治療不可能な白血病の背後にある遺伝子ネットワークが特定される
Study identifies gene network behind untreatable leukemia, possible treatment target
シンシナティ小児病院メディカル・センターのCancer and Blood Diseases Institute(CBDI)の研究者は、急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia; AML)とその前病変である骨髄異形成症候群(Myelodysplastic Syndrome; MDS)の高リスクおよび悪性の形態を促進する、遺伝子/分子ネットワークを特定した。
今回の研究には、AMLとMDSの特異的な形態である del(5q)、つまり血球の第5染色体の長腕の欠失(deletion)が含まれる。
del(5q)MDSのそれほど悪性ではないタイプの患者では、血液中の骨髄芽球(bone marrow blasts; 骨髄様細胞系で最も早い段階の最も未発達の細胞)の割合は5パーセント未満である。
シンシナティ小児病院CBDIの実験血液学と癌生物学部の教授であるダニエルStarczynowski博士によると、その患者の予後は概して良好である。
「残念なことに、del(5q) のAMLとMDS患者の大部分は骨髄芽球の数が増加し、付加的な染色体の突然変異がある」、Starczynowskiは言う。
「これらの患者の予後は非常に悪く、化学療法と放射線に抵抗性であるため、新しい治療法を発見することは重要である。」
彼らはヒトのAML/MDS細胞とdel(5q)AML/MDSのマウス・モデルで研究を実施し、血球のmiR-146a遺伝子の発現低下がNF-kbのいくつかの成分を含む分子シグナル・ネットワークの活性化につながることが明らかになった。
ネットワークの1つはp62と呼ばれるタンパク質で、細胞の代謝とリモデリング、そしてある種の癌の決定的な調節因子である。
第5染色体にあるmiR-146a遺伝子の欠失はp62の過剰発現につながり、NF-kbのシグナル・ネットワークの持続的な活性化を引き起こす。
これはヒトの細胞とマウス・モデルにおいて白血病細胞の生存と悪性の増殖を促進した。
今回の論文の研究者によると、先行研究のNF-kBを直接阻害する試みは成功しなかった。
代わりに彼らはNF-kBシグナル・ネットワーク内のp62を目標とすることによるNF-kBへの脆弱性と潜在的な回避方法を探すため、マウス・モデルとヒトの細胞においてp62の阻害/ノックダウンをテストした。
その結果、マウス・モデルでは白血病細胞の拡大が阻止され、ヒトのAML/MDS細胞では白血病細胞コロニーの数が80パーセント低下した。
学術誌参照:
1.染色体5q欠失を伴う骨髄様悪性病変は、染色体内NF-κB遺伝子ネットワークへの依存をもたらす。
Cell Reports;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140904131603.htm
<コメント>
第5染色体が欠失しているMDSとAMLについての記事です。
(5q欠失)miR-146a─☓─┤p62(SQSTM1)→p62/TRAF6相互作用→NF-κB活性化→p62発現