ALS薬の目標と見られる酵素の構造
Structure of enzyme seen as target for ALS drugs
アメリカ・サンアントニオのテキサス大学健康科学センター医学部のP.ジョン・ハート博士は、Dbr1酵素の高解像度構造を初めて決定した。
Dbr1はRNAの『ラリアット・イントロン』と呼ばれる投げ縄ループを切断する唯一の酵素として知られる。
Dbr1活性が高いとき、この『投げ縄』はごく少数しか細胞中に残らない。
「このことはALSと関連する。なぜなら、全てのALS症例の50パーセント~80パーセントでTDP-43という別のタンパク質が凝集して、モーター・ニューロンでかたまりを形成するからである」、生化学の教授でテキサス大学健康科学センター・サンアントニオでX線結晶学コア研究所のディレクターのP.ジョン・ハート博士は言う。
「Dbr1活性の減少は投げ縄の一部を残存させる。TDP-43がこれらの投げ縄と結合すると、モーター・ニューロンでのかたまりの形成が阻害される。」
ALSはモーター・ニューロンの死が特徴であり、それは進行性の麻痺に帰着する。
学術誌参照:
1.イントロン脱分枝酵素Dbr1による投げ縄(ラリアット)RNA認識の構造的基礎。
核酸リサーチ、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140911094721.htm
![](http://nar.oxfordjournals.org/content/early/2014/08/12/nar.gku725/F1.medium.gif)
<コメント>
Dbr1(Debranching RNA Lariats 1)を阻害することでイントロンの「ラリアット(投げ縄)」が残るようになり、ALSの原因の一つであるTDP-43を結合させて隔離(sequester)できるだろうという記事です。
TDP-43は筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)の原因の一つとされるタンパク質で、正常なRNA代謝物にも結合して阻害します。