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肥満が癌の進行と転移を促進するメカニズム

2016-02-19 06:06:49 | 
Study finds mechanism by which obesity promotes pancreatic and breast cancer

Suppression of metastasis-promoting microenvironment by blocking signaling pathway may be particularly effective in obese patients

February 12, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160212130523.htm

マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究者は、肥満が癌の進行を促進するという性質の背後にあるまったく新しいメカニズムを発見したのかもしれない
Clinical Cancer Research誌のオンライン版で発表された報告によると、彼らは肥満と過剰な胎盤成長因子/placental growth factor(PlGF)との間の関連を発見した
腫瘍の内部にいる免疫細胞はPlGFの受容体であるVEGFR-1を発現し、PlGFが結合することにより腫瘍の進行は促進されるという
腫瘍の細胞と動物モデル、患者からの腫瘍サンプルによる今回の研究結果は、PlGF/VEGFR-1という経路を標的にすることが特に肥満の患者に有効であることを示す

「我々は肥満が『腫瘍を促進する免疫細胞』の浸潤を増大させて膵臓癌の増殖と転移を促進することを発見した」
MGHの放射線腫瘍学部でスティール腫瘍生物学研究室の一員であるDai Fukumura, MD, PhDは言う

「膵臓癌と乳癌モデルの肥満マウスでVEGFR-1シグナル伝達を阻害すると、腫瘍進行を妨げる方向へと免疫環境を入れ替えるが、
同モデルの痩せているマウスではそうではなかった
また、肥満ではPlGFも過剰に存在し、肥満マウスの腫瘍でPlGFを減少させるとVEGFR-1阻害と同様の結果をもたらす」

今回の研究では肥満が膵臓癌と乳癌に与える影響に焦点を当てたが、その理由はこれらの腫瘍であると診断される人々の半分以上が過体重か肥満だからである
肥満が膵臓癌や乳癌などの癌で死亡するリスクを増大させることが多数の大規模な研究により明らかになっているが、肥満が癌の進行を誘発するメカニズムはこれまで不明だった

MGHの研究者は肥満が腫瘍の炎症の増大と関連し、免疫抑制性の腫瘍関連マクロファージ/tumor-associated macrophage(TAM)の浸潤と関連することを初めて発見した
彼らはさらに、VEGFR-1を標的にすることは腫瘍関連マクロファージの活性に影響して免疫抑制性の腫瘍環境を変化させ、腫瘍増殖の加速を妨害しうることを肥満マウスで明らかにした
この結果は、VEGFR-1に結合するPlGFが肥満で過剰発現することを反映したものである

加えて彼らは、PlGF/VEGFR-1の相互作用を標的にすると遺伝学的に肥満になるマウスで体重の増加を防ぐことも明らかにした
しかし糖尿病のような状態は悪化し、この悪化は一般的に使われる糖尿病薬のメトフォルミンを使うことで軽減した
メトフォルミンは有益な抗癌作用も持っている


「膵臓癌と乳癌の患者は大多数が診断時に過体重か肥満であるため、
肥満と癌の予後の悪さとを関連付けるメカニズムの中に存在する潜在的な治療標的を発見することは
このような関連を断ち切り患者の予後を著しく改善するための治療開発に向けた第一歩である」
スティール研究室のディレクターで共首席著者のRakesh K. Jain, PhDは言う

「肥満がこれらの癌に与える影響の根本に新しいメカニズムが存在していたという事実は、
それが腫瘍を誘発する一般的なメカニズムであり他のタイプの癌にも応用できる可能性を示唆する」


スティール研究室に所属している筆頭著者のJoao Incio, MDは、次のように付け加える
「肥満がどのようにして膵臓癌や他の癌に影響を与えるのかを理解することにより、
例えば体重やPlGFレベルの上昇のようなバイオマーカーを発見しやすくなる可能性がある
このバイオマーカーは抗VEGFR-1の治療が最も有効な患者を明らかにできるかもしれない
加えて我々は前臨床研究のデザインに体重を組み入れるべきであり、それは抗VEGFのような新たな標的治療への応答が低いことを従来よりも適切に反映させるためである
炎症を標的とすることにより大部分の癌患者の臨床結果の改善が期待できる」


http://dx.doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-15-1839
PlGF/VEGFR-1 signaling promotes macrophage polarization and accelerated tumor progression in obesity.
PlGF/VEGFR-1シグナル伝達はマクロファージの分化を促進し、肥満における腫瘍進行を加速する


Abstract

RESULTS:
肥満は膵臓癌における肥満関連マクロファージ/tumor-associated macrophage(TAM)の浸潤を増大させ、腫瘍の増殖と転移を促進したが、血管密度には影響しなかった
VEGFR-1シグナル伝達を取り除くと肥満による腫瘍進行は妨げられ、腫瘍免疫環境を抗腫瘍性の表現型へと切り替えさせた
同様の結果が乳癌モデルでも観察された
肥満は膵臓癌/乳癌患者や様々なマウスモデルで全身のPlGF増大と関連したが、VEGF-AまたはVEGF-Bとは関連がなかった
肥満マウスで『PlGFの除去ablation』と『VEGFR-1チロシンキナーゼの削除deletion』が腫瘍に与える影響は、どちらも同様の表現型として現れたphenocopy

PlGF/VEGFR-1-チロシンキナーゼの削除deletionは高脂肪食を与えたマウスの体重増加を防いだが、高インスリン血症は悪化した
メトフォルミンの追加はインスリンレベルを正常化しただけでなく抗腫瘍免疫も強めた



関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/1056
マクロファージのM2への分化は、Jmjd3による脱メチル化に依存する場合がある


<コメント>
肥満により、炎症は増大するが、TAMにより免疫は抑制される
体重がさらに増加し、癌も進行する

 肥満→PlGF/VEGFR-1→炎症↑免疫抑制性TAM浸潤↑→癌進行↑体重増加↑→肥満↑↑
 

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