健常な女性の膀胱で見つかる細菌は、失禁を伴う女性のそれらと異なる
Loyola大学の研究者によれば、健常な女性の膀胱で見つかる細菌は、一般的な形態の失禁がある女性の細菌とは異なる。
女性の約15パーセントは切迫性尿失禁(Urgency urinary incontinence; UUI)の被害を被るが、推定40から50パーセントは従来の治療に反応を示さない。
薬物に対して反応しない理由の1つは、これらの女性に存在する細菌のためかもしれない。
American Society for Microbiologyのオンライン学術誌mBioで発表されるこれらの発見は、細菌コミュニティが女性の尿の健康で役割を果たすかもしれないことを示唆する。
「切迫性尿失禁は尿路感染症と類似の症状を伴う、一般的だがほとんど解明されていない病態である」、Alan Wolfe博士は言う。
今回の研究では、UUIの症状がある女性とない女性の合わせて90人の尿標本を評価した。
サンプルはカテーテルによって採取され、拡張定量的尿培養(expanded quantitative urine culture; EQUC)テクニックを用いて分析された。
さらに、16S-rDNA塩基配列決定法を用いて細菌DNAを分類した。
UUIと非UUIの尿細菌は、培養と配列決定のどちらのグループでも異なった。
学術誌参照:
1.女性の尿Microbiome:
切迫性尿失禁のある女性とそうでない女性の比較。
mBio、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140709162049.htm
<コメント>
切迫性尿失禁(UUI; 強い尿意を伴う無意識の利尿筋収縮により尿を漏らすこと)の女性とそうでない女性では、膀胱中の細菌の構成が異なるという記事です。
尿マイクロバイオームというのは初めて聞きましたが、具体的にどのような違いがあったのかというと、塩基配列決定ではUUI群でガルドネレラ属(Gardnerella)が増加、ラクトバシラス属(Lactobacillus)が減少。
培養ではUUI群で9つの属(Actinobaculum、放線菌属、アエロコッカス属、アルトロバクター属、コリネバクテリウム属、ガルドネレラ属、Oligella、ブドウ球菌属、連鎖球菌属)がしばしば培養されたとAbstractにあります。
さらに、ラクトバシラスは両方から分離されたものの、UUI群ではラクトバシラス・ガセリが、対照群からはラクトバシラス・クリスパータスが分離されたとあります。
ガセリ菌といえばいくつかのヨーグルトに加えられている菌だと思うんですが、不健康な状態ではかえって悪い方向にはたらくんでしょうか。