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海綿から単離された分子は白血病に有効

2015-10-08 06:23:27 | 癌の治療法
Attacking acute myeloid leukemia

Study shows molecule isolated from sea sponges may be effective treatment against leukemia

September 28, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150928123314.htm

海綿sea spongeから単離されて後にハーバードのMatthew Shairラボで合成されたコルチスタチンAは、
強力かつ選択的に急性骨髄性白血病/acute myeloid leukemia (AML) の増殖を阻害し、
マウスの実験では副作用も見られなかった

「我々はコルチスタチンAを合成してその薬剤のような性質を最適化することにより、新たな治療法therapeuticsを開発するために研究している」
Shairは言う


コルスタチンAは、二つのほとんど似たようなキナーゼであるCDK8とCDK19を阻害することによって作用する
彼の研究はこれらのキナーゼがAMLの増殖に強く関与することを示す

二つのキナーゼは、まだほとんど理解されていない細胞核内の巨大な構造物である『介在複合体/メディエーター複合体/mediator complex』の一部として働き、転写因子と転写機構との間の橋渡しをする
これら二つのキナーゼを阻害しても転写の全ては止まらないが、特定の遺伝子にだけ効果があることが判明した

「我々がAML細胞にコルチスタチンAを投与して遺伝子発現に与える影響を調べたところ、
まず最初に驚いたことに、それは非常に少ない数の遺伝子にしか影響がなかった
我々は数千以上thousandsに影響するかもしれないと考えていたが、せいぜい数百low hundredsだった」

彼らが影響を受けた遺伝子を詳細に調べると、それは『スーパーエンハンサー』というDNA調節配列と関連があった


Shairが説明する
「人体には約220種類の細胞があり、それらは同じゲノムを持つが異なる種類の細胞になる
すべての細胞には比較的少ない数のDNA調節配列が存在し、それらはスーパーエンハンサーと呼ばれる
スーパーエンハンサーは遺伝子の高い発現のドライバであり、細胞のアイデンティティを指令して決定するdictate
そして癌の大部分はアイデンティティが喪失している状況だ
細胞はあまり分化しなくなり、ほとんど幹細胞のような状態で留まっているstuck」

いくつかの有望な癌の治療法はそのような『細胞アイデンティティ遺伝子cellular identity genes』を下方調節することにより癌細胞を攻撃するが、
Shairたちが驚いたことに、コルチスタチンAは、実際にはAML細胞においてそれら『アイデンティティ遺伝子』の活性を上昇させていることを発見した

「我々の論文以前、癌はこれらのアイデンティティ遺伝子を上昇させてramp up、細胞を過剰な増殖状態に保ち、細胞増殖に影響すると考えられていた
しかし我々の発見した分子は、それらが説明の一部one part of the storyでしかないと教える
癌はこれらのアイデンティティ遺伝子の量dosageを狭い範囲に保っていて、
低すぎれば細胞は死ぬが、
コルチスタチンA/cortistatin Aを使って高く上げすぎれば細胞は正常なアイデンティティを回復して、細胞の増殖は止まる」


Shairのラボがこの分子に興味を持ったのは数年前で、他の研究者によって単離され報告されてからすぐ後のことだった
初期の研究はこの分子が一握りのキナーゼしか阻害しないようであることを示唆していた

「我々は約400のキナーゼをテストし、それがCDK8と19だけを阻害することを発見した
コルチスタチンAのような特定の標的を正確に攻撃する化合物は、副作用の減少と効能の増大を助ける

我々は、500もあるヒトのキナーゼに共通する箇所内に結合する分子が、このように選択的であることは不可能だと考えていた
しかし、この分子はその三次元構造によってそれが可能である」

「興味深いのは、ほとんどのキナーゼ阻害剤はこの種の三次元構造を持たないということだ
自然が我々に教えるのはNature is telling us that、このレベルの特異性を得る方法はコルチスタチンAのような分子を作るということである」

「コルチスタチンAの合成は複雑で、32の化学的段階が必要である
しかし我々は、自然の化合物のように作用し、より良い薬として性質を持つ、より複雑ではない構造を発見することができている」

まだやるべき研究は多い(特にCDK8と19が遺伝子発現をどのようにして調節するのかについてのさらなる理解)
しかしこれまでの結果は劇的である


http://dx.doi.org/10.1038/nature14904
Mediator kinase inhibition further activates super-enhancer-associated genes in AML.

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature14904_F2.html
Figure 2: CA suppresses AML cell proliferation by inhibiting Mediator kinases.
a.コルチスタチンAの構造
 ジメチルアミン
 エタノ架橋/CH2CH2CH2
 イソキノリン



関連サイト
http://aasj.jp/news/watch/4169
今日紹介するハーバード大学からの論文は細胞のアイデンティティーを決定しているスーパーエンハンサーの活性調節に関わるメディエーターと呼ばれる巨大複合体形成過程を標的に白血病を治療できないか調べた研究で、Natureオンライン版に掲載された。
 

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