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2015年4月9日

2015-04-12 09:27:16 | 腸内細菌

微生物は腸のセロトニン産生を助ける
Microbes help produce serotonin in gut



セロトニンは脳の神経伝達物質として有名だが、体内のセロトニンの約9割が消化管で作られると推定されている。実際、この末梢のセロトニンのレベルの変化は、過敏性腸症候群や心血管疾患、骨粗しょう症のような疾患と関連づけられている。Cell誌の4月9日号で発表されたカリフォルニア工科大の新しい研究は、腸の特定の細菌が末梢のセロトニンの産生にとって重要であることを示す。

「マウスや他のモデル生物が腸の微生物の変化によって行動の変化を示すという研究はますます増えている」、生物学と生物工学の研究助教授であり、研究の首席著者でもあるElaine Hsiaoは説明する。

「我々は、微生物がどのようにして神経系と情報を交換するのかについて関心がある。
我々はまず初めに、通常の腸の微生物が宿主の神経伝達物質のレベルに影響するのかを調査した。」

末梢のセロトニンは、腸クロム親和性(enterochromaffin; EC)細胞によって消化管で作られる。さらに、特定のタイプの免疫細胞とニューロンも作ることができる。Hsiaoたちは最初に、腸の微生物がセロトニンの産生に影響を及ぼすのか、そしてもし影響するならどのタイプの細胞が関与するのかを知ろうとした。

彼らは、通常の腸内細菌を持つマウスと、常在微生物を持たない無菌マウスの末梢セロトニンレベルを測定することから始めた。その結果、無菌マウスのEC細胞は、通常の細菌コロニーをもつマウスのEC細胞よりもセロトニンの産生が約60パーセント少なかった。これらの無菌マウスに通常の腸微生物を再定着させるとセロトニンレベルは戻った。これはセロトニン産生の障害は回復できることを示す。

「EC細胞は腸のセロトニンを大量に作り出す源である。我々がこの実験で観察したのは、EC細胞のセロトニン産生は微生物に依存するらしいということだ。少なくとも、その大部分は」、論文の筆頭著者のJessica Yanoは言う。

研究者は次に、腸に住む多様な微生物の中から特定の種類がEC細胞と相互作用してセロトニンを作るのかどうかを調べた。YanoとHsiaoたちは既知の腸内微生物の組み合わせを調査し、約20種の芽胞菌(spore-forming bacteria)が存在すると無菌マウスのセロトニンレベルが上昇することを観察した。この細菌のグループを投与されたマウスは無菌マウスと比較して胃腸運動の増加を示し、血小板の活性も変化した。血小板はセロトニンを使うと凝固を促進することが知られている。

この微生物と宿主の間の興味深い協力に関与するメカニズムを明らかにすべく鍵となる分子を探した結果、彼らはいくつかの微生物の代謝産物を特定した。その代謝産物は芽胞菌によって調節され、培養EC細胞からのセロトニン産生を増加させた。さらに、無菌マウスでこれらの代謝産物を増やすとセロトニンレベルは増加した。

この分野の以前の研究は、いくつかの細菌が単独でセロトニンを作れることを示した。しかし今回の新しい研究は、体内のセロトニンの多くは特定の細菌に依存し、細菌は宿主と相互作用することでセロトニンを作らせることを示唆するとYanoは言う。

セロトニンはヒトの健康の多くの面で重要だが、Hsiaoは「これらの発見がクリニックで使えるようになるにはもっと多くの研究が必要である」と警告する。

「我々は一群の細菌を特定したが、それらはセロトニンを増加させること以外にもおそらく影響がある」と彼女は言う。

「また、末梢の過剰なセロトニンが有害らしい病態も存在する。」

本研究は腸内のセロトニンに限られたものだが、Hsiaoと彼女の研究チームは現在、このメカニズムが脳の発達にとっても重要かについて調査している。

「セロトニンは様々な生物学的プロセスに関与する重要な神経伝達物質でありホルモンである。腸の微生物がセロトニンレベルを調整するという発見は、それらを使って生物学的変化を促進するという興味深い見通しを増やす」、Hsiaoは言う。

記事出典:
上記の記事は、カリフォルニア工科大学によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.腸微生物叢の常在菌は、宿主のセロトニン生合成を調節する。

Cell、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150409143045.htm

<コメント>
腸内細菌の特定の種類がセロトニンの産生に重要という記事です。

Abstractを見ると、ヒトとマウスがもともと持っている芽胞を作る細菌(indigenous spore-forming bacteria from the mouse and human microbiota)による代謝物は、腸のクロム親和性細胞(enterochromaffin cells)のトリプトファンヒドロキシラーゼ1(Tph1)の発現を増加させて、セロトニンserotonin (5-hydroxytryptamine, 5-HT) の生合成を促進するという内容です。作られたセロトニンは粘膜、腸管、循環血小板に供給されて、胃腸管/消化管の運動性と、血小板の機能を調整するとあります。

Referenceを見ると、胆汁酸のコール酸(cholic acid)、二次胆汁酸のデオキシコール酸(deoxycholate)、腸内細菌のクロストリジウム属が関係あるようです。Referenceの一つには、Clostridium scindensによる7α-脱ヒドロキシ化(7α-dehydroxylation reaction)が胆汁酸を変化させ、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)への感染への抵抗性を促進しているというものがあります。免疫の変化なのか腸管の運動性の結果なのかは分かりませんが、これがつまりセロトニンが腸管に分泌されることによる効果ということなのでしょう。

腸内のセロトニン産生にはビタミンDが関与するという記事がありました。

自閉症の子供では早くから胃腸の問題が起きやすいという記事もあります。





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