機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

なぜ黒質のドーパミンニューロンだけが死んでいくのか

2016-09-01 06:06:44 | 
Parkinson's: How toxic proteins stress nerve cells

October 14, 2014

https://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141014083836.htm

パーキンソン病は神経変性疾患としては二番目に多い病気であり、ドイツだけでもほぼ50万人がパーキンソン病にかかっている
この疾患の主な病巣focusは中脳の特定の領域、つまり黒質substantia nigraであり、ドーパミンを作る神経細胞の変性が進行するprogressive degeneration

疾患の原因は折りたたみに失敗したタンパク質misfolded proteinsだが、なぜそのような損傷が特定の神経細胞に限定されるのかは最近になるまで明らかではなかった
フランクフルト市(ドイツ)の神経生理学者neurophysiologistたち率いる研究チームは、この選択的な疾患プロセスがどのようにして始まるのかをパーキンソン病のマウスモデルを使って突き止めた


パーキンソン病患者の運動障害の主な原因は、黒質substantia nigraの特定のタイプの神経細胞、ドーパミン作動性ニューロンdopaminergeic neuronsが徐々に死んでいくことである
ドーパミンの欠乏はL-dopa(エルドーパ。ドーパの左旋型)やドーパミンアゴニストの投与によってある一定の期間だけ補うことは可能だが、この治療によって進行するニューロンの細胞死が止まることはない


過去20年間で研究者たちは、α-シヌクレインタンパク質の有害な凝集aggregatesやその遺伝子の突然変異mutationsが神経変性で必須の役割を演じることを明らかにしてきた
なぜこのプロセスで黒質のドーパミン作動性ニューロンのような特定の神経細胞だけが影響を受ける一方で、すぐ近くimmediate vicinityで同じ変異体のα-シヌクレインを発現するドーパミン作動性ニューロンはほとんどダメージを受けずに生き残るのかは最近になるまで不明だった

ゲーテ大学神経生理学研究所のMahalakshmi Subramaniam博士とJochen Roeper教授が率いる研究グループは、フランクフルトの実験生理学グループ/Experimental Neurology Groupとフライブルク大学と協力の下、影響を受けやすい/感受性のあるsensitive黒質のドーパミン作動性ニューロンが有害なタンパク質に対してどのようにして機能的に応答するのかを遺伝学的なマウスモデルで初めて実証した
このマウスモデルは、ヒトにパーキンソン病を引き起こすα-シヌクレイン遺伝子の突然変異(A53T)を発現する


Journal of Neuroscience誌での彼らの報告によると、感受性のある黒質ドーパミン作動性ニューロンは、影響を受けた中脳領域では有害なタンパク質の蓄積に対して『電気活動electric activity』を著しく増加させることによって応答していた
対照的に、感受性の低いless sensitive近隣のドーパミン作動性ニューロンの電気活動は影響を受けていなかった

Jochen Roeper教授が次のように説明する
「このプロセスはドーパミン系に最初の欠陥が現れる1年も前に始まる
それはつまり、今にも起ころうとしているimpendingパーキンソン病を臨床前に検出するための機能的なバイオマーカーとして将来利用可能になるかもしれない潜在性potentialを持っている
リスクの高い人たちで臨床前から早くに検出できるという潜在性は、神経保護的な治療の開発にとって必須である」


フランクフルトのグループは調節性のタンパク質、つまりイオンチャネルも突き止めており、このイオンチャネルが電気活動を増加させ、酸化的なダメージに応じて神経細胞に関連ストレスassociated stress(訳注: 電気活動と関連するストレスのことか)を引き起こすことを明らかにした

このチャネルの発見は、ドーパミン作動性ニューロンを保護するための直接的な標的タンパク質を新たにもたらす
脳スライスの実験では、ドーパミンニューロンの『電気的なブレーキelectric brake』として働くこのイオンチャネルの機能不全は、ただ単に酸化還元の緩衝剤redox buffersを加えることによって回復可能reversibleだった

このチャネルの酸化還元への感受性redox sensitivityを治療的な薬剤によって低下させることができれば、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンdopaminergic neuronsの細胞死は防げるかもしれない
それは将来のマウスモデルでの課題である


現在彼らは同様のプロセスが他の『パーキンソン病遺伝子』や加齢そのものでも起きるのかどうかを研究中しているところである
「長期の目標としては、これらのマウスの結果がどの程度までヒトに当てはまるのかを調べることである」


http://dx.doi.org/10.1523/JNEUROSCI.5069-13.2014
Mutant α-Synuclein Enhances Firing Frequencies in Dopamine Substantia Nigra Neurons by Oxidative Impairment of A-Type Potassium Channels.
変異体α-シヌクレインはAタイプカリウムチャネルを酸化的に損なうことによって黒質ドーパミンニューロンの発火頻度を促進する


Abstract
パーキンソン病(PD)はα-シヌクレイノパチーであり、高度に脆弱な黒質(SN)ドーパミンニューロンが選択的に喪失していく疾患である
α-シヌクレイン遺伝子の変異(例えばA53T)はPDを引き起こすのに十分だが、それが黒質ドーパミンニューロンに対して選択的に作用するメカニズムは不明である

我々は変異体α-シヌクレインを過剰発現するマウスモデル(A53T-SNCA)を使い、中脳ドーパミンニューロンにおける黒質に選択的な発火頻度の増大をin vivoで明らかにした
これは腹側被蓋野/ventral tegmental area (VTA) のドーパミンニューロンでは観察されなかった

A53T-SCNAを過剰発現する黒質ドーパミンニューロンの選択的かつ加齢依存的な機能獲得の表現型gain-of-function phenotypeは、Aタイプ Kv4.3カリウムチャネルの酸化還元redox依存的な損傷によって引き起こされる『ペースメーカー頻度の内因的な増加/increase of their intrinsic pacemaker frequency』によって部分的には仲介されていた

この黒質ドーパミンニューロン選択的な『ストレス性のペースメーキング/stressful pacemaking』のin vivoでの促進は 変異体α-シヌクレインに対する機能的な応答を規定するdefineものであり、
『リスクの高いドーパミン系/DA system at risk』をパーキンソン病の神経変性が始まる前に発見するための新たなバイオマーカーとして有用な可能性がある



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/800fdf13417f9b0a80859ee62a0f6f31
パーキンソン病の異常行動を示し始めた年老いたMitoParkマウスでは、ドーパミンニューロンで電気活動を増加させる遺伝子発現が高まった
このマウスではインパルス活性と関連するイオンチャネルのサブユニット(Cav1.2, Cav1.3, HCN1, Nav1.2, NavB3)の発現が上方調節される



関連サイト
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15817478
ドーパミンが自己酸化して形成されるドーパミノクロームはα-シヌクレインの125-129残基(YEMPS配列)との相互作用により立体構造を変化させて微小繊維化を可逆的に阻害し、球状のオリゴマーを形成する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/00f9bdacc5fee082eb60dda6170341fb
α-シヌクレインのオリゴマーやドーパミンで修飾された形態は高い親和性でミトコンドリアのTOM20に結合してタンパク質のインポートを損ない、ミトコンドリアの老化、呼吸の低下、活性酸素種(ROS)の増加を示す



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/d60d62606eaf926aade6a5e38f2dc3b8
なぜレボドパでジスキネジアが起きるようになるのか
 

最新の画像もっと見る