会へ。東京芸術劇場。
指揮はおなじみ、Mr.Sこと、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ氏。
とても85歳には見えない、相変わらず驚異の元気っぷり。ピシッと立って、くるくるとよく動く。今の私なんかよりもずっと体力あるでしょう(笑)。

<曲目>
シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」Op.30

スクロヴァチェフスキのシューマンといえば、N響とのCD、読響との実演で聴いた4番の名演が印象深く、よって今回の2番にも期待大。
整然と、滑らかに、力みなく、颯爽と走り抜けるようなシューマンだった。が、その中身は、細かい音まで意味ありげにしっかり表情づけがなされていて、第3楽章の歌の美しさも十全で、この指揮者の熟達の腕前を実感できるものであった。

後半の「ツァラトゥストラ」は、正直さほど好きな曲でもないし、6年前に同じ指揮者とオケで聴いた時の印象も特に良いものではなかったのだが、しかし、今回は、会心の出来となった!
まずはオーディオ的に所謂“優秀録音”のCDを聞くかのごとき、クリアで美しく、バランスよいサウンドに惚れ惚れ。で、なんとも語り口の巧い、すべてにわたって考え抜かれた表現。この曲がこんなにも聞き手の心を打つ瞬間の連続だったとは、初めての体験。これぞプロ中のプロによる、充実した仕事だ。

比類ない境地に達したスクロヴァ爺さんには今後も末永く活躍してほしいところであるが、読響「常任指揮者」としての任期は一応2010年3月にて満了。その後任がシルヴァン・カンブルラン氏になると発表があった。
これはこれで楽しみな人事である。


camera: Pentax K1000 + A50mmF1.4  film: Fuji SUPER100