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アルツハイマー病のタウのもつれをより正確に再現するモデル

2016-11-21 06:06:28 | 
More human-like model of Alzheimer's better mirrors tangles in the brain

November 16, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161116094956.htm

タウという元凶のタンパク質がもつれた原繊維はアルツハイマー病(AD)の特徴であり、治療の鍵を握っている可能性が高いために研究者の興味を引いてきた
タウのもつれtau tanglesの形成と拡がりを真似る動物モデルが正確であれば正確であるほど、拡がりを止めるか遅くするための新たな治療をもっとうまく調査することが可能になる

ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院で開発された新しい動物モデルでは、アルツハイマー病患者の脳から単離されたタウのもつれを使う
それはこれまでの合成したタウのもつれよりもタウの病理を患者の脳に近い状態で示しているという
この研究はペレルマンの神経変性疾患研究センター/Center for Neurodegenerative Disease Research (CNDR) で実施されたもので、学術誌のJournal of Experimental Medicineで報告された

研究で使われたマウスは通常の野生型のマウスであり、そのマウスにアルツハイマー病患者の脳から単離された非常に強力なタウタンパク質(AD-tau)を接種した
AD-tauはマウスの脳内に有害なもつれを誘発し、アルツハイマー病患者の脳で見られるタウのもつれのより現実的な進行を再現した

実験で使われたマウスがトランスジェニックではない、つまりタウタンパク質を過剰発現しないマウスだったというのは重要である
過去の動物実験では(ペンシルバニアの医学部での研究も含めて)合成したタウ原繊維/synthetic tau fibrilsが使われており、細胞間の病的なタウの伝達を関連付けることでアルツハイマー病や関連するタウオパチーがどのように進行するのかについての説明を提供していた
しかしながら、そのような現象はタウを過剰発現するモデルでしか実証されていなかった
しかし、タウの発現の増加は、アルツハイマー病やタウの奇形化を伴う他の病態の原因ではない

「一般にアルツハイマー病の患者はタウを過剰発現したりタウの変異を持ってはいないため、患者で起きていることをもっとうまく真似た状態の病理を再現できるモデルを開発することが重要だ」
首席著者senior authorのVirginia M.-Y. Lee, PhDはそのように言う
彼はCNDRのセンター長directorであり、病理・臨床検査医学/Pathology and Laboratory Medicineの教授でもある

「この新たなモデルは、アルツハイマー病だけでなく他の病的なタウ疾患にとっての新たな方向性への道を開くだろう
他の疾患とは例えば『大脳皮質基底核変性症/corticobasal degeneration(CBD)』や『進行性核上性麻痺/progressive supranuclear palsy(PSP)』のような病態で、それらはパーキンソン病のような症状を引き起こすが、アルツハイマー病と似た認知障害とも関連する」


正常なタウは神経細胞の機能を適切に保つのを助けるが、病的なタウは有害になり『ミスフォールド/misfold』する
それは神経原線維変化/neurofibrillary tangle(NFT)というタンパク質凝集の形成を引き起こし、NFTはアルツハイマー病と密接に関連する
NFTは脳内を細胞から細胞へと移動してもつれ/tanglesを形成することが示されており、まず記憶を形成する領域が冒され、やがて思い出すことと関連する外側の領域へと拡がっていく

ペンシルバニア大学や他のチームはこの分野の研究でタウのもつれを合成し、タウを過剰発現するトランスジェニックマウスに使うことで、そのような拡散を模倣していた
しかし現在に至るまで、トランスジェニックではない通常のマウスでは奇形化したタウタンパク質/misshapened tau proteinを作り出すことはできておらず、仮説を完全に支持するには十分ではなかった

※タウのもつれの合成: タウは可溶性が高いため、線維化するためにヘパリンを使っていた


著者たちの知る限り、AD-tauを接種して数ヶ月以内に説得力のある十分な量のタウのもつれが複数の脳の領域に誘発されたというのはこれが初めてである
著者によると、今回の観察結果はヒトのタウオパチーにおける病的なタウの細胞間の伝達が強い生理学的な関連性physiological relevanceを持つという仮説を最も強力に支持するものだという

「この適切なrelevantマウスモデルにより我々は機構的な調査や治療法の調査でタウの構造architectureとその生理学的な結果をうまく研究できるようになる」とLeeは言う

「それだけではなく、このマウスモデルは他の要因、たとえばアルツハイマー病のもう一つの特徴であるアミロイドプラークがタウの拡散にどのように寄与するのか、そしてCBDやPSPのような他の疾患ではタウがどのように拡がるのかといった重要な疑問を調査するための実験的な枠組みをも提供するのである」


http://dx.doi.org/10.1084/jem.20160833
Unique pathological tau conformers from Alzheimer’s brains transmit tau pathology in nontransgenic mice.


Abstract
繊維状filamentousのタウ凝集は、アルツハイマー病などの多くの神経変性疾患で見られる特徴的な病巣である

細胞培養や動物の研究では、タウの原繊維は細胞間を伝わりcell-to-cell transmission、可溶性タウが凝集するための種となるseed aggregation of soluble tauことが示されてきたが、その現象がしっかり実証されているのはタウを過剰発現するモデルだけである

今回の研究で我々はトランスジェニックではないマウスの脳内にアルツハイマー病患者の脳から精製purifyされたタウ原繊維(AD-tau)を接種し、解剖学的に接続された脳領域内にタウの封入体inclusionが豊富に形成されることを明らかにした
しかしそれは合成したタウ原繊維では起きなかった

AD-tauによってシーディングされたseeded 組み換え型のrecombinantヒトのタウを使った実験では、コンフォメーションの独特な特徴が明らかになった
それは合成したタウ原繊維とは異なっており、タウが凝集するためのシーディングの生理学的なレベルがそれぞれ異なることの根拠となる可能性がある

したがって、我々の研究は孤発性タウオパチーsporadic tauopathiesのマウスモデルを確立し、人工的に作られたタウ原繊維とアルツハイマー病の脳内で生じる本物authenticのタウ原繊維との間の重要な違いを示す


Introduction
タウは高い可溶性を持つため、in vitroでのタウの効率的な線維化はポリ・アニオンのコファクター/polyanionic cofactorsの存在下でのみ可能であり、ヘパリンが最も一般的に使われる薬品である (Goedert et al., 1996; Kampers et al., 1996; Chirita et al., 2003)
ヘパリンによって誘発されるタウ繊維はアルツハイマー病で見られる βシートが豊富な不溶性アミロイド繊維の『ペアとなったらせん状の繊維/paired helical filaments (PHF)』と似ていると考えられたため、
PHF組み立ての構造的メカニズムを調査するために広く使われた (Friedhoff et al., 1998; Mandelkow et al., 2007; Siddiqua and Margittai, 2010)


Discussion
以前にも似たような実験はあったがうまくいかず、そこではAD患者の脳の抽出物を「生crude」のまま使っていた (Clavaguera et al., 2013)



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