機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

膠芽腫のCSF-1阻害剤への抵抗性を克服する

2016-05-27 06:06:45 | 癌の治療法
Resistance mechanism of aggressive brain tumors revealed

May 19, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/05/160519144538.htm

脳腫瘍の患者は治療に対して抵抗性になりうるが、それは腫瘍それ自体に備わる内因性の何かが原因というよりむしろ、腫瘍微小環境との相互作用を通じてであることが、マウスを使った研究によって示唆された
今回の研究で説明される抵抗性メカニズムには特定の酵素が含まれ、この新たに明らかにされたシグナル伝達経路を標的とする他の薬剤を使うことで克服可能である


多形膠芽腫/glioblastoma multiforme (GBM) は成人で一般的に見られる悪性の脳腫瘍で、現在の標準治療はごくわずかに寿命を延ばすだけである
GBMの腫瘍内にはマクロファージという破片や残骸debrisを取り込む白血球が大量に存在し、コロニー刺激因子/colony stimulating factor-1 (CSF-1) の発現が高い傾向がある

Daniela QuailらはBLZ945という薬剤によるCSF-1の阻害がマウスで腫瘍の退縮regressionを引き起こすことを示したが、結局はGBM腫瘍の大部分がBLZ945への抵抗性を生じた
この現象が興味深いのは、現在CSF-1を標的とする抗癌剤が多くの状況で臨床試験中だからである


さらなる調査から、GBMの再発recurrenceは腫瘍のPI3-Kという酵素の活性上昇と相関することが明らかになった
PI3-Kは環境の影響によって促進されており、それはマクロファージが分泌するIGF-1によるものだった

CSF-1阻害剤のBLZ945に加えて、PI3-K阻害剤またはIGF-1阻害剤を投与したマウスは、対照群よりも著しく生存が延びることを研究者は示した

BLZ945に抵抗性のGBM腫瘍を無投薬だったマウス/naïve miceに移植したところ、この腫瘍はPI3-K/IGF-1メカニズムを使って自分の有利になるように周囲の微小環境を操ることが実証された

このように、腫瘍は腫瘍それ自体には依存しない、微小環境に依存的なメカニズムを通じて抵抗性を生じうるのだと研究者は言う

この研究結果がヒトの神経膠腫gliomaモデルに応用translateされるかどうかは、さらなる研究が必要である


http://dx.doi.org/10.1126/science.aad3018
The tumor microenvironment underlies acquired resistance to CSF-1R inhibition in gliomas.
神経膠腫におけるCSF-1R阻害への抵抗性獲得の根底には腫瘍微小環境が存在する

Structured Abstract
RESULTS
我々は多形膠芽腫/glioblastoma multiforme(GBM)の遺伝学的マウスモデルを使い、CSF-1R阻害への応答として全生存が有意に延長するにもかかわらず、腫瘍は結局マウスの50%以上で再発することを示す

再発した腫瘍細胞を分離してナイーブマウスに移植したところ、神経膠腫gliomaはCSF-1R阻害への感受性を回復した
これは抵抗性が微小環境によって促進されるdrivenことを示す

阻害剤を投与した腫瘍から取り出して精製purifyした神経膠腫細胞ならびにマクロファージのRNAシーケンシングとex vivo細胞培養アッセイを通じて、我々はCSF-1R阻害後の再発GBMにおけるPI3K経路の活性が上昇していることを発見した
これはマクロファージ由来のIGF-1と腫瘍細胞のIGF-1Rによって促進されていたdriven

その結果として、再発した腫瘍において、連続的なCSF-1R阻害と、IGF-1R阻害またはPI3K阻害を組み合わせることは、有意に全生存を延長した

対照的に、IGF-1R阻害またはPI3K阻害のどちらか単一での治療は、再発reboundした腫瘍、または治療していない腫瘍、そのどちらにもあまり有効ではなかった
このことは、CSF-1R阻害に対して再発した腫瘍で生じるPI3Kシグナル伝達への依存に対して組み合わせ療法をしなければならないという必要性を示す


機構的に見ると、再発した腫瘍におけるマクロファージの活性化はIL-4によるものであり、それがStat6とNFATシグナル伝達の上昇につながる(Igf1の上流)
in vivoでこれらの経路のどちらかを阻害することはマウスの生存を有意に延長するのに十分だった

※NFAT: 通常は活性化したT細胞で検出される、IL-2プロモータの転写を活性化する転写因子。カルシニューリンにより活性化され、プロトピックにより阻害される



Figure 1
Resistance to CSF-1R inhibition in glioma.
(A) マクロファージはM2様の遺伝子発現と関連する腫瘍促進的ニッチを形成することによりGBMの進行に寄与する
CSF-1Rはマクロファージ生物学にとって決定的な受容体であり、神経膠腫gliomaにおける治療標的として臨床評価中である

(B) 神経膠腫発生glioma­genesisの早期にCSF-1Rを標的とすることは、マウスモデルで生存を延長する
CSF-1R阻害はマクロファージを再プログラムして、M2様の遺伝子を下方調節し、食作用phagocytosisを促進することにより、抗腫瘍形成性antitumorigenicにする

しかし、CSF-1R阻害にもかかわらず、腫瘍に由来する生存因子は、マクロファージの生存能力を維持するsustain

(C) 治療を続けると、GBMのサブセットがCSF-1R阻害への抵抗性を獲得し、腫瘍は再発する
これはマクロファージ由来のIGF-1の上昇と腫瘍細胞のIGF-1Rの高さによって促進されるdriven
結果として、PI3K経路が活性化し、神経膠腫細胞の生存と浸潤が促進されるenhanced

前臨床試験でこの経路とCSF-1Rを阻害したところ、かなりsubstantialの生存的利益がもたらされた



<コメント>
腫瘍内にCSF-1を発現するマクロファージが多いので阻害してみると、マクロファージはIGF-1を発現するようになった



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/305eb8758c89181480425e88fcdd8783
診断から20年前のIL-4レベルの高さは神経膠腫を発症する可能性の減少と関連することを分析は示した
今回の結果は、アレルギーが神経膠腫リスクを実際に低下させることを示唆する発見を支持するものである
これらの脳腫瘍は免疫系に影響するので、研究者はまだ「アレルギーが脳腫瘍リスクを低下させるのか」、それとも「アレルゲンに対する過剰に敏感な免疫応答にこれらの腫瘍が診断前に干渉しているかどうか」を確信していない



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160108084437.htm
アルツハイマーモデルマウス(APP)でCSF1Rを阻害すると、ミクログリアの増殖は阻止され、ミクログリアは炎症性から抗炎症性に変化して、アルツハイマー病は軽減した
このアルツハイマー病の軽減は、Aβプラークの量とは相関しなかった



関連サイト
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/200805/506592.html
グリオーマの腫瘍組織内に浸潤しているM2マクロファージ数が多いほど、グリオーマの悪性度が高くなる



関連サイト
http://www.cancerit.jp/9574.html
GBMマウスモデルで放射線治療後に腫瘍が再発するのは、腫瘍が産生するSDF-1によって動員されたマクロファージ等が一因
 

最新の画像もっと見る