Researchers disguise drugs as platelets to target cancer
September 29, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150929112038.htm
(左: 血小板の膜で覆われたナノジェル送達システムの図解。TRAILは膜の表面に結合し、ドキソルビシン/Doxはナノジェル・コアに詰め込まれている
右: 透過電子顕微鏡での画像。黒い色が合成したナノジェル・コア、外側の殻が血小板の膜)
ノースカロライナ州立大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者は、患者自身の血小板で作られた膜で抗癌剤を覆う技術を初めて開発した
この技術により抗癌剤は体内で長く持続して、原発腫瘍と転移を引き起こす循環腫瘍細胞を両方とも攻撃することが可能になる
動物実験での試験は成功した
「血小板による膜を使うことには二つの利点がある」
責任著者/corresponding authorのZhen Guは言う
「まず、癌細胞の表面は血小板と親和性が高く、お互いにくっつき合う
さらに、血小板は患者自身に由来するものなので、異物として認識されない
よって血中に長く留まることができる」
筆頭著者のQuanyin Huが次のように付け加える
「これらの特徴の組み合わせにより、この薬は原発腫瘍を叩くだけでなく、血中を循環する腫瘍細胞を発見して接着する可能性が高くなる
これは新たな腫瘍が始まる前に叩くためには極めて重要である」
過程はこのように進む
患者から血液を採取して、血小板を集める
分離した血小板を処理して血小板の膜だけを抽出し、ナノスケール・ジェルの入った溶液の中に置く
ジェルの中には癌細胞の核を攻撃するドキソルビシンdoxorubicinが含まれている
次に溶液を圧縮してジェルを血小板膜を通して押しこみforce、血小板の膜を持ちドキソルビシン-ジェルをコアとするナノスケールの球体sphereを作成する
さらに、この球体spheresを表面がTRAILで覆われるように処理する
TRAILは癌細胞の細胞膜を攻撃するのに最も効果的である
患者の血液に入ると、この『偽』血小板は最大30時間まで循環することができる(コーティングがなければ約6時間)
この偽血小板が腫瘍と接触すると、三つのことがほとんど同時に起きるmore or less at the same time
第一に、血小板膜上のP-セレクチンというタンパク質が癌細胞のCD44タンパク質と結合して噛み合うlock into place
二つ目に、TRAILが癌細胞の細胞膜を攻撃する
三つ目は、ナノスケールの偽血小板が効果的に癌細胞によって取り込まれる
癌細胞内部の酸性の環境は偽血小板を分解し始めて、解放されたドキソルビシンは癌細胞の核を攻撃する
マウスを使った研究では、血小板膜を使わない抗癌剤とナノジェル送達システムよりも大きな腫瘍と循環癌細胞に対して著しく効果的だった
http://dx.doi.org/10.1002/adma.201503323
Anticancer Platelet-Mimicking Nanovehicles.
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4f20bd77cdb78a5f1a50f91f611ebcbc
ナノパーティクルを使った新しい抗癌剤は、癌患者の全生存率をあまり改善しなかった。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校の科学者は、この失敗は薬や腫瘍とはあまり関係がなく、むしろ腫瘍の周囲の環境と関係があるかもしれないと考えている。
September 29, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150929112038.htm
(左: 血小板の膜で覆われたナノジェル送達システムの図解。TRAILは膜の表面に結合し、ドキソルビシン/Doxはナノジェル・コアに詰め込まれている
右: 透過電子顕微鏡での画像。黒い色が合成したナノジェル・コア、外側の殻が血小板の膜)
ノースカロライナ州立大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者は、患者自身の血小板で作られた膜で抗癌剤を覆う技術を初めて開発した
この技術により抗癌剤は体内で長く持続して、原発腫瘍と転移を引き起こす循環腫瘍細胞を両方とも攻撃することが可能になる
動物実験での試験は成功した
「血小板による膜を使うことには二つの利点がある」
責任著者/corresponding authorのZhen Guは言う
「まず、癌細胞の表面は血小板と親和性が高く、お互いにくっつき合う
さらに、血小板は患者自身に由来するものなので、異物として認識されない
よって血中に長く留まることができる」
筆頭著者のQuanyin Huが次のように付け加える
「これらの特徴の組み合わせにより、この薬は原発腫瘍を叩くだけでなく、血中を循環する腫瘍細胞を発見して接着する可能性が高くなる
これは新たな腫瘍が始まる前に叩くためには極めて重要である」
過程はこのように進む
患者から血液を採取して、血小板を集める
分離した血小板を処理して血小板の膜だけを抽出し、ナノスケール・ジェルの入った溶液の中に置く
ジェルの中には癌細胞の核を攻撃するドキソルビシンdoxorubicinが含まれている
次に溶液を圧縮してジェルを血小板膜を通して押しこみforce、血小板の膜を持ちドキソルビシン-ジェルをコアとするナノスケールの球体sphereを作成する
さらに、この球体spheresを表面がTRAILで覆われるように処理する
TRAILは癌細胞の細胞膜を攻撃するのに最も効果的である
患者の血液に入ると、この『偽』血小板は最大30時間まで循環することができる(コーティングがなければ約6時間)
この偽血小板が腫瘍と接触すると、三つのことがほとんど同時に起きるmore or less at the same time
第一に、血小板膜上のP-セレクチンというタンパク質が癌細胞のCD44タンパク質と結合して噛み合うlock into place
二つ目に、TRAILが癌細胞の細胞膜を攻撃する
三つ目は、ナノスケールの偽血小板が効果的に癌細胞によって取り込まれる
癌細胞内部の酸性の環境は偽血小板を分解し始めて、解放されたドキソルビシンは癌細胞の核を攻撃する
マウスを使った研究では、血小板膜を使わない抗癌剤とナノジェル送達システムよりも大きな腫瘍と循環癌細胞に対して著しく効果的だった
http://dx.doi.org/10.1002/adma.201503323
Anticancer Platelet-Mimicking Nanovehicles.
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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4f20bd77cdb78a5f1a50f91f611ebcbc
ナノパーティクルを使った新しい抗癌剤は、癌患者の全生存率をあまり改善しなかった。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校の科学者は、この失敗は薬や腫瘍とはあまり関係がなく、むしろ腫瘍の周囲の環境と関係があるかもしれないと考えている。